第12章 秘密の恋(脚本)
〇噴水広場
ノエル・エンジェライト「おはようございます」
「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラさん おふたりはどうなさったのですか?」
ヴィオラ・コーディエ「えーっと・・・」
ミモザ・クラリティ「昨晩、なにかあったのですか?」
ヴィオラ・コーディエ「だいじょうぶ たいしたことじゃないから」
ミモザ・クラリティ「そうですか・・・?」
ヴィオラ・コーディエ(スペサルタイトに着くまでに仲直りさせないと)
ヴィオラ・コーディエ(ミモザとノエルには相談できないよな)
ヴィオラ・コーディエ(あたしがなんとかしないと・・・)
〇草原
ヴィオラ・コーディエ「雷精よ、わが叫びを聞け!」
ゴブリン「ギャーッ!」
ノエル・エンジェライト「・・・今のが最後の一匹です」
ミモザ・クラリティ「皆さん、お怪我はありませんか?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ミモザ、治療を頼む 左腕を負傷したようだ」
ミモザ・クラリティ「はい、すぐに・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・自分で治せば?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なに?」
デアネイ・フォン・スペサルト「自分も使えるんでしょ、光精術 姉上の手を煩わせないで」
ミモザ・クラリティ「デアネイ・・・?」
デアネイ・フォン・スペサルト「行こ、姉上!」
ミモザ・クラリティ「そ、そんなに手を引っ張らないで・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・なにがあったかは存じませんが 私情にとらわれるのは浅慮と・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ノ、ノエル!」
ヴィオラ・コーディエ「ちょっといいか? 訊きたいことがあるんだ!」
ノエル・エンジェライト「ええ、かまいません」
ヴィオラ・コーディエ「じゃ、こっちに・・・ あ、シグバートは自分で治せよ?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト「それで、訊きたいこととは」
ヴィオラ・コーディエ「えっと・・・」
ヴィオラ・コーディエ(やばい なにも考えてなかった)
ヴィオラ・コーディエ「ノエルはさ・・・」
ノエル・エンジェライト「はい」
ヴィオラ・コーディエ「・・・学園にいたときは、あんまりしゃべらなかったよな?」
ノエル・エンジェライト「必要ありませんでしたから」
ヴィオラ・コーディエ「けど、今はけっこうしゃべってくれるよな」
ヴィオラ・コーディエ「昨日だってその前だって、ミモザとしゃべってたんだろ?」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「それも必要な話だったのか?」
ノエル・エンジェライト「・・・いえ」
ノエル・エンジェライト「むしろ、彼女には・・・ 言うべきではないことばかりを口走ってしまう」
ヴィオラ・コーディエ「それって、ミモザなら話しやすいってこと?」
ノエル・エンジェライト「・・・ええ」
ヴィオラ・コーディエ「けど、そうだよな シグバートはうるさいし、あたしは頭使うの苦手だし」
ヴィオラ・コーディエ「適材適所ってやつだな!」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・ そうなのでしょうか・・・」
〇豪華な部屋
キープレート学園長「・・・よし」
研究員「失礼いたします」
キープレート学園長「いいところに来てくれました」
キープレート学園長「スペサルト調査隊にこれを託しなさい」
キープレート学園長「ヴィオラくんたちがそろそろ王都スペサルタイトへ到着するはずですから」
研究員「ノエルくん宛ですか?」
キープレート学園長「個人的な手紙です 養い親として心配しているのですよ」
キープレート学園長「それで、きみの用件は?」
研究員「・・・・・・」
研究員「昨晩、スペサルト郊外で仮面の戦士と接触しました」
研究員「幸い、土精術で退けましたが・・・」
キープレート学園長「そうでしたか・・・ よく無事で戻りました」
研究員「あの男が気になることを言っていたのです」
研究員「・・・自分の使命は学園長の野望を止めることだ、と」
キープレート学園長「・・・!」
研究員「あの男はなにかを知っているのですか?」
研究員「学園長・・・ あなたはなにを知っているのですか?」
〇草原
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・気になる? あのふたりのこと」
ミモザ・クラリティ「えっ!?」
デアネイ・フォン・スペサルト「ヴィオラさんとノエルさん」
ミモザ・クラリティ「いえ・・・ ただ、なにをお話しているのかなと・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上、やっぱり・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「デアネイ」
ミモザ・クラリティ「シグバート様?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレは昨夜の発言を訂正する気はないからな」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・!」
ミモザ・クラリティ「・・・デアネイ 昨夜、なにがあったの・・・?」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・・・・」
〇豪華な部屋
キープレート学園長「・・・・・・」
キープレート学園長「わたしは世界を救うために<虹>を架けたいと願っています」
キープレート学園長「彼はそれを阻止したい それだけのことです」
研究員「・・・・・・」
研究員「・・・承知しました では失礼いたします」
キープレート学園長(・・・奴の記憶は封じたはず まさか、封印が弱まってきているのか?)
