高田と新田(仮)

久瀬

その日の新田の昼飯はメロンパンだった(脚本)

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久瀬

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〇教室
新田「やっっと、お昼ご飯だぜ。 俺もうお腹ペコペコー!」
新田「全く、生物の花山先生は花言葉についてのウンチク語りすぎなんだよなぁ」
高田「そうか? 僕はけっこう、面白いと思ったけどな」
新田「まじか。 やっぱ、高田って変わってんだなぁ。 ま、そんなことより飯だ、飯」
高田「そうだな。時間は有限だ。 昼休みといえど、その余暇を無駄にするわけにはいかないな」
新田「高田ってすぐ難しい言葉使うよなー。 で、お前の弁当、なに? 今日は何入ってんの?」
高田「ん? 別にいいが。 お前、毎日毎日僕の弁当見て飽きないのか?」
新田「全然! ほら、俺って母子家庭で忙しいから昼飯はコンビニじゃん? だからお前の手作り弁当って珍しくてさ」
高田「そういえば、新田はいつもコンビニ飯だったな。 ──ふむ、ならば僕のお弁当に刮目せよ!!」
新田「どきどき」
高田「弁当箱一面に敷き詰められたエビ焼売だ」
新田「・・・・・・え?」
高田「だから、エビ焼売だ」
新田「いや、それは聞こえてたんだけど。 えっと、なに?」
新田「エビ焼売・・・・・・だけ?」
高田「そうだ!!!」
新田「いや、なんでだよ!!?」
新田「何がどうして、そうなったんだよ!!? エビ焼売だけってこと普通あるか!?」
高田「ここに、あるっ!!!」
新田「いや、大喜利やってんじゃねえんだわ。 ・・・どした? 家族と喧嘩か? 俺なんか話とか聞くか?」
高田「いや、喧嘩とかではないんだが。 昨日、少し家族で話をしてな」
新田「うん。 それでどうして一面エビ焼売になったのか、俺には全く分からねえな」
高田「まあ、いや、その・・・・・・ 新田にはガッカリさせてしまうというか。 そんなたいそうな話ではないのだが」
新田「・・・なあ、高田。 俺、お前とはまだ付き合い浅いけど、さ」
新田「お前は赤点とった俺の補習に付き合って、勉強教えてくれたいいヤツだ」
新田「だからもしお前が困ってるなら、次は俺がお前の助けになってやりたいんだ!」
新田「だから高田が何を言っても俺はガッカリなんてしないぜ!!」
高田「新田、まさか、お前がそんなことを思っていたなんて、知らなかった」
新田「へへっ、恥ずかしくて黙ってたけどさ。 俺はお前のこと親友だって思ってるんだ」
新田「言えよ。 どんな台詞だって受け止めてやるぜ!!」
高田「分かった、実は・・・」
高田「これは知ってるヤツしか知らないんだが、メロンパンにはメロンが入ってないんだ。 ・・・メロンパンなのにだぞ?」
新田「うん?」
高田「だが、エビ焼売にはちゃんとエビが入っているんだ!! すごいよな!」
新田「えっ、何が?当たり前じゃね? ・・・・・・え?」
高田「僕ら家族はみんな、この知ってしまった世界の真理、エビ焼売の真理に衝撃を受けてな」
新田「エビ焼売を世界の真理に加えないでくれ。 てか、エビ焼売の真理ってなんだよ。 そんな真理があってたまるか」
高田「気がついたら、冷蔵庫に入らないほどエビ焼売を買い込んでたんだ」
新田(あっ・・・・・・)
高田「だから昨日も今日も明日もエビ焼売パーリナイ! 当然、僕のお弁当もエビ焼売パーリナイ!!」
新田「・・・・・・」
高田「ただ、それだけだ」
高田「他にたいした理由はないぞ」
新田「・・・・・・まじで?」
高田「ああ、そうだ」
  ・・・・・・・・・
新田「すぅーーーっっつ」
新田「くっっだらねーー!! 今日でお前の親友止めるわ!!!」

コメント

  • 理屈っぽいけどどこかお間抜けな高田くんと、一見チャラいけど心根の優しい新田くんとのコンビネーションがいいですね。噛み合ってるようで微妙に噛み合わない、けど仲良しな二人の会話をずっと聞いていたいです。

  • この空気感、楽しいです!
    高田君のご家族はピュアというか、清新な感性をお持ちですね。「うぐいすパンなのにうぐいすは入っていない」とか「叉焼なのに焼いていない」とか、いろんなパターンが期待させそうですね!私も最近のエビ焼売には感動している1人ですw

  • 焼売の中身に感銘をうけて買いあさる高田君のファミリーはなんて愛らしいんでしょうね。すごく好感もちました。旦那さんが桃が好きすぎて、冷蔵庫に入りきれないほど箱買いして、朝昼晩桃食べて消費したといっていた友人がいました、似てる!

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