エピソード1(脚本)
〇中規模マンション
〇明るいリビング
長嶋 千歳「よし!準備OK🎵」
達哉「あとは晃さんが、独り寂しく帰宅するのを、」
達哉「待つだけですねっ」
長嶋 千歳「皆ごめんね、私たち夫婦のために」
高橋「何言ってるんスか」
高橋「いつもお世話になってる、先輩美容師のお二人の為ですから」
由佳理「きっと驚きますね、晃さん」
長嶋 千歳「せっかく皆が企画してくれたサプライズなのに」
長嶋 千歳「こんなこと言うのは何だけど・・・」
長嶋 千歳「大丈夫かしら」
高橋「大丈夫スよ、シャレの分かる男ですから」
由佳理「それに今日はハロウィンだもんっ」
長嶋 千歳「そうよね🎵」
由佳理「結婚記念日なのに、」
由佳理「泊まりで講習会に出るって、」
由佳理「伝えたんですよね?」
由佳理「晃さん、どんなリアクションでした?」
長嶋 千歳「仕方ないね、って」
由佳理「それだけ?」
長嶋 千歳「まぁ、どこか寂しげだった、かな?」
高橋「寂しく独りで過ごすはずが、」
高橋「いきなりハロウィンパーティーのはじまる」
高橋「心の振り幅の大きさで、幸せは決まりますからね」
達哉「おい!ハロウィンはあくまでオマケ、」
達哉「結婚記念パーティーだからな、今夜は」
高橋「分かってるて」
高橋「しっかし、遅いなぁ 晃さん」
カチャカチャ
玄関で物音がする
長嶋 千歳「帰って来た!」
達哉「で、電気消して、電気」
高橋「隠れろ、早く早く」
〇黒
部屋の明かりが消えた
・・・・・・
カチャッ
リビングのドアが開いた音がする
・・・・・・
「ふぅ、あれ・・・電気どこだ?」
「自分の家なのに、電気がどこにあるか」
「わかりましぇ~ん」
(晃・・・酔ってる?)
「もぉ~、この酔っぱらい」
「電気なんかつけなくて、いいのっ❤️」
「女性の声っ!?」
・・・・・・
「・・・あんっ」
ガバッ
「いや・・・あん❤️」
(・・・・・・)
「ダメ、だってば❤️」
息を潜める千歳
だんだん呼吸が荒くなってくる
「ん、んん・・・あ、うんっ・・・」
服を次々に脱ぐ気配がする
長嶋 千歳「ちょっと何やってるのよ!!」
「う、うわあぁぁ!」
ドサッ
叫び声とともに、ソファーから人が落ちた気配がした
〇明るいリビング
千歳が電気を点けた
長嶋 晃「ち、千歳!」
長嶋 晃「な、何でここにっ!?」
長嶋 千歳「サプライズよ」
長嶋 晃「サプライズにも程があるだろ!?」
長嶋 千歳「こっちのセリフ!」
申し訳なさそうに
隠れていた後輩美容師たちが出てくる
達哉「・・・」
長嶋 晃「わっ、達哉!?」
長嶋 晃「何でお前まで」
何も聞こえていないかのように
部屋を出ていく達哉
由佳理「・・・」
長嶋 晃「誰だ、お前!?」
高橋「・・・」
長嶋 晃「え?何々?えぇっ!?」
目を閉じたまま、リビングをあとにする後輩たち
長嶋 千歳(あれ、この人――――)
市川 玲美「・・・」
〇中規模マンション
〇明るいリビング
晃・玲美と対座する千歳
長嶋 千歳「どういうことか説明して」
長嶋 晃「あ、えっと」
長嶋 千歳「説明なんて必要ないわよね」
長嶋 晃「はい・・・あ、いや――――」
長嶋 千歳「貴方、うちの美容室のお客さんですよね?」
市川 玲美「渋谷で美容外科医をしている市川玲美です」
長嶋 千歳「知ってます」
長嶋 晃「違うんだ」
長嶋 晃「千歳のことで色々相談に乗ってもらって」
長嶋 千歳「相談?」
市川 玲美「最近顔のハリがなくなってきた気がするから、」
市川 玲美「美容整形するかしないか、奥さんが悩んでるって」
長嶋 晃「ほら、気にしてたじゃないか、千歳」
晃をキッと睨む千歳
長嶋 晃「・・・」
長嶋 千歳「そんなこと本気で言ってません」
市川 玲美「私もそう言いました」
長嶋 千歳「ッ!」