キープレート学園長(あのとき始末できていれば・・・)
キープレート学園長(使える駒をこれ以上減らすわけにはいかない)
キープレート学園長「もう一手、打っておくか・・・」
〇空
〇森の中
ノエル・エンジェライト「今日はここで野営をしましょう」
ミモザ・クラリティ「明日にはスペサルタイトに着きそうですね・・・」
ヴィオラ・コーディエ「明日か・・・」
ヴィオラ・コーディエ(明日までに仲直りさせられるのかな・・・)
ノエル・エンジェライト「水を汲んできます」
デアネイ・フォン・スペサルト「ボクも行く!」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上も行こ!」
ミモザ・クラリティ「えっ、ええ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「あっ、デアネイ!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・・・・ シグバート、その・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ヴィオラ! 手元をよく見ろ!」
ヴィオラ・コーディエ「え? ・・・あっ!」
ヴィオラ・コーディエ「いてて・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「しゃべっていないで手を動かせ」
ヴィオラ・コーディエ「う、うん・・・」
〇空
〇テントの中
ヴィオラ・コーディエ「ただいま・・・」
ヴィオラ・コーディエ(シグバートの奴! なんであんな頑固なんだ!?)
ヴィオラ・コーディエ(あたしまであいつとケンカするとこだった・・・)
ミモザ・クラリティ「ヴィオラさん? どこへ行っていたのですか?」
ヴィオラ・コーディエ「いや、えっと・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・明日にはお別れなんだよね」
デアネイ・フォン・スペサルト「だから最後に訊いておきたいの」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上は、ノエルさんのどこを好きになったの?」
ミモザ・クラリティ「えっ・・・? ・・・え!?」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザ! ノエルのこと好きなのか!?」
デアネイ・フォン・スペサルト「ヴィオラさん、気づいてなかったの!?」
ミモザ・クラリティ「あ、あのっ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「けどシグバートは・・・?」
デアネイ・フォン・スペサルト「もう、ヴィオラさん! 恋愛はそういう理屈でするものじゃないんだから!」
ミモザ・クラリティ「わ、わたし・・・!」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・姉上 自分の心を偽らないで」
ミモザ・クラリティ「・・・!」
ミモザ・クラリティ「ごめんなさい・・・ わたし、こんなつもりじゃ・・・」
ミモザ・クラリティ「母上やスペサルトのために、シグバート様と結婚しなければいけないのに・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「謝ることないって! あたしはミモザの味方だからな!」
デアネイ・フォン・スペサルト「もちろんボクも!」
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラさん、デアネイ ありがとう・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「それで、どうしてノエルさんを好きになったの?」
ヴィオラ・コーディエ「あたしも気になるなー」
ヴィオラ・コーディエ「ノエルってそっけないじゃん 頭いいし魔法はすげーし、頼りにはなるけど」
デアネイ・フォン・スペサルト「全然笑わないし、ちょっと怖いよね」
ミモザ・クラリティ「そんなことはないです!」
ミモザ・クラリティ「その、ノエルさんは・・・」
〇西洋の市場
ノエル・エンジェライト「・・・わかりました では決してぼくから離れないでください」
ノエル・エンジェライト「貴方はぼくが守ります」
ミモザ・クラリティ「えっ? あ、ありがとう・・・」
〇テントの中
ミモザ・クラリティ「そう言ってくださって・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「えー、すごーい!」
ミモザ・クラリティ「わたしが不安そうにしていたから、そう言ってくださったのだと思います」
ミモザ・クラリティ「それでもわたし、うれしくて・・・」
ヴィオラ・コーディエ「あたしかシグバートが不安そうにしてたとして、あんなこと言うと思う?」
デアネイ・フォン・スペサルト「言わないでしょ」
ヴィオラ・コーディエ「だよな・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・もしかして! あいつ、ミモザのこと好きなんじゃないか!?」
