第六話 最悪なテイアン(脚本)
〇古民家の居間
──それから、あれよあれよと話が進み・・・
オルガ(・・・くっ・・・!! 結局、酒2本・・・と情報交換・・・! つまり・・・ 私からクロノアへキスを2回・・・)
「〜♪♪♪」
大賢者ディアール「──して、エラトの魂跡の外し方についてじゃったか?」
オルガ(こうなったら、とことん情報を聞き出してやるわっ!!)
オルガ「はいっ!! 愛し合う以外に何か方法はありますか?」
大賢者ディアール「フォルテュナの古歴書に、こんな言葉が残されておる──」
〇歯車
ヴァジュラとダンガー
其は、対を成す物なり
ヴァジュラは男
ダンガーは女
其は、生命の大樹を蘇らせる礎
ダンガーが啼けば
ヴァジュラは応えるであろう
ヴァジュラは剣
ダンガーは鞘
啼かぬ剣が哭いた時──
其の姿は
本来の姿を現すであろう
其れには
エラトの魂跡が必要となるだろう
其はヴァジュラを動かす心
其は一柱の大樹によって護られている
一柱が鐘の乙女を選んだ時──
其の常盤は紡がれ出すであろう
鐘の乙女だけがヴァジュラへの道を知り、
現世と隔世と幻世の扉への鍵となるであろう
そして──
大いなる宝と
大いなる力を
呼び出せるであろう
〇古民家の居間
大賢者ディアール「──エラトの魂跡は、ゴーレムが護っているという噂じゃが・・・」
大賢者ディアール「お前さん、どうやってそのエラトの魂跡を身につける羽目になったのじゃい!?」
オルガ「あはは・・・」
オルガ(・・・まさか・・・そのゴーレム本人から求婚されてますって知ったら驚くだろうな・・・)
オルガは、チラチラとクロノアを伺う。
大賢者ディアール「まぁ、良いわい・・・。 今は、その鐘の乙女が選ばれたという事が重要じゃて」
大賢者ディアール「普段ならば、グラディルク城主とその花嫁となる者の婚儀の証となり・・・その2人が結ばれ・・・」
大賢者ディアール「次の城主に代々受け継がれる代物なんじゃが・・・」
チラリとディアールは、クロノアを見つめる。
大賢者ディアール「・・・今のグラディルク城主は──病に臥せっておると風の便りで聞いたのじゃが・・・」
大賢者ディアール「ピンピンしておるのぅ!!」
クロノア「フフフ。 何せ、僕がそのゴーレムだからね」
「えっ!?」
オルガ(じ、自分から言っちゃうんだ・・・)
クロノア「今のグラディルク城主は── もうとっくの昔に亡くなっているよ・・・」
クロノア「それからは、僕が城主に成り代わって・・・城を守っているんだ」
クロノア「グラディルク城がなくなると1番困るのは僕だからね」
大賢者ディアール「・・・ふむふむ」
ソディト「エラトの魂跡を護るゴーレムが今のグラディルク城主・・・」
ソディト「そのゴーレムが花嫁にしたいと願うのが・・・オルガか・・・」
大賢者ディアール「まどろっこしい!!!!!!!!!! 早く くっついてしまえっ!!!!!!!!!!」
ソディト「まぁまぁ・・・! ディアールさん、落ち着いて!!」
オルガ「──で、何か方法は?」
大賢者ディアール「チッスじゃな! チッス!!」
オルガ「ち・・・チッス???」
大賢者ディアール「お前さん、エラトの魂跡を見せてみぃ!」
オルガは、ディアールに言われるままエラトの魂跡を見せる。
大賢者ディアール「エラトの魂跡は、魂の欠片と聞く。 その宝石は、付けた者の心と連動し色を変えるそうな」
大賢者ディアール「ふむふむ。 まだまだ、お前さんの心は冷めているようじゃな・・・」
大賢者ディアール「この宝石の色が赤に変わった時、心から慕う者とチッスを交わすのじゃ!」
大賢者ディアール「さすれば、外れるやもしれん!」
オルガ「・・・私が誰かを好きになって・・・ 心からキスをすれば外れるってこと?」
大賢者ディアール「そうじゃ!!」
ソディト「・・・それは・・・ いつまで待てばいいんだ?」
それまで、静観していたソディトが声を上げる。
ソディト「・・・1年?3年? ・・・俺には時間がないんだ!!」
ソディト「もっと早く外す方法はないのか!?」
オルガ「ソディト?」
ソディト「・・・オルガには悪いが・・・ 最低でも一カ月以内には・・・そのエラトの魂跡を外してもらいたい・・・」
ソディト「──それが叶わないならば・・・ オルガ・・・アンタの首をはねるか・・・ 俺と共に行動してもらう」
クロノア「・・・それは聞き捨てならないね・・・」
大賢者ディアール「・・・ソディトやい・・・ 血に染まったエラトの魂跡をルイに捧げても・・・ルイは目覚めんぞぃ」
大賢者ディアール「それに──フォルテュナの古歴書にも 『鐘の乙女だけがヴァジュラへの道を知り・・・』 と、あるじゃろ?」
大賢者ディアール「焦る気持ちは分かるが・・・ 急がば回れじゃ!」
オルガ(・・・ソディトの大切な人って”ルイ”さんって言うのね・・・)
クロノア「・・・」
クロノア「・・・一カ月・・・」
クロノア「一カ月・・・」
オルガ「ん? クロノア? どうしたの?」
クロノア「・・・これはチャンスかもしれないっ!!」
クロノア「オルガ!!」
クロノア「僕と一カ月、一緒に暮らそう!!!!」
オルガ「えっ!?」
オルガ「なななな何で?」
クロノア「要は、そのエラトの魂跡が赤くなればいいんだよね?」
大賢者ディアール「ま、そうじゃな。 ソディトが必要なのは、赤く染まったエラトの魂跡・・・」
大賢者ディアール「血ではなく・・・愛に染まって満たされた心の欠片がルイを目覚めさせる鍵となるじゃろう!!」
オルガ「・・・ルイさんの容態は・・・そんなに危機迫るものなの?」
ソディト「・・・眠り続けてるんだ・・・。 それを解くには・・・エラトの魂跡の力が必要で・・・」
ソディト「クロノアに貸してもらいに行こうとした矢先・・・一歩先に、アンタにその首飾りが付けられている事を知って──」
オルガ「・・・」
大賢者ディアール「喝っ!!!!!! ジメジメするでないっ!!」
大賢者ディアール「エラトの魂跡が欲しい者。 エラトの魂跡を外したい者。 好きな女の心を得たい者」
大賢者ディアール「オルガ! お前さんは、そこのゴーレム城主と一カ月同棲してみぃ!」
大賢者ディアール「そして、一カ月後に首飾りが外れるかどうか試してみるのじゃ!」
大賢者ディアール「もし、外れなければ・・・ソディトと共にルイの元へ行ってみる・・・というのも悪くないじゃろうて」
大賢者ディアール「上手く行けば、クロノアもオルガとくっつく事が出来る!」
大賢者ディアール「一石三鳥じゃな♪」
それぞれの思惑が語られ絡み合った回ですが、何と言うか、オルガ1人負けの感が強いですね。。。酒のためにクロノアへのキス2回から始まり、ソディトからは首を刎ねるとまで言われ、挙句クロノアとの同棲生活ってww