第十三話 それが生まれた日【前編】(脚本)
〇小さい会議室
初刷 論(はつずり さとし)「・・・」
浜 伊織「・・・」
初刷 論(はつずり さとし)「だあーーー!」
初刷 論(はつずり さとし)「何なの? 何でこんなに記録してんの? あの家政婦!」
浜 伊織「仕方ないでしょ」
浜 伊織「家政婦の竹中は数十年、 足立貞夫の別宅に勤めていた」
浜 伊織「それだけ記録も長くなるわよ」
初刷 論(はつずり さとし)「酷いよ所長・・・ 俺も外で調査に回りたかった」
〇広い公園
初刷 論(はつずり さとし)「栄田栞里の過去を探る?」
堀田 晴臣「ああ。竹中菊代の記録を いま少し覗いただけでも過去数回」
堀田 晴臣「栄田栞里は足立雄輔、貞夫の両方と 接触があったことがわかった」
堀田 晴臣「となれば、栄田駿の調査には栄田栞里の 調査も必要ということなのさ」
初刷 論(はつずり さとし)「回り道過ぎません?」
浜 伊織「無駄よ、ロン。 こういう時の所長は止められない」
堀田 晴臣「その通り。好奇心に火がついた 僕は誰にも止められない」
堀田 晴臣「君たちはその間、その膨大な USB記録の洗い出しを頼むよ」
堀田 晴臣「それはいざという時、 必ず役に立つはずだからね」
〇小さい会議室
初刷 論(はつずり さとし)「そんなこんなでこのレンタル会議室に もう三時間も缶詰め状態・・・」
浜 伊織「・・・」
浜 伊織「まあ、でも妥当な配置じゃない?」
初刷 論(はつずり さとし)「ん?」
〇一軒家
浜 伊織「この記録、まだ少ししか見ていないけど あの社長は相当あくどい仕事をしていた」
浜 伊織「これが世に出れば大黒運送は 少なくはないダメージを被る」
浜 伊織「恐らく彼女を殺したのも 大黒運送が依頼した何者かでしょうね」
浜 伊織「奴らは今も血眼になって このUSBを探しているはず」
〇小さい会議室
初刷 論(はつずり さとし)「俺たちは下手に出歩かない方がいいのか」
浜 伊織「そういうこと」
浜 伊織「それに大黒運送だけじゃないわ 栄田駿の会社の奴らも私達を探してる」
浜 伊織「でもこのUSBを使えば、大黒運送の方は 牽制できるかもしれない」
浜 伊織「だから私たちが情報を上手くまとめて 切り札として使えるようにするのよ」
初刷 論(はつずり さとし)「俺たちが切り札・・・!?」
初刷 論(はつずり さとし)「よーし! やるぞー!」
浜 伊織(単純・・・)
〇黒
浜 伊織(でも、アーバンサテライトだけの時でも 所長は一度追いつめられている)
浜 伊織(ここに大黒運送も加わってしまったら 本当は大丈夫とも言えないけど・・・)
〇空
浜 伊織(でも今回は私たちの単独行動が 所長の足を引っ張りかねない)
浜 伊織(動きたくても動けないってのが 本音なのよね)
〇オフィスビル
〇役所のオフィス
区役所職員「はい、栄田様。こちらが奥様の 戸籍謄本になります」
堀田 晴臣「お時間ギリギリにすみません。 助かりました」
〇オフィスビル
堀田 晴臣(よし。分籍も転籍もされてないな えーと・・・)
堀田 晴臣(栄田栞里の旧姓は佐伯だが、 彼女はその前にも一度姓が変わってる)
堀田 晴臣(佐伯の前は赤坂、か・・・ん?)
堀田 晴臣(『赤坂』? この本籍地と名字、どこかで・・・)
堀田 晴臣(まさか!?)
堀田 晴臣(いや、確認する必要があるな。 もしこれがあの『赤坂』だったら・・・)
堀田 晴臣(彼女は栄田駿に何をしてもおかしくない!)
