第四話 生まれ変わり (脚本)
〇商店街
西崎英二「あ~ぁ、今度の祭りで夏も終わりかぁ・・・なんか時間早くねぇ二十歳過ぎると」
東丸佐恵子(そりゃぁ付き合い始めた高校生のトキメキがなくなったからでしょ・・・今日こそはハッキリさせるわもう5年目だし)
西崎英二「そうだ、今度さぁ海へ行かねぇ?」
東丸佐恵子「それより私の事どう思ってるのよ」
西崎英二「そ、そりゃ将来結婚したいと思ってるけど」
東丸佐恵子「けど?いい!私の同級生は皆結婚してるのよ、付き合って5年も経って親にも紹介してくれないなんて、目立つのよこんな田舎では」
西崎英二「う、ウン。中々きりだせなくてさオヤジに」
東丸佐恵子(酷いわ、今まで親に私の事を話してなかったの?)
東丸佐恵子「昨日さぁ、ウチの親戚からの紹介でお見合いしなければならないのよ私」
西崎英二「佐恵子がオヤジと仲の悪い東町商店街の組合長の娘でなければなぁ」
東丸佐恵子「そ、そんな事交際し始めた高校生の時からわかってたでしょ!!」
西崎英二(あぁ、折角海に行こうって誘ってるのに・・・面倒くせぃな)
西崎英二「してみれば・・・お見合い」
東丸佐恵子(さ、最低、英二ってこんな奴だったの?5年も待ったのよ私)
東丸佐恵子「な、何なのその言い草。信じられない・・・5年も付き合って・・・もういい分かったわ、私とは遊びだったのね」
西崎英二「そ、そんなんじゃねぇってば・・・おい待てよ、待てったら、さえちゃん」
〇神社の出店
西崎英二(独楽ちゃんも東京に行ってから随分と垢抜けたなぁ、佐恵子が居なければ元カレから現役に・・・イカン浮気は)
西崎英二「俺、これから明日の祭りの準備があるから、ここで」
仲間独楽「あら、そうなの?ありがとう・・・ねぇ今夜も来てみたいな英二と」
西崎英二「えぇっ、今夜から準備で忙しいんだけど」
仲間独楽「付き合い悪いぞ英二」
西崎英二「無理だよ、オヤジは西町商店街の組合長なんだぜ」
仲間独楽「じゃぁ、お父様の許可があればいいわけね」
西崎英二「許可する訳ねぇだろオヤジがさ」
仲間独楽「そっかなぁ・・・兎に角今夜ねバイバイ」
東丸佐恵子「お、お疲れ様です西崎さん」
西崎英二「あっ佐、東丸さんお散歩ですか?」
西崎英二(隣りの男性・・・誰だ?)
東丸佐恵子(どう?英二だけじゃないのよ私)
東丸佐恵子「こちら親戚から紹介された戸田孝輔さん」
戸田孝輔「戸田孝輔です・・・祭りの準備ですか?・・・大変ですね」
西崎英二「西崎英二です・・・親戚のご紹介って東丸さんのお見合い相手の」
戸田孝輔「ハイ、お初にお目にかかります」
西崎英二(何だよ佐恵子のやつ、当て付けやがって)
西崎英二「県の美人コンテストで優勝した事もある東丸さんを娶られる何て羨ましい」
戸田孝輔「イヤイヤ、まだご返事は頂いて無いのでそれは早いですよハハハ」
東丸佐恵子(もうバカ、何で「佐恵子は俺の女だ」って言ってくれないのよ英二は)
東丸佐恵子「さぁ、行きましょう孝輔さん・・・では失礼します」
そう言うと佐恵子はにこやかな顔で戸田と腕を組んで立ち去ろうとした
西崎英二「今夜の見廻り宜しくお願いしますね。東丸さん」
西崎英二(今夜の見廻りの時に言ってやらなきゃ、俺の気持ち)
〇神社の出店
西崎英二「何でだよ、祭りの準備で忙しいのに、オヤジが行けって」