デアネイ・フォン・スペサルト「今さら!? 今さらなの!?」
デアネイ・フォン・スペサルト「この前からそう言ってるでしょ!」
ミモザ・クラリティ「そっ・・・ そんなことはありません!」
ミモザ・クラリティ「ノエルさんは優しいから、ああ言ってくださっただけで・・・!」
ヴィオラ・コーディエ「優しい・・・?」
デアネイ・フォン・スペサルト「とにかく姉上 国のことは心配しないで」
デアネイ・フォン・スペサルト「ボクが王になれば、ブラッドショットとの婚姻同盟なんて必要ないもの」
ヴィオラ・コーディエ「シグバートだって、ミモザの気持ちを無視することはしないと思うぜ?」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・うん」
デアネイ・フォン・スペサルト「ね、姉上! いつ告白するの?」
ミモザ・クラリティ「え!?」
デアネイ・フォン・スペサルト「だって両想いでしょ? ボク、ふたりのことお祝いしたいな!」
ミモザ・クラリティ「い、いえっ、あの・・・!」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザだって心の準備が必要だろ?」
ヴィオラ・コーディエ「あたしも協力するからさ 後悔しないようにしようぜ!」
デアネイ・フォン・スペサルト「けど、ヴィオラさんのサポートじゃちょっと不安かも?」
ヴィオラ・コーディエ「どういう意味だよ?」
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
〇貴族の応接間
ナギット・フォン・スペサルト「もしシグバート王子の不興を買い、婚約が白紙になれば・・・」
ナギット・フォン・スペサルト「アケーシャの療養費やこれまでの生活費、すべて支払ってもらおう」
〇テントの中
ミモザ・クラリティ(ヴィオラさん、デアネイ・・・)
ミモザ・クラリティ(わたしが選べる道は、ひとつしかないけど・・・)
ミモザ・クラリティ(応援するって言ってくれたこと わたし、うれしかった・・・)
ミモザ・クラリティ(ノエルさん・・・)
ミモザ・クラリティ(ノエルさんを好きになったこと わたし、忘れない)
ミモザ・クラリティ(その思い出があれば・・・ この先なにがあっても、生きていけるわ)
〇空
〇ヨーロッパの街並み
スペサルト王国
王都スペサルタイト
デアネイ・フォン・スペサルト「ボク、城へ行くね」
デアネイ・フォン・スペサルト「短いあいだだったけど、ありがとう」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレとミモザも登城しよう」
ヴィオラ・コーディエ「あたしたちは買い出ししてるよ」
デアネイ・フォン・スペサルト「ノエルさん」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上のこと、お願いね!」
ミモザ・クラリティ「デアネイ、どうかした?」
デアネイ・フォン・スペサルト「今行く!」
ノエル・エンジェライト「・・・なぜぼくにあんなことを・・・」
ヴィオラ・コーディエ「な、なんでだろうな?」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・あのさ、ノエル」
ヴィオラ・コーディエ「ノエルってミモザの・・・」
研究員「いたいた!」
ヴィオラ・コーディエ「あ、学園の・・・」
研究員「ノエルくん これ、学園長から」
研究員「個人的な手紙だって」
ノエル・エンジェライト「・・・ありがとうございます」
研究員「それでね もうひとつ大事な知らせがあって・・・」
〇謁見の間
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・父上」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ナギット様、お久しぶりです」
ナギット・フォン・スペサルト「デアネイ 無事で安心したぞ」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上とシグバート王子 それにご学友が助けてくださいました」
ナギット・フォン・スペサルト「友人、か」
ナギット・フォン・スペサルト「あの若造の妄言を信用したのが間違いであった」
ナギット・フォン・スペサルト「オペラに恩を売るつもりだったが ・・・致し方あるまい」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・ナギット様?」
ナギット・フォン・スペサルト「ミモザ」
ミモザ・クラリティ「は、はい・・・」
ナギット・フォン・スペサルト「おまえは城に残れ 特別試験への参加は許さぬ」
ミモザ・クラリティ「・・・えっ!?」
学園長の陰謀が見えはじめましたね😱
女子でわちゃわちゃしてるの可愛かったです!ノエルとミモザは好き合ってるのに切ないなぁ……このまま引き裂かれてしまうのでしょうか?それでノエルが暴走しないといいけれど。
シグバートのぶっきらぼうで恋愛に不器用キャラが個人的にツボにハマりはじめました!怪我、すぐ治してくれるの良きですね☺️ヴィオラ本人が気づいてないのもジレジレしてて好きです〜♡