真夏の人間日記「僕達は悪魔で機械な青春が死体!」

不安狗

18/正体(脚本)

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〇カウンター席
山河店長「・・・・・・それは勿論、お兄様に言い寄ってくるコバエを食べるため、ですよ」
  「・・・・・・お兄様?」
山河店長「私は先輩の、ハエトリグサですから」
  店長の渋い声が、段々高くなっていく。
  背が縮んでいく。
  そして髪の色が、金色に染まっていく。
  「店長、じゃない・・・・・・、お前・・・・・・!」
  僕の目の前でニッコリと笑っているのは、山河店長ではなく、悪魔コロンだった。
コロン「またお会いできて光栄です」
コロン「私はコロン」
コロン「あなたの力を、借りに来ました」
  「コロン、何で・・・・・・?」
コロン「どうしたんですかお兄様、そんな悪魔でも見るような顔して・・・・・・」
  いや、これはどういうことだ・・・・・・?
  「えっと、つまり・・・・・・」
  「コロンは、山河店長だったってこと?」
コロン「いえ」
コロン「山河店長がコロンだったんですよ、お兄様」
コロン「山河虎論という人間なんて存在しませんから」
  店長が、存在しない・・・・・・?
  「それは・・・・・・このアンドロイドがいる世界で、ってこと、だよね・・・・・・?」
コロン「いえ。山河虎論という人間なんて、どこにも存在しないんですよ」
コロン「今までお兄様が見てきた山河虎論という人間は、全て私です」
  「いや、は・・・・・・?」
コロン「ついでに言えば、先輩が今まで見てきた宮浦悟朗という高校教師も、全て私ですよ」
  「え、え・・・・・・?」
  流石にもう、流石の僕も、ついていけていなかった。
  僕が関わってきた人達が、全員コロンだったっていうのか?
  じゃあもしかしたら、久野も、ミウさんも・・・・・・?
  いや、そんなことがあり得るのか? いやでも、ここ数日起きていたことは、普通に考えればあり得ないことだった。
  じゃあ、だとしたら・・・・・・。
コロン「私はフィクサー兼、舞台装置ですから」
コロン「ついでにお兄様のご両親のことも、説明しておきましょうか?」
  「次は、親・・・・・・?」
  僕の両親も、コロンだったっていうのか?
  じゃあ僕は、悪魔の子供なのか?
コロン「それでは先輩、私についてきてください」

〇店の入口
  既に頭がパンクしていた僕は、コロンに言われるがまま、コロンの後を追いかけていた。
  上空を飛び交うドローンの羽音が、やけに頭の中に響いていた。

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