エピソード2 思惑(脚本)
〇学校の廊下
4月3日
朝
マナミ「おはよー アリス!」
アリス「おっはよーマナミ! 今日も元気にレッツゴーだよ!」
マナミ(この子はアリス! 私の親友でとっても元気な子なんです)
アリス「昨日の宿題やった? 意外と難しくて、私苦戦しちゃったよー」
マナミ「あ・・・ やり忘れた・・・」
アリス「・・・!?」
マナミ「昨日は夜までバイトあったから、つい忘れちゃってた・・・」
マナミ(本当は情報屋と接触してたけど、 アリスには絶対に秘密にしないと・・・)
アリス「あらら・・・ 最近毎日バイトだね?」
アリス「大丈夫?」
マナミ「うん・・・全然大丈夫だよ」
マナミ「というわけで宿題見せて!」
アリス「・・・!」
アリス「もう仕方ないなー」
アリス「その代わり、今度ジュースおごってよね!」
マナミ「OK! OK! 何十本でも奢っちゃう!」
アリス「そんなに飲めないよ!?」
マナミ「え!? この前キャラメルフラペチーノ、美味しい!って何杯も飲んでなかったっけ?」
アリス「うっ・・・その話はやめてー」
アリス「私は学んだんだよ」
アリス「美味しいからって飲みすぎると、体重が狂うって・・・」
マナミ「アリス・・・一体何kg・・・」
アリス「うわーー!! 触れないでー!」
マナミ「あっチャイムが・・・」
アリス「まさかチャイムに救われるとは・・・!」
アリス「まぁとりあえず教室戻ろうか」
マナミ「そうだね・・・体重は後で聞くよ」
アリス「その記憶は授業中に綺麗に忘れてくれー!」
シュウ「あっマナミさん、すみません・・・」
マナミ「シュウ君・・・?」
マナミ(この人はシュウ。 私と同じクラスで陸上部のエース! かなり無口でミステリアスな子です)
アリス「おやおや濃厚な恋愛の香りが!」
シュウ「違います・・・」
アリス「即座に否定!?」
マナミ「なんか傷つく・・・」
マナミ「・・・それで何か用なの?」
シュウ「・・・」
マナミ「??」
シュウ「昨日本当にバイトだったんですよね?」
マナミ「!?」
マナミ「・・・ど、どういうこと・・・?」
シュウ「・・・いぇ」
シュウ「すみません・・・違うなら良いんです」
シュウ「ちょっとした勘違いというか・・・」
シュウ「まぁあんまり気にしないでください」
シュウ「授業も始まりますし、はやく教室にもどりましょうか」
アリス「あれって高度な恋愛術かな?」
マナミ「それは違うと思う・・・」
マナミ(情報屋のユウとの接触を見られていた?)
マナミ(いや、あそこは住宅街でもない路地)
マナミ(人通りはゼロに近く、会うときは人の目に細心の注意を払っている)
マナミ(にも関わらず、ばれた?)
マナミ(ユウの仲間か・・・?)
マナミ「それとも「蛇」の・・・」
アリス「・・・マナミ?」
マナミ「あっ!」
マナミ「ごめん・・・ちょっと考え事しちゃって!」
アリス「あらら・・・」
アリス「まぁシュウ君のあの態度は気になるよね・・・」
アリス「ミステリアスな男の恋心か・・・」
アリス「気になるね・・・!」
マナミ「う、うん・・・」
アリス「まぁ今は教室戻ろっか」
マナミ「・・・」
〇ビルの裏通り
4月9日
深夜
ユウ「・・・準備はいいか?」
マナミ「もちろん・・・」
マナミ「変装も完璧」
ユウ「ウィッグとスーツか・・・」
ユウ「まぁいいだろう・・・」
ユウ「では立花の仕事場に行く前に彼の詳しい情報を伝えておく」
マナミ「分かった・・・」
ユウ「彼の仕事は主に麻薬の密売だ」
ユウ「地方に仕事場をおき、ネットを経由しつつ、麻薬を売っているようだ」
ユウ「まぁつまり今日行くところは立花の家だな」
ユウ「とある住宅街にある古びた一軒家に立花は住んでいるんだ」
マナミ「なるほどね・・・」
マナミ「質問だけど、その一軒家の入り方は?」
マナミ「まさか窓や扉を壊して入るわけじゃないでしょ?」
ユウ「そこに抜かりはない」
マナミ「これは・・・」
ユウ「立花の家に入れるマスターキーだ」
ユウ「これさえあれば楽に家に上がれる」
マナミ「こんな便利なものが・・・」
ユウ「・・・しかし便利なものも、結局は使えなければ意味はない」
マナミ「・・・?」
ユウ「立花は麻薬の密売で儲けた金を使って、常に警備員を配置しているんだ」
ユウ「家の侵入を防ぐように玄関ドアの前には常に警備員が立っている」
マナミ「よっぽど命を狙われてるようね・・・」
ユウ「そうだな・・・麻薬の輸入ルート関連で裏社会の住人と度々揉めているらしい」
ユウ「夜寝ている間に襲撃者に襲われても大丈夫なように、警備員がいるようだ・・・」
マナミ「つまりその警備員を何とかすればいいのね」
ユウ「・・・随分余裕だな?」
マナミ「まぁ私強いから」
ユウ「・・・」
ユウ「ならその言葉を信じることにするよ・・・」
ユウ「それじゃあ行くか・・・」
マナミ「えぇ・・・ 道案内よろしくね・・・」
ユウ「何を言っている? 俺も一緒に立花に会いに行くぞ」
マナミ「・・・!」
マナミ「分かった・・・」
マナミ「じゃあエスコートをお願いね・・・」
ユウ「あぁ」
マナミ(ユウ・・・)
マナミ(「蛇」を探す私に突然接触してきた情報屋)
マナミ(あなたの正体が私には分からない・・・)
マナミ(シュウ君と接点があるのかどうか・・・)
マナミ(あなたの思惑も・・・)
マナミ(それでも・・・)
マナミ(私はあなたを利用する)
マナミ(もしかしたら利用されてるのは私かもしれない・・・)
マナミ(でも「蛇」に近づけるならそれでいい)
マナミ「じゃあ行こ」
ユウ「・・・」