男の罪、女の罪

久望 蜜

第3話 最悪な探偵(脚本)

男の罪、女の罪

久望 蜜

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〇駐車車両
うず「――というわけで、シキミさんの遺体を発見したんです」
徹也「なるほど。彼女からはまだ詳細な内容について聞けていなかったので、助かります」
うず「けど、わざわざマンションに来る必要ありました?」
うず「どうせ部屋には入れませんよ?」
徹也「わかっています」
徹也「でも、話だけだと、どうにもイメージが湧かないもので・・・・・・」
徹也「では、行きましょう」
うず「はい」
徹也「今日、ひと通り話を聞きだしたら、殺してやる・・・・・・!」

〇マンションのエントランス
徹也「このマンションのエントランスは、オートロックなんですね」
徹也「うずさんが来たときに、すでにシキミさんが亡くなっていたのだとしたら、」
徹也「どうやって開けたんです?」
うず「恭介から、合鍵を借りていたんです。 昨日、シキミさんに返すつもりでいました」
徹也「それで、部屋の前まで行ったんですね」
うず「ええ、部屋のインターホンを鳴らせばいいかと思って」
うず「でも、今思うと、そんなことをしなければ、遺体の第一発見者にならずにすんだんですよね・・・・・・」
徹也「ショックが大きかったですか?」
うず「そりゃあ、そうですよ」
うず「探偵をやっていると、遺体にも慣れるものなんですか?」
徹也「いや、そんなに遺体なんてお目にかかる機会はないですよ。でも・・・・・・」
徹也「シキミさんなら、遺体になってもさぞ美しかったでしょうね」
うず「は?」
徹也「あ、いえ、何でもありません」
うず(今の、聞き間違いよね・・・・・・?)
不動産屋「すみません、お待たせしました!」
徹也「僕たちも今来たところなので、お気になさらず」
うず「徹也さん、この人は・・・・・・?」
徹也「実は、不動産屋さんに内覧をお願いしていたんですよ」
徹也「ちょっと、僕の婚約者を演じてくれますか?」
うず「はあ・・・・・・」
不動産屋「では、こちらへ」

〇高層階の部屋(段ボール無し)
不動産屋「どうです? うちは広めのお部屋だから、家族が増えても大丈夫ですよ」
うず「そ、そうですね・・・・・・」
不動産屋「それに、トイレ・バス別々だから、ゆったりくつろげますよ」

〇清潔なトイレ

〇清潔な浴室

〇高層階の部屋(段ボール無し)
徹也「いい感じの部屋だね、うずちゃん」
うず「そ、そうですね・・・・・・」
うず(何で、ほぼ初対面の人とこんなことに・・・・・・)
徹也「事件現場の間取りはほぼ、ここと同じ?」
うず「そうみたいです」
徹也「シキミさんの遺体は、どの辺りに?」
うず「このリビングに・・・・・・。 凶器は銃らしいですが・・・・・・」
徹也「見つからないんだっけ?」
徹也「ベランダから捨てたくらいじゃ、さすがに見つかるだろうし・・・・・・」
徹也「おお、ベランダも広いですね! 見て、うずちゃん!」

〇団地のベランダ
うず(そういえば、恭介の部屋は2階なのよね)
うず(ベランダから覗くと、下は駐車場だっけ・・・・・・)

〇駐車車両

〇団地のベランダ
うず「あ!」
徹也「な、何!?」
うず「ワゴン車みたいな車高のある車を駐車場に止めておけば、」
うず「車の屋根からベランダにとび移れないかしら!」
徹也「た、確かに可能だとは思うけど・・・・・・」
うず「それなら梯子より目立たないし、防犯カメラに犯人が映っていないのも納得だわ!」
うず「犯人は窓から侵入したのよ!」
徹也「お、落ちついて・・・・・・」
徹也「でも、這いあがる腕力とかを考えると、それができるのは男だろうね」
うず「つまり、犯人は男・・・・・・」
徹也「でも、窓からか。もっと早く気づいていれば、楽に侵入できたのにな・・・・・・」
うず「え? 何かいいました?」
徹也「ううん、何でも。それより、シキミさんの葬儀は京都で行われるらしいね」
徹也「僕も行こうかと思っているよ」
うず「そっか、彼女のお宅はあちらですもんね。 私も行こうかな・・・・・・」
徹也「えっ」
うず「え?」
徹也「いや、うずちゃんは、シキミさんとほぼ面識ないんだよね?」
徹也「意外というか・・・・・・」
うず「確かに一度電話をしただけですけど、恭介の被害者って共通点がありますし・・・・・・」
うず「あんな姿を見てしまったんじゃ、さすがにお葬式にも行きたくなりますよ」
徹也「そうか・・・・・・」
うず「あ、でも、恭介が入れてくれないかも・・・・・・」
徹也「シキミさんのご実家はけっこうな名家だから、」
徹也「多分参列者も多いし、そうそうはバレないよ。何なら、一緒に行く?」
うず「それなら、ぜひ!」
うず(・・・・・・そういえばあの日、恭介は何であんな時間に帰ってきたんだろう?)
うず(確か、通報時刻は14時10分)
うず(うちの会社は定時が18時だから、そんな時間に帰ってくるなんて変だよね・・・・・・)
うず(まさか、犯人は恭介・・・・・・?)

〇警察署の入口

〇大会議室
刑事「警部! 京都府警から被害者の有力な情報が届きました!」
警部「あん?」
刑事「過去、被害者にストーカー行為をしていた男が、接近禁止令を受けていたらしいです」
刑事「名前は、木曽徹也」
刑事「犯行時刻近くに、マンションの周りをウロウロしていた男です!」

次のエピソード:第4話 最悪なストーカー

コメント

  • 好感度上がっちゃった😨
    犯人より怖そうな人と行動を共にする緊張感がありました

  • やったぜ!変態さんからの好感度とスリスリリスクが少し上がったぞ!

    ……ドンマイヽ(´・∀・`)ノ

  • 変態探偵こと徹也さんの漏れ出る声が恐ろしすぎます!そしてその正体は接近禁止のストーカーとは。。。
    事件の謎もですが、濃ゆいキャラ達の今後について気になりますね!

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