暗き街のエストレリャ

おそなえひとみ

落ちた星(脚本)

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〇貴族の部屋
アルテア「12時か・・・・・・」
アルテア「そろそろ時間だな、今日は帰る」
ベガ「今日はと言うことは、また来られるのですか?」
アルテア「無理に口調を作るなよ」
アルテア「下から顔色を覗きこまれているようで、気分が悪くなる」
ベガ「そうか・・・・・・ それで良いと言うのなら無理に作ることは止めよう」
アルテア「構わないさ」
アルテア「丁寧に取り繕っても、その下には薄汚い心があることには変わらない」
ベガ「貴族もそれは変わらないと?」
アルテア「だから俺の父と、お前の父親は手を組んでいるんだろう?」
ベガ「確かにな」
アルテア「さて・・・・・・ どうせ、また兄貴たちに誘われるんだ」
アルテア「その時はまた相手をしてくれ」
ベガ「私で良いのか?」
ベガ「好みの女性を言ってくれれば、用意しておくが?」
アルテア「必要ない。 こういう場所の人間はしたたか過ぎる」
アルテア「もっと純朴な人間の方が扱いやすい」
ベガ「一つ聞きたいな」
ベガ「人を使えるかどうかで判断する人間に幸福なんてあるのか?」
アルテア「俺も聞きたい」
アルテア「復讐を誓った人間に幸福なんてあるのかと?」

〇洋館の階段
エフライン「どうだったんだい、アルテア?」
アルテア「気に入らん」
アルテア「だが、また来てやっても良い」
ロレンシオ「素直じゃない奴だ・・・・・・」
ブリセイダ「本日は特別の寵愛を頂き、まことに感謝いたしますわ。ロレンシオ様」
ロレンシオ「世辞はいらん。金を払う分だけ楽しませてくれれば、それで良い」
エフライン「楽しかったよ。また来るから、元気でね。イレネ」
イレネ「えぇ、エフライン様もお元気で」
ブリセイダ「この街には義賊を騙る偽善者もいます」
ブリセイダ「くれぐれも道中はお気をつけください」
ロレンシオ「フガスとエンハンブレか・・・・・・」
イレネ「フガスではなく、エストレリャですわ」
アルテア「星を意味するエストレリャではないさ」
アルテア「ただのエストレリャ・フガスだ」
アルテア「いずれ落ちゆく流れ星さ」
ロレンシオ「そうだ。義賊と呼ばれてはいるが人心を惑わすただの悪党に過ぎん」
ベガ「そうですわ。その者達の行いによって涙を流すものもいます」
ベガ「本当にエストレリャと呼ばれるにふさわしい御方は、ドミナ・メンデス家ですわ」
ロレンシオ「ふ、達者な口だ」
エフライン「でもエンハンブレには気を付けないと」
エフライン「彼は殺人鬼だからね」
イレネ「エフライン様・・・・・・ どうか、お気を付けくださいね」
エフライン「大丈夫だよ、イレネ」
エフライン「僕達3人なら、たかが一人の襲撃者に遅れはとらないさ」
ロレンシオ「では、また気が向けば遊びに来る」
ブリセイダ「うまく取り入ったわね、ベガ」
ブリセイダ「まさかアルテア様のご指名を頂くなんて」
ベガ「取り入ったつもりはないさ、ブリセイダ」
ベガ「相手が勝手に選んだだけだ」
ブリセイダ「ふん、でも三男だものね」
ブリセイダ「長男のロレンシオ様に比べれば、どのみち劣るわ」
ベガ「夢は見ないことよ、ブリセイダ」
ベガ「特に素敵な夢はね」
ベガ「私達に見ることは許されないものよ。 イレネも気を付けて・・・・・・」
イレネ「でもエフライン様は真面目で、素敵な方よ」
イレネ「とても大事にして下さるもの」
ベガ「だとしてもよ、イレネ」
ベガ「どれだけ寵愛を受けても、私達はただの愛人にしかなれないのだから」

