しょうもない人生なんてもんは

ブラ氏

どこにでもある日(脚本)

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〇個室のトイレ
俺「んっ・・・   ふっ!」
俺「・・・」
俺「んんっ」
  ボタッ・・ビチビチ・・
  ビチビチ・・ビチャッ・・・ピチョン
俺「・・・・・・・──ふぅ」
  うんこが出た。
俺(今日の授業全然出れなかったなぁ  お腹もまだ痛い)
  昨日の夜から腹が痛い。多分夕食に出た刺身のタイのせい。
俺「かみかみ〜かみかみ〜・・・」
俺「あれっ!紙がねぇ やべぇ」
俺(うーん、困ったなぁ どうするべきか)
俺(取り敢えず隣の部屋のやつを取るか)
俺(・・・)
俺「いや──待てよ」
俺(今僕の尻はパンツを履ける状態にはない! 硬え糞ならともかく 僕の出した糞はびっちびちの下痢便!!)
俺(パンツを上げようもんなら必ず汚ねぇ糞が付いちまう!!)
俺(僕が隣の部屋に行くということは! パンツ&ズボンを下ろしたまま一度今の部屋から出るということ!!)
俺「今の時間帯は皆部活中! つまりいつトイレに人が来るかは全く見当がつかない!」
俺(そして万が一僕が出ている間に誰かと出会ってしまったら・・・)
俺「恥の極みであることに違いはない!!!」
俺「・・・」
俺「だけど」
俺(僕は!僕の尻を拭く!!)

〇学校のトイレ
  僕は隣の部屋へ行くことにした。
俺(よし誰もいない・・・)
俺(一瞬で隣の部屋へ移る・・・!)
俺「──────」
俺「今だ!」
けんご「よぉ!お前今日よくトイレ行くよな 腹でも壊しt──」
俺「秘技!! デッドオブアイズ!!!!」
俺「でりゃぁあああ!!!!」
  けんごの目線が下半身へと向くより速く
  僕の人差し指と中指は彼の眼に届いていた。
  そしてけんごが目を開ける前にパンツとズボンを一掴みで上げ切った。
けんご「いっっって!!」
けんご「急に何すんだよ!」
俺「ごっ!ごめんねけんご!」
俺「丁度たかしの瞼にハエが2匹も止まっていたからつい・・・」
けんご「は?なんだよそれ そんな奇跡起きるんなら俺も見たかったわ」
けんご「普通ハエが瞼に2匹止まってたら先に写真とるだろ」
俺「そっそっそうだね・・・こっこっ今度から気をつけるよ」
けんご「まぁ良いけど・・・」
けんご「あっ!そういやさ数学の明日までのプリント見せろよ」
けんご「目潰しの詫びも兼ねてさ」
俺「全然良いよ! 取り敢えず教室に行っておいてくれるかな」
俺「ぼっ僕は先生に呼ばれてるから あっ後で行くよ!」
けんご「じゃあよろしくな」
俺「・・・」
  僕はパンツが濡れていて気持ちが悪かった。

〇個室のトイレ
  けんごが出て行くや否や僕はすぐに紙の残っている部屋へと駆け込んだ。
  そしてズボンをスッと下ろした後
  パンツをゆっくりと下ろした。
俺「・・・・はぁ」
  青色パンツの生地が濡れて深い紺色になり所々黄色みがかっていた。
俺「物体が濡れると濃くなるのは水分で表面が平らになって光が乱反射しなくなるかららしい」
俺「だから濡れることによって見える色はその物の本来の色なんだって」
俺(・・・取り敢えず拭こう)
  ──
俺(んーパンツも拭いたけどちょっと臭うなぁ)
  パンツは脱いでカバンに入れたけど
  結構臭った。
俺(さっきはトイレだったから臭いを誤魔化せたけど、教室だとバレるかもしれないなぁ)
俺(けんごには悪いけどこのまま誰とも会わずに帰ろう)

〇学校の昇降口
  僕は細心の注意を払い昇降口まで来た。
俺「・・・」
俺(パンツはカバンの奥底に詰めた筈なのに まだ臭いがまとわりついてきやがる)
(カバンの中は地獄に違いない)
俺「・・・」
???「あぁ いたいた」
俺「秘技!! デシーブバイフレグランス!!!!」
俺「それぇぇぇえい!!!」

〇花模様
このみ「きゃぁっ!!」
このみ「なにこれ! 良い匂い!!」
  辺り一面に甘く柔らかな香りが広がる。
俺「あぁ すみません!このみ先輩!」
俺「危ない・・・この距離まで人を近づけてしまった」
俺「僕の下足箱の中に大量の鮒寿司が入っていたのでつい・・・」
このみ「なにそれ?」
このみ「新手のイジメなら私が先生に言ってあげるから相談しなよ?」
俺「あっありがとうございます! でも今回は完全にイジメではなかったようなので遠慮しておきます・・・」
このみ「それなら良いけど」
このみ「あっそうそう! 君に言いたい事があったんだけどね」
このみ「今度テニスの大会があるんだけどエントリーするかどうか聞きたかったの」
俺「そういえば秋の大会もうすぐでしたね もちろんエントリーしますよ!」
このみ「じゃあエントリー代として1500円頂戴 なかったら今度でも良いけど」
俺「じゃあ今払います!!」
俺「・・・」
俺「・・・・・あ」

〇学校の昇降口
俺(まずい!これは不味すぎるっ!!)
俺(ここでカバンを開けてしまえばっ! 醜い臭いが流れ出てっ!この空間が公衆便所と同様になることは明白っっ!!)
けんご「おいっ!」
けんご「てめぇ何勝手に帰ってんだよ プリントみせるって言ったよな?」
けんご「カバンかせぇ!!」
このみ「何何!? すごい怒ってるね!?」
  けんごがプリントを取り出そうとカバンを開けた
  ガサッ・・・ガサガサ
  
  プリントを探すけんご。
けんご「ん?なんだこれ?」
俺「うわぁぁぁぁぁああああ──」

〇モヤモヤ
  けんごが僕のパンツを取り出した
  それから少しの間を経てうんちの臭いが広がっていった。
  僕はその後けんごが『臭っ』って言って臭パンツを投げ捨てたとこまで覚えてる。
  このみ先輩は多分鼻を押さえながら苦笑いしてたと思う。怖くて見れてないけどね。
  僕の視界が薄れていく。
  微かに見える僕のパンツはどこか嬉しそうだった。
  そうだよな。カバンの中じゃ臭いも籠るし気持ちが悪いよな。
  既に臭いんだからせめて空気の触れる外にいたいよな。
  ─ごめんよ。
  僕は
  僕は僕のことしか考えていなかったんだ。
  しょうもないな──

〇黒
  ─GAME OVER─

コメント

  • いきなり友達に目潰ししてびっくりしました。笑
    パンツは人がいないのを見計らって、トイレで洗ってからカバンに入れればよかったですね。

  • 悪運に悪運が重なってそのままうまく逃げられれば良かったのにそういうときに限ってってこのことですよね。
    数年後には笑える苦い青春の思い出になるといいな

  • 主人公のついていないぶりが、よく伝わってきました。(笑)何もかもタイミングが悪い時、ありますよね、確かに。明日はいい日でありますように。

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