やせうま(脚本)
〇暖炉のある小屋
かがーみのなかを
のぞーいてごらん
かがーみのなかを
のぞーいてごらん
カグヤ「うっあ・・・」
カグヤ「その歌は、やめろ」
かがーみのなかを
カグヤ「やめろと言っているだろうが!」
〇暖炉のある小屋
カグヤ「天女の夢で目が覚める・・・ なんて朝だ」
おれは機械だから何も食べる必要はないが、ヒューマン・コンピュータシステムの都合上、睡眠は必要だった
カグヤ「弥七、見張っていてくれてありがとう」
シロ「・・・」
おれは誰もいない小屋の中を見回す
カグヤ「ネオ平安京からだいぶ遠くへ来たな 今日はどこまで行こうか」
24時間365日ネットが張り巡らされている世界ではもう、冒険も秘境も陳腐な言葉になっている
カグヤ「どこに行こうがなにをしようが何を考えようが全部筒抜けだ」
カグヤ「辺境は自分で作らねばならない」
カグヤ「どうせ今朝の天女の歌も 勝手におれの ヒューマン・コンピュータシステムに ダウンロードされて再生されたのだろう」
カグヤ「おれはオリジナルのカグヤとは全く関係のない別人だぞ」
カグヤ「迷惑だ」
カグヤ「・・・! 臭い気配がする」
カグヤ「誰か来たか」
おれは銃に手をかけて身構える
羅生門婆「かーみー かーみー」
カグヤ「まさかついてきたのか?!」
カグヤ「霊相手に銃は効かない」
カグヤ「ならば意識を使え。 おれは霊の発する電磁場に 影響されないと意図する!」
羅生門婆「カツラー!!」
シロ「『も』」
シロが深く『も』と唱えると
霊は成仏した
カグヤ「シロ 『も』とはなんだ?」
シロ「・・・」
カグヤ「も、も、も・・・ なんだろう、落ち着く音だ」
カグヤ「霊に効く言霊なのかもしれない 覚えておこう」
みちこ「あら、?」
みちこ「お嬢さんだあれ?」
カグヤ「カグヤ」
みちこ「ここはどこかしら? たしか買い物にでかけて・・・ それから・・・記憶がないわ」
カグヤ「あんたは羅生門の霊に憑かれてたんだ」
みちこ「まあ! なんてこと あなたが助けてくれたのね」
カグヤ「礼ならシロに言ってくれ」
みちこ「ありがとう シロちゃん」
シロ「・・・」
みちこ「で、ここはどこかしら?」
カグヤ「ネオ平安京から遠く離れた辺境だ」
みちこ「まあ どうやって帰りましょう」
カグヤ「どうする、シロ」
シロ「・・・」
カグヤ「シロがフルパワーであんたを ネオ平安京まで届けるらしい」
〇荒野
シロ「つかまれ」
〇荒野
みちこ「きゃーっっ」
カグヤ「はやすぎて 目が回るっ・・・!」
〇雨の歓楽街
カグヤ「もう着いた」
みちこ「時空が歪んだわね」
しらんひと「あ! みちこと 昨日の姉さんじゃねえか」
みちこ「知り合いなの?」
カグヤ「ナンパされた」
みちこ「はあ?」
しらんひと「いや、あんときゃ酔ってて」
みちこ「ごめんなさいねえ うちの弟が」
しらんひと「いってえ・・・」
みちこ「お詫びとお礼と言ってはなんだけど・・・ 家でなにか食べていかない?」
みちこ「家族でデジタルラーメン屋をやってるの」
みちこ「シロちゃんにもお礼したいのだけど デジタルラーメン食べれるかしら?」
カグヤ「シロはデジタルラーメン好きなのか・・・ わたしは嫌いだ」
みちこ「じゃあ、カグヤちゃんには やせうま作るわ!」
カグヤ「やせうま・・・?」
〇ラーメン屋のカウンター
みちこ「はい、 シロちゃんにデジタルラーメン」
みちこ「カグヤちゃんに デジタルやせうま」
カグヤ「む・・・ もちもちの麺にきなこが絡み付いて 美味・・・・・・」
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