エピソード5 存在たち(脚本)
〇渋谷の雑踏
〇渋谷の雑踏
〇渋谷の雑踏
〇おしゃれなキッチン
北川龍「何やってんだよ?お湯沸いてるぞ?」
北川英子「ああ、ありがとう」
北川龍「なんでもいいから早く何か食う物用意してくれよ」
北川英子「わかったわよ!」
北川龍「ちっ!」
北川英子「たく、何様よ? ろくに稼げもしないくせに」
北川英子「ふぅ・・・」
北川英子(第四話の内容は私のことに限って言えば事実と一致していたわ)
北川英子(第一話から第三話まではかなり違ってたけど)
北川英子(私に高校生の息子はいないし、うちの会社の社長に王様の格好させてSMプレイもしてないし、旦那は普通の会社員だし、)
北川英子(でも・・・)
北川英子(私の認識では小説を書いているのは南野正の奥さんでありホンジョウというペンネームで小説を書いている南野優子)
北川英子(この「THESEUS AND ANIMALS」を書いたのも南野優子のはずなのに編集部の誰もそのことを知らない)
北川英子(第三話までと同じように小説は匿名の誰かが送ってきていると思っている)
北川英子(でもそんなことありえる?)
北川英子(これって私の頭が狂ったとしか言いようがないわよね)
北川英子(とにかくもう一度ちゃんと確認してみるしかないわね)
〇地下に続く階段
〇シックなバー
北川英子は加瀬明日香を仕事終わりに飲みに誘った
二人は大学時代の友人だった
加瀬明日香「この店に来るの久しぶりね」
北川英子「そうね 昔はよく来たわよね」
マスター「これは珍しいお客さんだ」
加瀬明日香「マスター!久しぶり!」
マスター「忙しくしてるみたいだね?」
加瀬明日香「お陰様で」
マスター「何か飲みますか?」
加瀬明日香「やっぱりスコッチかな ロックでお願い」
北川英子「私はノンアルコールのカクテルで」
マスター「OK」
加瀬明日香「何よ?久しぶりに誘ってくれたかと思ったらノンアルコール?酒豪のあんたがどうしたのよ?」
北川英子「まぁちょっとね」
加瀬明日香「あれ? もしかして?」
北川英子「うん・・・」
加瀬明日香「やだ!おめでた? 何よそうならそうと言ってよね! おめでとう!」
北川英子「うん ありがとう・・・」
加瀬明日香「どうしたの?浮かない顔して 嬉しくないの?」
北川英子「嬉しいわよ でもちょっと戸惑ってるっていうか・・・」
加瀬明日香「旦那とはうまくいってるんでしょ?」
北川英子「うーん・・・まぁね・・・」
マスター「どうぞ ちょっと聞こえちゃったよ 英子おめでとう!」
北川英子「ありがとう」
マスター「これは僕の奢りだよ」
北川英子「嬉しい マスターありがとうね」
加瀬明日香「いいわね 私なんて仕事ばっかりで結婚もできてないし」
北川英子「でも編集長なんてすごいじゃない」
加瀬明日香「たまたまよ」
北川英子「いい相手はいないの?」
加瀬明日香「いないわよ〜」
北川英子「うちの会社では?」
加瀬明日香「全然ダメっしょ」
北川英子「明日香は理想が高いからな」
加瀬明日香「え──! そんなことないけど!」
加瀬明日香「それにしても英子はいいなー 仕事もできるし新しい家族もできるし」
北川英子「私が働いてるのは旦那の稼ぎがしょぼいからよ」
北川英子「そんなにいいもんじゃないわ 私は明日香の方が羨ましい」
加瀬明日香「まぁお互い無い物ねだりなのかもね」
北川英子「そうね それでちょっと聞こうと思ってたんだけど」
加瀬明日香「なんでも聞いてちょうだい」
北川英子「南野くんのことなんだけど」
加瀬明日香「南野くん?」
北川英子「彼が亡くなった経緯とかって詳しく知ってる?」
加瀬明日香「ちょっと待って、その南野くんって誰のこと?」
北川英子「え?いや誰って、私たち大学が一緒であなたは高校も一緒って聞いたけど、」
加瀬明日香「大学?高校?同級生? 南野なんて覚えがないけどな〜?」
北川英子「うそ、あなたの前任の編集長をしていたのよ?覚えてないって、そんなはずは・・・」
加瀬明日香「うーん、ちょっとまってね お手洗い行ってくる」
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