〇貴族の応接間
  リベラ・オリエウラ家
シプリアノ「入れ」
マルセリノ「失礼します、シプリアノ様」
シプリアノ「なんの用件だ?」
マルセリノ「エンハンブレの件についてです」
シプリアノ「素性が分かったか?」
マルセリノ「申し訳ありません。 そちらはまだなにも・・・・・・」
マルセリノ「ただ自警団の方で新たな動きが」
シプリアノ「腕のある奴を登用したか?」
マルセリノ「雇われたのはライラプスです」
シプリアノ「非合法のカッチャートレ(狩人)か・・・・・・」
シプリアノ「また、厄介なヤツを雇ったものだ」
シプリアノ「しばらくは、こちらも表向きの活動だけにしておけ」
シプリアノ「よけいな餌を与える必要はない」
マルセリノ「かしこまりました」
シプリアノ「ところでマルセリノよ」
マルセリノ「なんでしょうか?」
シプリアノ「ベガのことをどう思う」
マルセリノ「質問の意図を図りかねます・・・・・・」
シプリアノ「変わったこと・・・・・・ 気にかかることはないか?」
マルセリノ「フリオ様を失ってからは、気丈に振舞っておられますね」
マルセリノ「アマリリスでも良くやっておられるとお聞しきます」
シプリアノ「何か気になることがあれば、私に伝えろ」
シプリアノ「フリオを失くしてからの、アイツの目の中の光が気に掛かる」
マルセリノ「気にしすぎでは?」
シプリアノ「かもしれん」
シプリアノ「だが例え身内でも用心するのが、我々の性分だからな」

〇中世の街並み
  暗黒街プルガトリオ
ベガ(いつ歩いても気分の悪くなる街だ・・・・・・)
ベガ(昼間から酒に酔いつぶれた連中。 誰かを威嚇したり脅したりする罵声)
ベガ(肩がぶつかった、目が合ったというだけで、殴り合いを始める男ども・・・・・・)
ベガ(早くどうにかしたいものだ・・・・・・)
  街の路地に居た子供が、ベガの姿を見ると近くに歩み寄り、スカートの裾を掴む。
男の子「ねぇ、お姉ちゃん・・・・・・」
ベガ「ん?どうした、私に用か?」
男の子「お金ある?なかったら食べ物でも良いんだ・・・・・・」
ベガ「すまない、どちらも今は持ってないんだ」
男の子「そう・・・・・・」
女の子「絶対、嘘だよ。 お金くらい持ってるでしょ?」
ベガ「すまない、今日は本当に持ってないんだ」
女の子「ちぇ、役に立たないの」
ベガ(この街で安易に施しをすることは危険だ・・・・・・)
ベガ(人に分け当たれば、すぐに困窮した者に取り囲まれる)
ベガ(金目の物を持っていると思われるだけで、犯罪に巻き込まれる確率が一段と高くなる)
ベガ(ましてや女の身となれば、なおさらだ)
ベガ(犯罪は表だって行われている)
ベガ(なのに、善意は裏でコソコソとするしかないとはな・・・・・・)
男の子「早くまたエストレリャが出てこないかな・・・・・・」
男の子「また悪い奴からお金を盗んでくれると良いのに・・・・・・」
女の子「えーエストレリャじゃ悪い奴をやっつけてくれないじゃん」
女の子「頼りになるのはエンハンブレだよ」
ベガ「エンハンブレ・・・・・・」
ベガ(そいつの名前を聞くだけで、胸が騒めきたつ・・・・・・)

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コメント

  • ベガ、違う魔法も使えるんですね!たぶんエルハンブレのためのとっておきを一つだけ持っているんですね。

    ベランダのシーンですが、エストレリャと同じ絵で名前を「???」でキャラクター作ると、読者に正体を隠しつつ、ベガの最後の一言でエストレリャだとわかるという演出ができます。
    キャラクター紹介を先に見てしまった人にはわかってしまいますが…。

    意外と味方はいるみたい?次も楽しみです。

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