市川 玲美「奥さんはただ、」
市川 玲美「『そのままで充分だよ』って、」
市川 玲美「優しい言葉が欲しいだけじゃないかって」
長嶋 千歳「・・・」
長嶋 晃「とりあえず、もう遅いから今日のところは──」
長嶋 千歳「さっきから、やめてもらっていいですか」
長嶋 千歳「その何でも知ってますて態度」
市川 玲美「・・・そうですね」
市川 玲美「奥さんのほうが晃くんとは、」
市川 玲美「長いですもんね」
長嶋 千歳「違います」
長嶋 千歳「晃のことじゃありません」
長嶋 千歳「私のことは、何でも分かってるて態度です」
長嶋 千歳「不快です」
市川 玲美「そうですか・・・失礼しました」
玲美、晃に目配せする
長嶋 晃「え?今?いやぁ・・・」
市川 玲美「・・・」
長嶋 千歳「何なの?コソコソと!」
長嶋 晃「ち、千歳!」
長嶋 晃「スマン!」
長嶋 晃「俺と別れてくれ」
長嶋 千歳「――――はぁ!?」
市川 玲美「心中お察しします」
長嶋 千歳「まさか私と別れて、この女と一緒になるとか言わないわよね?」
長嶋 晃「・・・」
市川 玲美「すぐにとか、そんな節操のないことは、考えていません」
長嶋 千歳「――――ッ!」
玲美が何やら話を淡々と進めているが、
ショックで理解できていない様子の千歳
長嶋 千歳「・・・」
ふらふらと立ち上がる千歳
長嶋 晃「千歳?」
この場にいられず、部屋を出ていく千歳
長嶋 晃「千歳!」
市川 玲美「・・・」
〇住宅地の坂道
自宅マンションの外に出た千歳は、
雨の中、行く宛もなく走る
長嶋 千歳(なんで?)
長嶋 千歳(なんで私がこんな目に――――)
長嶋 千歳(しかも、特別な日に!)
長嶋 千歳「私が一体何をしたっていうのよ!」
トラックのライトが千歳を照らす
トラックに牽かれ、地面に倒れている千歳
野次馬がどうしたどうしたと、
倒れている千歳を遠目で見ている
長嶋 千歳(走馬灯・・・)
長嶋 千歳(なんて見たくない)
長嶋 千歳(だって私が見てきた幸せなんて)
長嶋 千歳(全部嘘だったんだから・・・)
〇黒
「・・・しま・・・」
「な・・・が・・・しま」
〇教室
教師「長嶋ァ!起きろぉ!!」
千歳、ハッと起きる
長嶋 そよみ(長嶋 千歳)「ここは・・・」
周りをみわたす千歳
懐かしさを感じる授業中の風景
長嶋 そよみ(長嶋 千歳)(走馬灯・・・いや違う)
教師「寝るのは構わんが、イビキはやめてくれ」
ドッと笑いが起きる教室
ギャル山「そよみ、そよみ」
長嶋 そよみ(長嶋 千歳)(そよみ・・・て誰?)
ギャル山「ついてるぞ、目ヤニ」
長嶋 そよみ(長嶋 千歳)「え」
ギャル山「ほら」
手鏡を受けとる千歳
長嶋 そよみ(長嶋 千歳)「ここは一体・・・」
手鏡で自身の顔を映す千歳
長嶋 そよみ(長嶋 千歳)「ギャアァァ!」
教師「長嶋ァ!」
ギャル山「目ヤニで、そんなにビックリする?」
長嶋 そよみ(長嶋 千歳)「――――ッ!」
鏡に映った顔は、見惚れるほど美しかった
しかし、鏡に映った顔は自身の面影はなく、
あの憎き女・玲美にそっくりの顔であった
長嶋 そよみ(長嶋 千歳)「・・・」
最悪のタイミングで最悪の立場に転生した千歳の運命に開いた口が塞がらない。すごい設定を思いつくもんだと作者さんの着想の恐ろしさに感心しました。物語の最後がどう着地するのか見届けたいです。
なんか泥沼だなぁと感じていたら目まぐるしく展開が変わっていきすごく面白い!
生まれ変わり?転生?したエピソードの続きも、早く見たいです!
すごいインパクトのあるストーリーに圧巻です。そしてフィナーレにそのタイトルの真意を捧げているところもよかったです。読みながら、自分がもし彼女の立場だったら・・と辛かったです。来世でうさを晴らしてほしいですね。