第3話(脚本)
〇ヨーロッパの街並み
〇怪しげな酒場
グライユ・アーティ・マーナガルム(どういうことだ!?︎)
グライユ・アーティ・マーナガルム(魔法をかけたわけでもないのに、傷が完全に消えている)
ダフネ・シヴァイニアック「そ、それはなんの力なのです?」
グライユ・アーティ・マーナガルム「!!」
グライユ・アーティ・マーナガルム(傷が自然に治るなど誰かに知られたら、大ごとだ)
グライユ・アーティ・マーナガルム(ましてや、聖魔道師に知られたら)
グライユ・アーティ・マーナガルム(どうにか誤魔化さねば!)
グライユ・アーティ・マーナガルム「ち、治療薬を飲んだんだ」
ダフネ・シヴァイニアック「ああ、先ほどの薬ですね!! 傷も治すのですね」
ダフネ・シヴァイニアック「素晴らしい万能薬ですね!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「・・・ごまかせたか?」
〇黒
〇睡蓮の花園
「っちゅ・・・ちゅく・・・」
「・・・はぁ・・・はぁ」
「・・・ちゅ・・・」
〇黒
「うわぁああ!!」
〇城の客室
グライユ・アーティ・マーナガルム「・・・なんて夢を」
「どうしてあんな夢を見たのだ?」
「あのご令嬢と、あんな淫らなキスを・・・」
「・・・彼女は一体どこにいるのだ」
〇ヨーロッパの街並み
ダフネ・シヴァイニアック「グライユ団長殿、同行を認めてくださり感謝申し上げます」
グライユ・アーティ・マーナガルム「本当に一緒に行くのか?」
ダフネ・シヴァイニアック「はい。発生したばかりの悪魔蔓のサンプルも持ち帰りたいですので」
グライユ・アーティ・マーナガルム「では向かおう」
ダフネ・シヴァイニアック「あっ。お待ちください!」
ダフネ・シヴァイニアック「ささやかながら、精霊の加護を贈らせていただきました」
グライユ・アーティ・マーナガルム「そうか。助かる」
〇西洋の街並み
西区・レオフェカ村 悪魔蔓発生地区
〇西洋の街並み
レオフェカ村長「ようこそおいでくださいました」
レオフェカ村長「宮廷調査団の皆様なら彼方の離れの館におります。ご案内差し上げますぞ」
「案内だと?」
「それより住民の避難はどうなっている?」
レオフェカ村長「避難? はて、どういうことでしょう?」
〇城の会議室
第3部隊隊員1「おーい。酒が足りてないぞ! さっさと持ってこい!」
第3部隊隊員1「やはり越境の村では飯も貧相ですね」
第3部隊隊員1「女も痩せすぎていて抱き心地も良くないですし」
第3部隊隊員1「はっは! それはお前が選り好みしたからだろう?」
第3部隊隊員1「容姿などそこそこでよければ、それなりに楽しめる女がいるというのに」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「お前たち」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「あまりハメを外すな。 明日には王都から調査隊がくることになっている」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「下手な噂がたてば、あの団長様の耳に入るやも知れぬぞ」
第3部隊隊員1「ははは!」
第3部隊隊員1「あの堅物殿下は、正義を振りかざすのが大好きなお方だからな!」
第3部隊隊員1「こういう楽しみがないと、隊員なんかやってられないというのに」
第3部隊隊員1「ほら!さっさと酒を注がないか!」
???「私が注いでやろう」
第3部隊隊員1「グライユ団長!!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「昼間から酒盛りとは、豪勢な予算の使い方をしているのだなスカム隊長?」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「こ、これは、その!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「現着して、まず最初にするのは兵に食事を摂らせることと教えられたのか?」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「現着したら、まず住民避難、および悪魔蔓の駆除、魔獣の対策のために兵の配備であります!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「全て終えたのか?」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「・・・」
グライユ・アーティ・マーナガルム「すぐに動け」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「はい! 直ちに! お前ら! 行くぞ!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「見苦しいところを見せたな」
ダフネ・シヴァイニアック「どこの隊も同じようなものですから。 上司がいないとダラケたくなりますよ」
ダフネ・シヴァイニアック「あ、僕はサボりませんよ」