〇警察署の入口
〇警察署の資料室
警視庁 資料庫
???「勘弁してくれよ、堀田 これで何度目だ?」
堀田 晴臣「まあ、そう言うなって。 僕とお前の仲だろう、牧村」
牧村 廉太郎「全く。こんなことなら交通課の新人に 手出すんじゃなかった」
堀田 晴臣「奥さんに浮気がバレるのに比べたら 資料庫使わせるくらい、なあ?」
牧村 廉太郎「はぁーー。ロクでもない奴に 弱味握られちまったもんだ」
堀田 晴臣「犯罪者に弱味握られるよりましだろ」
牧村 廉太郎「大して変わんねーよ。 終わったら郵便受けに鍵返しといてくれよ」
堀田 晴臣「わかってるって」
堀田 晴臣「・・・」
堀田 晴臣「えーと、ここは・・・違うな こっちは・・・」
堀田 晴臣「あった、これだ! ・・・もう二十年も前の事件になるのか」
堀田 晴臣「・・・やはり、か」
堀田 晴臣「嫌な予感が当たったな・・・」
〇空
〇空港の滑走路
〇空港ターミナルビル
栄田 栞里「んーー! 3日ぶりの東京! みんな元気してるかなぁ」
栄田 栞里「え? 智はいたずらしてるかもって? 止めてよ、お父さん」
栄田 栞里「そうそう、お母さんの言うとおり。 頼りになる旦那さまがいるから平気よ」
栄田 栞里「・・・じゃ、行こっか」
岡本 七菜「いやー、働いた働いた。 今日はとことん遊ぶぞー!」
岡本 七菜「ネイルやってエステ行ってサウナ行って ゲーセン行ってクラブ行くのだ!」
岡本 七菜「およ? あれはしおりんではないか やっほーしお・・・」
〇モヤモヤ
岡本 七菜「・・・!?」
岡本 七菜「あれ、しおりん・・・だよね?」
〇空港ターミナルビル
岡本 七菜「・・・」
岡本 七菜「ああ、もしもしポッター? あたしだけど」
岡本 七菜「え? 今忙しい? こっちだって緊急事態なのよ!」
岡本 七菜「前に紹介した私のお友達の依頼、 受けたでしょ?」
岡本 七菜「個人情報? バッカじゃないの。 この私にそんな言い訳通用するとでも?」
岡本 七菜「単刀直入に聞くわ、ポッターくん。 あなた、しおりんに何言ったの?」
岡本 七菜「どうもこうもないわよ! 真実だとしても変な風に伝えたんでしょ!」
〇モヤモヤ
岡本 七菜「じゃなきゃ何よ! どうしたら、人があんな風になるのよ!」
岡本 七菜「あれはもう・・・ 私が知ってるしおりんじゃない」
〇空
栄田 栞里「今日のご飯は何かしらね お父さん、お母さん」
栄田 栞里「うふふふふふふふっ」
栄田 栞里「こうやって三人で帰っていると 思い出すね!」
栄田 栞里「中学生の頃を・・・」
〇空
栄田 栞里「お家に──」
〇空
赤坂 栞里「──帰ろう」
〇空
赤坂 栞里「私一番乗り!」
赤坂 千草「あらあら。あんなにはしゃいで」
赤坂 浩基「栞里は会社が新しくなるのを ずっと楽しみにしてたもんな」
赤坂 栞里
中学時代
〇倉庫の搬入口(トラック無し)
赤坂 栞里「うわー! 広ーい!」
赤坂 浩基「大型トラックがまだ入ってないから 余計広く感じるのかもな」
赤坂 千草「ううん、十分広いわよ。 あなた、おめでとう」
赤坂 浩基「まさかうちとZOZOONが契約する日が 来るとは夢にも思わなかったよ」
赤坂 千草「今ではあの小さな倉庫が懐かしいわね」
赤坂 浩基「そうだな」
〇小さい倉庫
赤坂 栞里「お父さん、これ何? ゴミ捨て場?」
赤坂 浩基「何てこと言うんだ、栞里。 これは倉庫っていうんだ」
赤坂 栞里「嘘だあ。倉庫ってもっと広いもん!」
赤坂 浩基「う、うーん。確かにな」
赤坂 浩基「栞里。確かに今は小さな倉庫かもしれない」
赤坂 浩基「だけどな、これからお父さん 一生懸命働いてこれを大きくしていくんだ」
赤坂 千草「そうよ。脱サラしてこれまでの貯金を全部 使って事業を始めたんだもの」
赤坂 千草「大きくしてもらわないと困るわ」
赤坂 浩基「頑張ります」
赤坂 栞里「新しい会社かあ。名前はなんて言うの?」
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どういう…ことだ…
わぁー!!やっぱりご両親がー!!😱
入れ子のような構造が巧みですごいです。まさに折り重なる愛憎劇!
現在の壊れてしまったような栞里も気になります。
ホッター、たすけて!
あーーなるほど………
これは……しゃーない………
心の準備をしておきます