仲間独楽「待った?英二」
西崎英二(ん、いい香り、それに今夜の独楽、妙に色っぽいな)
西崎英二「ああ」
仲間独楽「どう?私」
西崎英二「あぁ・・・随分と大人になったな」
仲間独楽「ありがとう、さぁ、行きましょう」
独楽はそう言うなり英二の腕に自分の腕を絡ませてきた
〇風流な庭園
西崎英二「何だ独楽ちゃんって射的上手くなったなぁハハハ」
仲間独楽「失礼ね前から上手いですよ・・・英二の心も射止められればいいな」
西崎英二「じょ・・・冗談も上手くなったね独楽ちゃん」
仲間独楽「冗談でないわ本気よ私」
西崎英二「しかし俺には佐恵子が」
仲間独楽「その佐恵子とは5年も付き合って未だ結婚してないじゃん」
西崎英二「そ、それは色々事情が・・・」
突然、独楽は英二の唇に自分の唇を重ねてきて英二は慌て避ける事が出来なかった
西崎英二「む、むぐっ・・・こ、独楽ちゃん」
東丸佐恵子「ひ、酷いわ」
西崎英二「ま、待ってくれ佐恵子・・・誤解だ」
〇神社の出店
東丸佐恵子(酷いわ・・・私が見合いしたからって)
西崎英二「ま、待ってくれ佐恵子、誤解だ」
西崎英二「説明すっからさ」
東丸佐恵子「離して、汚らわしい・・・無用よ弁解なんて、独楽と付き合えば」
西崎英二「明日オヤジに話をつけるから」
東丸佐恵子「勝手にどうぞ、私はお見合いの話を進めるわ」
西崎英二「愛してるのは佐恵子、君だけだ・・・結婚しよう」
東丸佐恵子「5年も待たされて、その挙句に浮気?冗談じゃないわ」
茫然としている英二に「恋愛相談」と書かれた幟を持った男が英二に近づいて英二の肩をたたいた。
ロシェル「何かお悩みですか?」
西崎英二「うるさいなぁ、あんたに関係ないだろ」
ロシェル「今のおなごはんと寄りを戻したいんでっしゃろ」
西崎英二「だからあんた誰?」
ロシェル「ワテは恋愛専門の悪魔ロシェルだす・・・あんさんの希望叶えまっせ」
西崎英二「悪魔?誰でもいいけど佐恵子と元通りにさせてくれるのか?」
ロシェル「任せてくれなはれ、ワテと契約したら叶えてあげまっせ」
西崎英二「どんな契約でもするぜ、佐恵子と元通りになるなら」
ロシェル「それでは、この契約書にサインを」
西崎英二「待て待てどんな契約?」
ロシェル「あんさんの魂を頂く契約だす」
西崎英二「馬鹿馬鹿しい、俺が死んだら元も子もないだろうが」
ロシェル「その期限はいつになるか分かりませんよってな、心配あらへん」
西崎英二「まぁ、どうせイカサマだろ」
ロシェル「明後日までに効果ない時は、お金を差し上げまひょ」
西崎英二「分かった幾らだ」
ロシェル「サービス期間中だすよって無料でおます」
西崎英二「そうか、それじゃぁサインな」
契約書にサインする英二
ロシェル「毎度おおきに」
西崎英二「これだけか?」
ロシェル「ヘイ」
ロシェルと名乗る男が忽然と消えた
西崎英二「あれ?何処へ・・・まぁいいかダメもとで試してみよう」
西崎英二「あっ、佐恵子か、さっきはゴメン。チョット話したいことあるから出てきてくれないか?・・・ウン済まないな・・・場所?」
西崎英二「痒い・・・イヤ佐恵子が行きたがっていたレストラン「モンブラン」なんかどうよ?・・・そうか良かったじゃぁ、待ってる」
〇レストランの個室
東丸佐恵子「話って?」