ダフネ・シヴァイニアック「こんな越境にくるぐらいやる気満々な人ですよ?」
グライユ・アーティ・マーナガルム「ふはっ、 君には、叱ることなどない」
グライユ・アーティ・マーナガルム「では、私は住民避難に参る」
ダフネ・シヴァイニアック「私は悪魔蔓の発生源を確かめに行きますね」
〇西洋の街並み
グライユ・アーティ・マーナガルム「住民の避難は、完了したようだな」
「グライユ団長!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「どうした?」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「北の方角の森の中に、魔獣らしき姿をとらえたと報告がありました」
グライユ・アーティ・マーナガルム「わかった。 兵と武器を集め、魔獣退治に向かうぞ」
〇けもの道
魔獣「ギュキュッッギュッギュッギュ」
〇森の中
第3部隊隊長 クロノス・スカム「距離はありますが、村へと降りてくる可能性もあります」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「いかがいたしますか」
グライユ・アーティ・マーナガルム「狙撃できる距離まで、追い込んでみよう」
グライユ・アーティ・マーナガルム「第3部隊のメンバーを何人か借りるぞ」
〇けもの道
魔獣「ギュッギュッッギュッギュッ」
「一斉に、放て!」
魔獣「ギュギュッギュッッギュッギュッ」
「そっちへ行ったぞ! 追い込め!!」
魔獣「ギュギュッギュッッギュッギュ」
〇けもの道
ダフネ・シヴァイニアック「この辺りだろうか? だいぶ瘴気が強まってきたな」
ダフネ・シヴァイニアック「あ、あった! 悪魔蔓!」
ダフネ・シヴァイニアック「それに、獣の足跡???」
魔獣「ギュウッグギュギュギュ」
ダフネ・シヴァイニアック「う、うわあああ! 魔獣!!」
〇森の中
第3部隊隊長 クロノス・スカム「隊長! 魔獣に追いかけられてる奴がいます!」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「森に入るなって言ったのに、一体どこのバカだ?」
第3部隊隊員1「例の聖魔導師です!」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「あいつ・・・。まだ生きていたのか」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「ちょうどいい」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「さっきの憂さ晴らしに、遊んでやろう」
〇けもの道
魔獣「ギュッギュッッギュッギュッ!」
ダフネ・シヴァイニアック「ぎゃあああ!! 誰かああ!」
〇けもの道
グライユ・アーティ・マーナガルム「魔獣は! 捕らえたか!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「シヴァイニアック卿!」
ダフネ・シヴァイニアック「ひ、ひいい!!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「怪我はないか?」
ダフネ・シヴァイニアック「あ、ありません」
グライユ・アーティ・マーナガルム「何をしている。危うく、蜂の巣になるところだったのだぞ」
ダフネ・シヴァイニアック「そ、そのようで・・・」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「団長。無事退治できましたね」
グライユ・アーティ・マーナガルム「スカム隊長、この者がいたことに気づかずに撃ったのか?」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「そ、それは」
グライユ・アーティ・マーナガルム「気づいていて、撃ったのだな?」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「・・・申し訳ございません。 魔獣を退治することを優先いたしました」
グライユ・アーティ・マーナガルム「このものはダフネ・シヴァイニアック卿だ」
グライユ・アーティ・マーナガルム「私が直々にお願いをして同行していただいている」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「え!!!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「よかったな。彼に弾傷をつけていたら、訓告扱いになる事案であったぞ」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「し、シヴァイニアック卿。 い、以後十分に注意いたします!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「では魔獣の処理、そなたらの班に任せた」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「承知いたしました!」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「・・・っち! 今に見てろよ」
