絵本朗読のお仕事

おそなえひとみ

いざ収録(脚本)

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〇撮影スタジオ
  今日はオーディオブック、収録の日だ。
小榎秦楽(緊張するなぁ)
小榎秦楽(打ち合わせとかなかったし、手違いで台本も別物だった・・・)
小榎秦楽(問題しかなかったんだよな・・・)
小榎秦楽(でもスタジオは押さええちゃったから、日時ずらせないって言うし、心配しかないよ)
小榎秦楽「本日は、宜しくお願いします」
監督「あ、今日は宜しくねー」
監督「椅子の所に台本置いてあるでしょ。 そっちが今日使うヤツだから」
小榎秦楽「少し読んでも良いですか?」
監督「いやーそれがさー、思ったより時間がないから、さっさと本番始めちゃダメかな?」
小榎秦楽「えっ、いきなり始めるんですか!?」
監督「できればファーストテイクで決めたいから、バシッと頼むよ!!」
小榎秦楽(取り直しナシなの?なに、この現場!?)
監督「君なら出来るよ じゃあ、宜しく!!」
小榎秦楽(こ、こうなったらやるしかない。 自分を信じるんだ!!)
小榎秦楽「これが台本か・・・・・・」
小榎秦楽「えーっとオーディオブック版 お母さんが読まなくても大丈夫な絵本シリーズ『桃太郎』と・・・」
小榎秦楽「あの、すいません。 オーディオ・ブックって絵って付いてるんでしたっけ?」
監督「ないに決まってるじゃん」
小榎秦楽「ですよね、ありませんよねー」
小榎秦楽(じゃあ、なんで絵本って名付けてるの? バカなの? 作ったヤツは馬鹿なのか!?)
監督「じゃあ、収録始めるので宜しくぅ」
監督「キュー振り行くよー。 3、2、1、キュー!!」
小榎秦楽「昔、昔あるところにおじいさんと、おばあさんがいました」
小榎秦楽「今日もおじいさんはしばかれに・・・・・・」
小榎秦楽(おじいさんがシバかれたーっ!! 一体誰にー!!)
小榎秦楽(いや、今はそんなことを気にしている場合じゃない)
小榎秦楽「おばあさんは川に洗濯に行きました」
小榎秦楽「そうしたら川上からダンブルド、ダンブルドと大きな桃が流れてきました」
小榎秦楽(ちょっと待て!ドンブラコでしょ?)
小榎秦楽(ほとんど某魔術学校の校長の名前だよ!! 大丈夫なのこれ!?)
小榎秦楽(って、余計なことを考えてる場合じゃない、続けて読まないと)
小榎秦楽「おばあさんは大きな桃を家に持ち帰り、包丁を一振りして、中身を真っ二つ」
小榎秦楽「中にはなんと男の子が入っていました」
小榎秦楽「その子は桃太郎と名付けられスクスクと育ち、いつしか立派な青年になりました」
小榎秦楽「その頃、村では鬼ヶ島から悪い鬼がやってきて、拙者拙者詐欺や、夜這い系書簡を出すなどの悪さをしていました」
小榎秦楽「それを見かねた桃太郎」
小榎秦楽「「そんな悪い鬼は僕がやっつけてやる」と、キビ団子を片手に旅立ちました」
小榎秦楽「旅の途中、桃太郎はキジと出会いました」
小榎秦楽「へい、ボーイ。なにをしてるんだ?」
小榎秦楽「僕は桃太郎。今から鬼ヶ島へ行って鬼を退治するんだ!!」
小榎秦楽「アメリカなら桃はピーチ。太郎はジョンと言った所か。よし、ピーチ・ジョン、俺もお供してやるよ」
小榎秦楽(その名前はマズくない!? なに、ランジェリー用品の回し者なの!? もしかしてステルスマーケット?)
小榎秦楽(子供の内から、刷り込んでおくの?ブラジャーと言えばソレみたいに!?)
小榎秦楽「キジも鳴かずば撃たれまい。だが俺が鳴く前に撃ち殺されているのは鬼どもの方だ!!」
小榎秦楽(キジがムダにカッコ良い!ってか、キジが撃つの!?なんで銃持ってるの!?)
小榎秦楽「桃太郎はキジをお供に進むと、その先には犬が居ました」
小榎秦楽「ワン!」
小榎秦楽「キビ団子をやればお前も来てくれるのか」
小榎秦楽「バウッ!」
小榎秦楽「よし、僕に付いて来い」
小榎秦楽「ニャーン!」
小榎秦楽(どこから猫が湧いた!? えっ、犬が鳴いたの!? ニャーンって!?)
小榎秦楽(ってかキジと比べて、犬に対してリアリティを求めすぎてない?)
小榎秦楽(鳴き声しかないんだけど。 なのによく理解できたな桃太郎!)
小榎秦楽「さらに先へ進むとそこには猿がいました」
小榎秦楽「お前もキビ団子を上げれば、付いてきてくれるのか」
小榎秦楽「この豊臣秀吉、20万の軍勢と共にお助けいたします!!」
小榎秦楽(猿って、そっち!? 信長にそう呼ばれていた方の猿なの!?)
小榎秦楽(え、なに?キビ団子一つで付いてきてくれるの?安すぎない!?)
小榎秦楽(大丈夫、20万の軍勢がいたら天下も取れちゃうよ!?)
小榎秦楽「そうこうしてる内に桃太郎一行は鬼ヶ島に到着」
小榎秦楽「桃太郎の一行と、20万の軍勢を見た鬼は泣きだしました」
小榎秦楽(泣くよ!!そりゃ泣くよ。鬼からしたら、数の暴力にもほどが過ぎるもん!!)
小榎秦楽「そこへ、バーン!っと一発の銃声が響き渡ります」
小榎秦楽「撃ったのはもちろんキジです」
小榎秦楽「鳴かなければ撃たれなかったのにな・・・・・・」
小榎秦楽(違う!鳴くの意味が違う!!)
小榎秦楽(キジの鳴き声じゃないんだよ。 鬼は涙を流して泣いてたんだよ)
小榎秦楽(なんで撃つの!なんで撃つの!)
小榎秦楽「許してください、もう悪いことはしません、と鬼は涙を流して許しをこいました」
小榎秦楽「もう悪いことはしないと約束だ。そうしたら僕達は友達だ」
小榎秦楽「と桃太郎は言い、鬼と桃太郎は仲直りの握手をしました」
小榎秦楽「かくして1万石の大名となった鬼達を残し、桃太郎は無事に村へ帰りましたとさ」
小榎秦楽(友達じゃないよ、家臣だよ! これ猿の家臣になって終わってるよ!!)
監督「はーい、カットー。 お疲れっした―」
小榎秦楽「どんな本だよ!!」

コメント

  • なんだかんだ原作が基礎になっているところがいいですね!鬼以外の登場人物が、色々な意味でかなりパワーアップされていて、大人の桃太郎物語な感じでした。

  • 下読み無しの一発撮り、しかも台本の内容が。。。小ネタ満載のトンデモ内容にずっと笑いながら読んでいました。楽しいですねー!

  • ブラジャーの台詞声に出てたけど…大丈夫かな(笑)

    声優さんにファーストテイク求めるってどんな現場だよって突っ込みながら読みました。気楽に読めるギャグで楽しかったです。

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