西崎英二「明日、オヤジに話をつけるから一緒に来てくれないか?」
東丸佐恵子「いいわよ、でもゆるしてくれるかなぁお父様」
西崎英二「妊娠したと言えば反対はしないさ」
東丸佐恵子「ええっ!嘘をつくの?」
西崎英二「嘘も方便さ、結婚してしまえばこっちのものだしな」
東丸佐恵子「それはそうだけど」
西崎英二「後は食べながら、決めようぜ日取り」
東丸佐恵子「それもそうね・・・ありがとう嬉しいわ」
〇ラブホテル
東丸佐恵子「ねぇ、考えたんだけど私」
西崎英二「何だい?」
東丸佐恵子「嘘はつきたくないからお父様に・・・今夜がんばってみない?」
西崎英二「ええっ!」
東丸佐恵子「それに今後神社裏のような事は起こしてほしくないわ私」
西崎英二「あれは独楽ちゃんが・・・」
東丸佐恵子「もう、兎に角頑張ってみようよ」
西崎英二「そうだねじゃぁ、入るか」
〇魔界
ロシェル「ルシファー様喜んでおくなはれ、契約1件取れましたでぇ」
悪魔ルシファー「そうか、それじゃぁ、その魂を明日中に持って来てくれロシェル」
ロシェル「ええっ!無理ですわ急に言われても」
悪魔ルシファー「ハルマゲドンでな思わぬ敗退をしてしまったから仕方ないだろう予備役も底をついたし」
ロシェル「そ、そやかて」
悪魔ルシファー「四の五の言うなルシファーの命令は絶対だ文句を言うと格下げしてゴブリンにしてしまうぞ、いのか」
ロシェル「トホホ、宮仕えは辛い」
〇電気屋
東丸佐恵子「よかった~お父様からお許しを頂いて」
西崎英二「なっ、言ったとおりだろ。妊娠してると言えばいくらオヤジでも拒否できないさ」
東丸佐恵子「ええ、後は私の親ね・・・大丈夫、例え嫌だと言っても私が英二さんの家に来てしまえばいいだけだから」
ロシェル「おはようさん」
西崎英二「あっ、昨夜の恋愛相談」
ロシェル「どないだす?」
西崎英二「ま、まさか佐恵子にばらすと強請に来たのか?」
ロシェル「まさか、魔法の効き目を確かめに来ただけや」
西崎英二「そうか、ありがとう。仲直りが出来て上手く結婚にこぎつけたよ」
ロシェル「それは良かったでんな・・・さてと契約の件なんやけど」
西崎英二「あぁ、でも何時でもいいんだろ俺が死ぬ時でもさ」
ロシェル「それが都合変わりましたんや、今すぐ持って行かなぁあかんようになりましてな、すみません」
西崎英二「なんだってー!」
東丸佐恵子「あっ、英二さん・・・どうしたの?急に・・・しっかりして」
ロシェル「すみません。ほな、もろうて行きます」
東丸佐恵子「待って、英二さんに何をしたの?」
ロシェル「契約を履行しただけでんがな」
東丸佐恵子「嘘おっしゃい」
ロシェル「いててて・・・何しますんや、離しいぃな」
東丸佐恵子「英二さんを元通りにしなさいよ」
ロシェル「イタタタ・・・アカン英二の魂を落としてしもうた」
東丸佐恵子「ウッ、・・・お腹が急に」
ロシェル「あぁぁ、英二の魂が娘さんのお腹の中に入ってしもうたがな・・・トホホ」
〇実家の居間
1年後、英二そっくりな赤ちゃんが生まれた
東丸佐恵子「よしよし翔太、ミルクの時間ね」
人間の良識に問いかけたとても楽しいお話でした! ただでさえ、独身を謳歌する人が増え続ける昨今、カップル誕生はとても貴重なことですね。魂抜かれる前に、彼女が身ごもってくれてよかったです。