〇森の中
グライユ・アーティ・マーナガルム「シヴァイニアック卿!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「ここは王都ではない、被害地区なのだ」
グライユ・アーティ・マーナガルム「いつ魔獣が襲ってきてもおかしくない場所なんだ!」
ダフネ・シヴァイニアック「も、申し訳ありません」
グライユ・アーティ・マーナガルム「今回の第三部隊との件もある。今後は私と共に行動するように」
ダフネ・シヴァイニアック「承知しました」
グライユ・アーティ・マーナガルム「説教はこのぐらいにして・・・」
グライユ・アーティ・マーナガルム「長旅で疲れたろう。 野営地で少し休むといい」
〇戦線のテント
ダフネ・シヴァイニアック「・・・ふう」
ダフネ・シヴァイニアック(殿下のご厚意に甘えて休んでしまった)
ダフネ・シヴァイニアック(つい来てしまったけれど、僕は邪魔者みたいですね)
ダフネ・シヴァイニアック(ここは、さっさとお暇したほうが良さそうです)
第3部隊隊員1「シヴァイニアック卿、おやすみのところ失礼します」
第3部隊隊員1「実は、この奥の洞窟に魔硝石らしき石を発見したのですが」
第3部隊隊員1「生憎、我々隊員には、魔硝石を見極められる者がおりません」
第3部隊隊員1「もしよろしければ、見識の深い、聖魔法師殿のお力をお借りできたら助かるのですが」
ダフネ・シヴァイニアック「それは構いませんが、グライユ団長はなんとおっしゃっていますか」
第3部隊隊員1「団長は、シヴァイニアック卿に任せるとのことです」
ダフネ・シヴァイニアック「そうですか。では、案内してください」
〇西洋の街並み
グライユ・アーティ・マーナガルム「──よし! 一通り、近隣に生えた悪魔蔓は除去できたな」
グライユ・アーティ・マーナガルム「明日、もう少し広範囲を調査しよう」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「承知しました!」
〇黒
〇暗い洞窟
ダフネ・シヴァイニアック「ここですか?」
第3部隊隊員1「もっと奥になります」
ダフネ・シヴァイニアック「うう、暗いですね・・・」
第3部隊隊員1「うおりゃあ!」
ダフネ・シヴァイニアック「・・・うう なにを・・・?」
第3部隊隊員1「最初に置いて行った時に、おとなしく帰っていればよかったものを」
第3部隊隊員1「一体何を企んでやがる?」
ダフネ・シヴァイニアック「なんのことですか?」
ダフネ・シヴァイニアック「グハ!」
第3部隊隊員1「俺たちの計画に、貴様は邪魔だ」
第3部隊隊員1「大人しくここで、死ね」
〇黒
「うわあああ!!」
〇戦線のテント
第3部隊隊員1「・・・ペチャクチャ・・・」
グライユ・アーティ・マーナガルム「シヴァイニアック卿を見たものはいるか?」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「団長殿は、なぜあの男を気にかけるのです?」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「先ほどは、申し上げられませんでしたが、あの者は我々の部隊に同行しながら」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「何やら怪しい動きをしていたのです」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「聖魔導師側のスパイの可能性もあります故、」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「置いていったというのに、まさか団長殿と共に、こちらまでついて来るなんて」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「何か企みがあるに決まっています!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「そうか、それでシヴァイニアック卿を魔獣がいる森に1人置いていったのだな」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「・・・怪しい者を連れて行くわけにはいきませんので」
グライユ・アーティ・マーナガルム「だからといって、いつ食われるかわからない森に置きざりにして、いいとでも?」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「し、しかし!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「聖魔導師であろうと、この国の国民である」
グライユ・アーティ・マーナガルム「国民を守ることが、我々騎士団の使命ではないのか?」
第3部隊隊長 クロノス・スカム「・・・ぐっ!!」
グライユ・アーティ・マーナガルム「もう一度、尋ねる」
グライユ・アーティ・マーナガルム「シヴァイニアック卿はどこだ?」