エピソード4 狂気たち(脚本)
〇明るいリビング
南野優子「ふぅ」
南野正「買ってきたよ〜」
南野優子「ありがとう〜 ちょっとコーヒーブレイク」
南野正「ほい!頑張ってるご褒美です♪」
南野優子「やった!レアチーズケーキ! うれしい!」
南野正「結構進んだ?今は第四話だよね?」
南野優子「そうだよ〜 うーん!美味しい! そういえば第三話は読んだ?」
南野正「読んだけど・・・ 俺殺されてるじゃん!」
南野優子「さぁそれはどうかな?」
南野正「え?俺死んでないの?」
南野優子「はてさて お楽しみに!」
南野正「そうね 第四話を楽しみにしてるよ!」
南野正「でも優子がこういうのを書くとはね」
南野優子「正くんも新しい作品に挑戦してみればって言ってたじゃん!」
南野正「ホンジョウ先生の才能には頭が上がりません」
南野正「自分の本名やぼくの名前とか北川さんとかまで出てくるとは思わなかったけどね?」
南野優子「連載じゃなくて書き下ろしでの発表だから問題あれば最後に登場人物の名前は変えちゃえばいいじゃない?」
南野正「完全なフィクションを私小説的にドキュメンタリーで小説を書くっていうのも妙な迫力というか緊張感が出て面白いけどね」
南野優子「私も自分の中にこういう抽斗があったのは驚いたな」
南野優子「実際には男の人は正くんしか知らないのにね」
南野正「まぁフィクションって結局人間の見えない部分を引き摺り出すためにあるのかもしれないね」
南野優子「なるほどね! さすが編集長!」
南野優子「そうだ 今書いてる四話が終わったらちょっと実家に帰ろうと思って」
南野正「お母さん体調悪化したりしてるの?」
南野優子「悪化はしてないんだけど、まだ本調子じゃないみたいで」
南野優子「お姉ちゃんはいるけどね 一回様子見てこようと思って」
南野正「そうだよね 俺もなんとか休みとって一緒に行こうかな?」
南野優子「大丈夫だよ? 仕事忙しいでしょ? 北海道の奥地で遠いしさ」
南野正「うーん、でもな」
南野優子「大丈夫 何かあればすぐに連絡するからさ」
南野正「うん 気をつけてね?」
南野優子「うん」
〇地下に続く階段
〇オフィスのフロア
北川英子「編集長、この後お時間よろしいですか?」
南野正「ああ、大丈夫だよ」
北川英子「ちょっとご相談したいことがありまして・・・」
南野正「そうか わかった」
〇カラオケボックス(マイク等無し)
南野正「カラオケなんて久しぶりに来たな」
北川英子「そうね なかなか二人で来ることもなかったわね」
南野正「そうだね」
北川英子「奥さんとはどうなの?」
南野正「まぁね・・・ 特には」
北川英子「あんな小説書いてるんだから私たちのこと気がついてるんじゃない?」
南野正「それはどうかな? そんな感じでもないんだけど、」
北川英子「男って自分は不倫しているくせに妻に限ってはそんなはずはないとか考えたがる生き物よね」
南野正「そりゃ相手の内面まで全部理解するなんてことは例え何百年一緒に居たとしてもわからないかもしれないけど」
北川英子「信じることと真実から目を背けることは違うのよ?」
南野正「どうしたんだよ?そんなに突っかかって 不倫はお互い様だろ?」
南野正「それにもう関係を終わらせようって言ったのは英子じゃないか? これ以上一緒にいても先が見えないって」
北川英子「なんでかな?なんかイライラするのよ」
南野正「それで、今日は話があったんだろ?」
北川英子「そうね、その話をしないとね」
北川英子「妊娠したみたいなの」
南野正「え?それって・・・」
北川英子「100%あなたの子供よ 旦那とはずっとしてないもの」
南野正「そうか・・・ それでどうするんだ?」
北川英子「もちろん産むわよ」
南野正「旦那にはなんて言うんだよ?」
北川英子「妊娠がわかった日に旦那に酒飲ませて一度やったからその時できたで通せるわよ」
南野正「でもなぁ・・・」
北川英子「あなたに迷惑はかけないけど、何かあったら協力してよね?パパ!」
南野正「それって・・・」
北川英子「名前は男の子でも女の子でも亜紀にしようと思うわ」
南野正「それって小説の・・・」
北川英子「いい名前じゃない せっかく作家先生が考えてくれた名前なんだから使わせてもらうわよ」
南野正「一体何がしたいんだよ?」
北川英子「安心して しっかり育てるから」
〇オフィスのフロア
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)