真夏の人間日記「僕達は悪魔で機械な青春が死体!」

不安狗

25/新生徒会(脚本)

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〇鏡のある廊下
沖谷ナナコ「え、何やってんのハック」
  七月十一日、放課後。
  新生徒会室の扉を開けたところで話しかけられ、僕はあることを思い出した。
  ちなみにハックというのは、コハクのハクを取ったあだ名みたいなものだと思う。
  「え、あの、僕、副会長なんだけど・・・・・・」
沖谷ナナコ「いや、そうじゃなくてさ。いや、それはそうなんだけどさ」
  「・・・・・・じゃあ、えっと?」
  ゾンビやアンドロイドのいない世界に戻ったとはいえ、全てが本当の意味で元通り、という訳では無い。
  現在この学校の生徒会副会長は僕一人だけ。
  もう一人の副会長だったミウさんの存在は、変わらず失われたままだった。
  願望会の存在含め、誰も彼女達のことを覚えていない。
  逆にどうして、僕だけミウさんのことを、忘れていないのだろうか。
沖谷ナナコ「ハック、その頭のうさ耳、何」
  「え」
  頭の上のうさ耳のカチューシャのことは、正直なところ今の今まで忘れかけていた。
  コクノのことやミウさんのことなど、他に考えることがあったからというのもあるのかもしれない。
  だが一番の理由は、このうさ耳のカチューシャについて誰一人、何も言ってこなかったからである。
  同じクラスの生徒も、先生も、今日会った人は誰一人、本当にこのカチューシャのことが見えていないらしかった。
沖谷ナナコ「あ、もしかしてこの後遊園地デートとか? お熱いじゃーん」
  今僕の目の前にいる、新生徒会保健委員長を除いて。
  「え、いや、そうじゃなくて・・・・・・」
沖谷ナナコ「もーいい加減吐いちゃいなよー。ハック、フミフミと付き合ってるんでしょー?」
  彼女は確か、沖谷ナナコ。新生徒会の保健委員長。
  そしてフミフミというのが、フミカのフミを取った久野のあだ名みたいなものだと思う。
  ナナコさんは基本的に誰とでも仲が良いので、僕とは別に特別仲が良いという訳でもない。
  多分いわゆる、陽キャである。
  「そうじゃなくて。このうさ耳、見えるの?」

〇生徒会室
  僕とナナコさんは会話を続けながら新生徒会室に入る。
  中に僕達以外の人影は無く、コロンこと新生徒会顧問の宮浦先生も見当たらなかった。
沖谷ナナコ「へ? うん。見えるよ?」
  「ホントに・・・・・・?」
沖谷ナナコ「え・・・・・・? あー・・・・・・。何かハック、話の逸らし方が雑になってきてない?」
  ナナコさんが引きつった笑顔を見せた。
  とは言え今の今まで、登校中も含めて僕のうさ耳に気がついたのは、誰一人としていなかったのだ。
  何でナナコさんには、このカチューシャが見えているんだ?
白津ショウコ「あ、ナコちゃん。ハックも来たんだ。おつかれさまでーす」
沖谷ナナコ「お、ショコちゃん」
  その時生徒会室の奥の書庫から、星形のサングラスをかけた生徒が一人顔を出した。
  彼女は確か、白津ショウコ。新生徒会の図書委員長。
  ちなみにナコちゃんというのは沖谷ナナコのナコを取ったあだ名みたいなもので、
  ショコちゃんというのは白津ショウコのショとコを取ったあだ名みたいなものだと思う。
  ショウコさんも基本的に誰とでも仲が良いので、僕とは別に特別仲が良いという訳でもない。
  つまりいわゆる、陽キャである。
  「あ、おつかれさまです・・・・・・」
白津ショウコ「どしたのハック。元気無いけど」
沖谷ナナコ「それなんだけどショコちゃん」
白津ショウコ「どしたのナコちゃん」
沖谷ナナコ「ハックの頭に、何ついてる?」
  ショウコさんはサングラスをかけたまま、僕を見た。
白津ショウコ「え? 何もついてないよ?」
沖谷ナナコ「・・・・・・え、え、まさかのショコちゃんもグルなの? 何のドッキリよ、これ」
白津ショウコ「えー・・・・・・? ドッキリって言われても、私もわかんないんだけど」
  ショウコさんはサングラスを外して頭の上に置くと、背伸びをしながら僕の頭上をまじまじと見た。
沖谷ナナコ「ショ、ショコちゃん。マジでわかんないの?」
白津ショウコ「えー・・・・・・じゃあ・・・・・・ふけ?」
  僕はまた咄嗟に、右手で頭を払う。
  その拍子に、今回は手が当たってカチューシャが床に落ちた。
  そして僕は、慌ててそれを拾ってしまった。
沖谷ナナコ「あ、ほら! 今ハックが拾ったやつだって!」
白津ショウコ「・・・・・・」
  ショウコさんが頬をかいた。
  彼女も何かに、気づいたようだった。
白津ショウコ「・・・・・・もしかして、私がおかしいの?」
沖谷ナナコ「だってショコちゃん、このカチューシャマジで見えないの?」
白津ショウコ「カチューシャ? いや、見えないけど」
白津ショウコ「でも、ハックが何か拾ったようには見えたかも・・・・・・?」
沖谷ナナコ「ほら! でしょ?」
白津ショウコ「うん。でも、何も持ってないように見えるし・・・・・・」
沖谷ナナコ「えぇ・・・・・・?」
  「・・・・・・わ、わかったよ。二人とも、ちょっと」

次のエピソード:26/二人目の悪魔

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