愛と嘘とその他諸々

サカミキ

第二話 違和感(脚本)

愛と嘘とその他諸々

サカミキ

今すぐ読む

愛と嘘とその他諸々
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇明るいリビング
菜緒「私が目を離さなければ・・・ ごめんなさい」
紡「今朝は、誰と・・・」
  リビングの扉が開く音で、紡は言葉を飲み込む。
赤松(刑事)「すいませんね」
赤松(刑事)「で、旦那さん 朝帰りだったそですけど 近所で不審な人とか車とか見ませんでした?」
紡「いえ、特に気にはなりませんでした」
青木(刑事)「ちょっと、失礼します」
  青木がスマホ手に取り、リビングを出て行く。
赤松(刑事)「どちらで飲まれてたんですか?」
紡「アキ えっと──弟の家です」
赤松(刑事)「アキ? 寛大な奥さんでいいですねぇ よくあるんですか? 朝帰り」
菜緒「初めてです!」
紡「昨夜は、ちょっと飲み過ぎてしまって」
赤松(刑事)「弟さんとねぇ 仲いいんですねぇ」
紡「ええ、まぁ 親の連れ子どうしなので義理で 兄弟というより友達みたいな感じで」
菜緒「亜輝君は、複雑な家庭環境で育って 精神的に不安定なので・・・ 主人が気遣ってあげてるんです」
赤松(刑事)「奥さんもアキさんとは親しくされているんですか?」
菜緒「いえ、会ったのは一度だけです」
赤松(刑事)「一度だけ!?」
紡「先程から何ですか? 気になることがあるなら、はっきり言って下さい」
青木(刑事)「聞き込みによって目撃情報がでました」
  青木が赤松に耳打ちする。
赤松(刑事)「青木、いいよ。話して」
青木(刑事)「9時15分頃、公園の近くでベビーカーを引く女性の目撃情報が・・・ 黒っぽい服装で髪は黒髪で長かったと・・・」
青木(刑事)「マスクとサングラス、帽子で顔はわからなかったそうですが、女性にしては背が高めだったそうです」
赤松(刑事)「うーん、背の高さは靴でどうとでもなるし 髪もカツラがあるしなぁ この辺じゃ、監視カメラもドラレコも期待薄だなぁ」
赤松(刑事)「何か心辺りありません?」
「・・・・・・」
赤松(刑事)「もし、目撃された女性が連れ去り犯なら そうとうな計画性がうかがわれる 私の言いたい事、わかりますよね?」
「・・・・・・」
赤松(刑事)「浮気相手や浮気相手の連れ合いが子供を連れ去った なんて可能性は無いですかね?」
青木(刑事)「赤松さん! 失礼ですよ」
赤松(刑事)「じゃ、青木はどう思う?」
青木(刑事)「確かに、そういった事例は少なくないです でも、決め付けてかかるのは・・・」
赤松(刑事)「確認してるだけですよ 無いなら無いでいい」
  赤松が紡と菜緒を交互にみる。
赤松(刑事)「アキさんにお話伺えないですかね?」
紡「亜輝は、結婚もしてませんし 彼女も居ません 亜輝は関係ありません」
赤松(刑事)「えっ!? いや、あなたが本当に弟さんに会っていたのか確認したいだけで・・・」
紡「ああ」
赤松(刑事)「可能性を潰していくだけです 奥さんもその方がスッキリしません? お子さんを見つける為ですよ」
菜緒「そんな・・・」
  菜緒が紡の様子を伺う。
紡「あの── 亜輝は、人見知りというか、繊細な子で 私も一緒なら・・・」
赤松(刑事)「えっと・・・ アキさんはおいくつなんです?」
紡「28歳です」
赤松(刑事)「いい大人ですよね? 少しお話を伺うだけですよ」
紡「ちょっと、訳あって 亜輝は刑事さん達のような威圧感のある男性が苦手で・・・ 私が一緒じゃないと・・・」
赤松(刑事)「そんなに、威圧感あります?」
紡「す、すいません」
赤松(刑事)「まぁ、いいです じゃあ、こちらに呼んで頂けます?」
紡「わかりました」
  紡がスマホを手に取る。
菜緒「あの、もう一度あっ君を探しに行っても?」
青木(刑事)「いえ、こちらにいて下さい 何らかの連絡があるかもしれませんから」
菜緒「・・・」
赤松(刑事)「ところで奥さん ご近所さんとかお友達と 何かトラブルありませんでしたか?」
菜緒「トラブルはなかったと・・・」
赤松(刑事)「じゃあ、今朝は?」
菜緒「あぁ、どうしよう・・・どうしよう あっ君──あっ君──」
  奈緒が両手で顔を覆って泣き始める。
青木(刑事)「落ち着いて下さい こちらも懸命に探していますので・・・」
  赤松が青木に顎で合図を送る。
紡「菜緒・・・」
  紡が泣きじゃくる菜緒の肩を抱く。

〇シックな玄関
赤松(刑事)「何か奥さん、芝居がかってないか?」
青木(刑事)「そうですね あまり探られたくないみたいな・・・ 今朝の電話、やっぱり浮気相手ですかね?」
  インスターフォンの音が鳴る。
お巡りさん「マンションの前にいた真崎亜輝さんという方こちらに呼ばれたということなので お連れしました」
青木(刑事)「ありがとうございます」
紡「あ、亜輝」
  慌てた様子で紡が玄関に出てくる。
赤松(刑事)「あなたが亜輝さん? ずいぶん早かったですね」
亜輝「は、はい たまたま近くにいたので・・・」
赤松(刑事)「たまたまねぇ」
亜輝「・・・」
赤松(刑事)「事情は聞いてます?」
亜輝「は、はい 電話で・・・ 子供が居なくなったって・・・」
赤松(刑事)「じゃ、単刀直入に 亜輝さんは昨夜から今朝にかけてどちらにいらっしゃいました?」
亜輝「家に居ました」
赤松(刑事)「誰かと一緒でした?」
  亜輝は紡の方を見る。
  
  紡はうなずく。
亜輝「紡と一緒でした」
赤松(刑事)「そうですか」
紡「もう、いいですよね?」
赤松(刑事)「今朝の8時半頃から10時頃はどちらにいらっしゃいました?」
  赤松は紡の言葉を無視し、亜輝をジロリと見る。
赤松(刑事)「亜輝さん、男性にしては華奢ですね 格好によっては、女性に見えなくもない」
亜輝「えっ!!」
赤松(刑事)「詳しい話は中で・・・」
亜輝「あの えっと・・・ 菜緒さんと──ちょっと・・・」
  亜輝は俯いたまま、動こうとしない。
赤松(刑事)「菜緒さんと顔を合わせたくない事情が 何かあるみたいですね?」
紡「亜輝!?」

次のエピソード:第三話 後悔

成分キーワード

ページTOPへ