3.じかんがない(脚本)
〇殺風景な部屋
マチ「あの、やっぱり、もう一度見直した方が」
るるみ「あ?」
るるみ「何を?」
マチ「壁・・・何度も触ってみたんですが」
マチ「どうしても見分けがつかなくて・・・」
るるみ「だからなあ」
るるみ「ドッキリなんやで? バラす前にバレたら最悪やんか」
マチ「そもそも、これドッキリなのかなって・・・」
るるみ「はあ? もうちょい大きな声で言って!」
マチ「あ、いえ・・・」
るるみ(なんやねん。イライラすんなあ)
マチ「・・・・・・」
マチ(須藤さんは、確か)
『ニセモノの壁はどれでしょうか?』
マチ(どれ・・・)
マチ(どっちじゃなくて『どれ』って言っていた!)
マチ「あの・・・」
マチ「なんでもないです・・・」
マチ(もし間違いだったら、責任とれない・・・)
るるみ「ほんま狭くなってきたな」
るるみ「ネタが割れるのが楽しみや」
マチ「・・・・・・」
〇おしゃれなリビングダイニング
マチ「何も言わないのが、いつでも一番」
マチ「昔から鈍くさくて、失敗ばっかり」
マチ「褒められるのは妹の役目、 盛り上げるのが私の役目」
〇オフィスのフロア
マチ「仕事でも」
マチ「いつでも引き立て役で」
マチ「だって」
〇殺風景な部屋
マチ(・・・・・・でも)
マチ(自分でも、浅はかだと思うけど)
これ以上、
あの子に失望されたくない
〇殺風景な部屋
マチ「あの!」
タクト「ああ!?」
るるみ「まだ何かあんのか?」
マチ「・・・・・・」
マチ「なんでもないです・・・」
マチ(うわあ、あんなに決意したのに 言えないの!?)
マチ(私って・・・)
るるみ「そんなにうちの答えが気に入らんのやったら」
るるみ「姉さん、ちょっとそこに座ってみ?」
マチ「え」
るるみ「早よせいや。オラオラ」
迷いながらひざまづくと、
おもむろに後ろ髪を掴まれた。
マチ「いっ・・・いた!?」
思わずのけぞると今度は
掴まれたまま振り回されて
マチ「!?」
思い切り額を床にぶつけられた
マチ「・・・つぅ──」
るるみ「いざとなったら、 姉さんが突っ張り棒になればええやん」
マチ「や、やめっ・・・」
唯川「ちょっと・・・!何してるんですか」
タクト「おい、何してんだよ」
るるみ「ふん」
るるみ「グジグジグジグジ、しょうもない」
唯川「大丈夫?」
マチ「ごめんなさい」
マチ(はあ、本当にダメだ私)
床にこすりつけられた額が痛い
マチ「あ」
マチ「床・・・!」
唯川「床?」
マチ「床も、壁って言えるんじゃないかな!?」
唯川「壁・・・」
唯川「・・・確か、壁は『建物の外周の部分』という意味のはず」
タクト「なんだと」
タクト「・・・・・・そういや、音が違うような」
タクト「探せ! どっか下に降りられる場所はないか?」
10分後
唯川「ないな・・・」
タクト「うーん」
マチ(うそ)
マチ(違ったんだ)
るるみ「・・・・・・」
るるみ「ええんやで」
るるみ「男の前でいいとこ見せたかったんやろ」
マチ(そんな風に言わなくたって──)
薫子「ねえ」
薫子「あなたたち、 こんなことしても賞品のポイント稼ぎにならないわよ?」
るるみ「なるほど。姉さん、それで・・・」
マチ「そっ、そんなわけ!」
るるみ(・・・ポイントね)
るるみ「なあ、姉さん」
るるみ「部屋って、屁で大きくするから部屋っていうの知ってる?」
マチ「へ?」
るるみ「本当は、屁屋なんやて ウケるやろ?」
るるみ「罰ゲーム企画〜」
るるみ「姉さん、 おならで部屋を広げるチャレンジ〜」
マチ「ええ!」
るるみ(こういう地味女)
るるみ(昔から、散々ネタにしていじってきたんや)
るるみ(リンを笑わせてポイントゲットや!)
