3. 最愛の人との出会い(脚本)
〇森の中
アリア「はあ、はあ、はあ・・・・・・」
私は必死に走った。令嬢暮らししかしてこなかった私には持久力などなかったけれど、力の限り全力で走った。
アリア「でももう、だいぶ限界だわ。もうすぐ町が見えてくるはずだから、あと一踏ん張りではあるのだろうけれど・・・・・・。きゃっ!」
足がもつれ、その場に転んでしまう。起き上がらなきゃと頭では思うのに、あまりにも疲労困憊で体が動かない。
・・・・・・と、その時。
アリア「・・・・・・?」
魔物「グオオオッ!!」
アリア「えっ!? ま、魔物!?」
見間違いであってほしいと思ったけれど、見間違いじゃない。目の前にのそりと現れたのは、魔物だ。
腕に覚えのある人間ならば戦って倒せば良いだろう。だが、剣も魔法も使えない私には無理。つまり、状況はかなり詰んでいる。
アリア「そんな・・・・・・! 賊の脅威から逃れたら、今度は魔物? 私、魔物に殺されて死ぬっていうの・・・・・・!?」
今度こそ本気でダメかもしれない。そう絶望感にとらわれた刹那──
セラシオ「大丈夫ですか!?」
アリア「・・・・・・ふふっ、これは私に都合の良い妄想かしら? ピンチに颯爽と超絶好みなかっこいい王子様が現れて助けてくれるなんて」
アリア「これじゃあ私、ミランが言うところの「悪役令嬢」なんかじゃなくて、まるでヒロインのよう、だ、わ・・・・・・」
セラシオ「お嬢さん!?」
恐怖と疲労でいっぱいいっぱいだった私は命を救われた安堵感で一気に気が抜け、そのまま気絶してしまった。
〇西洋風の受付
――あれから、およそ一年の月日が経過した。
アリア「いらっしゃいませ! ご依頼ですか?」
少女「はい! お師匠様から、薬草採取の依頼を出してくるように頼まれました!」
アリア「承知いたしました。それではこちらの依頼書に必要事項をご記入くださいね」
少女「分かりました!」
あの日、魔物に襲われた後に気を失った私は、助けてくれた冒険者――セラシオ・フォルビア様に抱えられて町まで運ばれたらしい。
ありがたいことにセラシオ様はそこで私を見放すことはせず、目を覚ますまでしっかりと介抱してくれた。
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