るるみ「さあさあ、早く」
るるみ「空気悪くなるで?」
るるみ「ほら、早く、プーやで、プー」
マチ(やらなきゃいけない雰囲気・・・)
マチ(なんでこんな目に・・・)
でも
なんだか分かってきた
マチ(この人)
マチ(須藤さんのこといじめてたって言ってた)
マチ(同じようなことをしてきたんだわ・・・)
マチ(子供の時から──ずっと!)
マチ(流されちゃダメ)
自分の声に耳を傾けて
マチ(秒針・・・)
マチ(そういえば、どこから聞こえるんだろう)
マチ「・・・・・・」
マチ(もし、床が壁にカウントされるなら)
マチ(天井はどうなんだろう・・・!)
マチ(・・・・・・!)
マチ(暗くて、よく見えない・・・)
マチ「あっ!」
マチ「動いてる・・・」
マチ「天井で、秒針が動いてる!」
マチ「どういうこと!?」
マチ「!!!!!」
残りはあと1時間
驚いている皆を尻目に
狭くなった壁の間を、
両手両足を使って登っていく
ついに頭頂部が天井に当たった
マチ「これ、紙みたいな素材だわ!」
マチ(スクリーンになってるのね? 秒針は映像なんだわ)
マチ「これなら、破れるかも!」
マチ「く・・・っ!」
唯川「変わろうか!?」
マチ「大丈夫!」
思いきり頭をスクリーンに押しつけた
マチ「破けて・・・」
マチ「お願いい!」
気がつけば
夢中で顔を上げて口を開いていた
破けた布の上は空間になっていて
上から縄梯子が降りてきた
〇ホールの広場
フロア32
マチ「はー・・・・・・」
打って変わって豪華な広間に、
皆が驚きを隠せない
タクト「なんじゃこら」
唯川「奥に階段がある」
唯川「そうか、下へと通じる道は、 上の階にあったってことか」
唯川「はぁ、もし気づかずあのまま下にいたら・・・」
唯川(須藤さん・・・)
唯川「でも、よく気づいたね。マチさん」
マチ「あ、うん」
マチ(・・・唯川さんに褒められた!)
唯川「さっきは、止められなくてごめん」
唯川「さっきの、その・・・」
マチ「い、言わなくていいよ」
マチ「狭かったから、仕方ないし」
リン「皆さん、お疲れさま」
リン「さすがです、先輩。高得点です」
「!!!!!!」
タクト(得点?賞金ゲットの点か?)
るるみ「・・・!」
るるみ(くっ・・・!)
リン「・・・・・・」
リン「るるみちゃん──」
リン「ずっと、言い忘れてたんだけど」
リン「私、あなたの相方にされてたじゃない?」
リン「あれ、皆が笑ってたのはね」
リン「あなたにいくら殴られても 反応しない私が怖かったからだよ」
るるみ「へ?」
リン「あなたに才能があるから 笑ってたんじゃないってこと」
るるみ「はぁ!?そんなわけ・・・!」
リン「じゃあ、未だにまったく芽が出ていない のは、どういうこと?」
るるみ「・・・・・・」
リン「・・・・・・昔から」
リン「芸といえば弱いもの弄り一辺倒」
リン「視野が狭くて、闇雲な努力だけ」
リン「それってきっと、夢追い人には致命的」
るるみ「・・・・・・!」
リン「るるみちゃん」
リン「時計の部屋で、あのまま自分を信じて方が」
リン「良かったんじゃない?」
リン「どうせ外に出ても」
リン「同じだから」
るるみ「── っ!!!!」
るるみ「ぐぅううぅっ!!!!」
るるみ「ああああああっ!!」
床に頭を打ちつける彼女を黙って見下ろし
嗚咽が啜り泣きに変わった頃、
リンはようやく口を開いた
リン「・・・・・・」
リン「さて、皆さん、汗だくのようなので」
リン「汚いので、着替えてくださいね」
リン「では」
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るるみちゃん、広い方に落ちたと言うことは、潰されることはないと言うことかな?
それだったらいいのですが…😂
あと、え?「彼」のハッキングとは…
え?え? 唯川さんが…? え…?😂
るるみはヘイトが読者的にも貯まっていたので
ああなってもなんとなく同情は出来ないですね。嫌われた者から死んでいく
とはいえ、あんな変な子に殺されるのも何だかなぁといった感じではありますが。
さて、人数は本当に減ったのか、るるみは這い上がってこれるのか
最後のシーンが恐ろしかったですが、ハッキングも別な意味で恐ろしいです!
唯川さんの性癖がだだ漏れに……!