第十二話 ハウスキーパー(脚本)
〇一階の廊下
栄田 駿「10年は長かった」
栄田 駿「・・・」
栄田 美雪「お父さーん! お化けがね わーってきて、とっても怖かったの」
栄田 駿「そうか・・・」
栄田 美雪「お父さん?」
栄田 駿「ちょっとごめんね」
栄田 駿「・・・」
栄田 智「お父さん? なんか音がしたよ」
栄田 智「ああっ! み、みゆ・・・」
栄田 駿「ふたつめ」
栄田 駿「あははははっ」
栄田 駿「なんとも手応えのない10年だなぁ!」
栄田 駿「おっと。栞里が帰るまでに デコレーションしなきゃ」
栄田 駿「こうして」
栄田 駿「こっちも3つくらいに分けるかー」
栄田 駿「芸術性が・・・んっ、試されるなぁ」
あははははははっ!
あははははははっ
〇豪華なベッドルーム
栄田 駿「うわああああっ!」
栄田 駿「はあ、はあ、はあっ」
栄田 美雪「お父さーん、怖い夢見たー」
栄田 駿「美雪・・・」
栄田 美雪「お父さん?」
ぎゅっ
栄田 美雪「怖かったよぉ あのね、お化けが出てきたの」
栄田 美雪「美雪走って逃げたけど 追いつかれちゃって、それでね」
栄田 駿「そうか。怖かったね」
栄田 美雪「うん、とっても怖かったの」
栄田 駿「・・・」
栄田 美雪「すーすーすー・・・」
栄田 駿(美雪・・・夢で良かった、本当に)
〇炎
栄田 駿(僕の中にある憎しみの炎)
栄田 駿(それは消えることも治まることもなく 僕に復讐の衝動を駆り立てる)
栄田 駿(夢に見るほどに)
〇豪華なベッドルーム
栄田 駿(あの日からずっと 僕は栞里のことを憎み続けている)
栄田 駿(それでもこの10年・・・!)
〇田舎の病院の病室
栄田 駿(智が生まれ・・・)
〇病院の廊下
栄田 駿(二年後に美雪が生まれた)
〇遊園地の広場
栄田 駿(僕がこの二人を手に掛ける?)
〇遊園地の広場
〇黒
栄田 駿(そんなこと、出来るわけがない!)
栄田 駿(栞里)
栄田 駿(君がわからない)
栄田 駿(どうしてあの時、 叔父とあんなことをしていたんだ?)
栄田 駿(この10年間、一度も僕を 雄輔だと疑わなかったのかい?)
〇豪華なベッドルーム
栄田 駿(本当は迷っていたんだ)
〇動物園の入口
栄田 駿(これは復讐のために始めた ハリボテの幸せだけど)
栄田 駿(もし一生続くのなら それもいいのかもしれないって)
〇豪華なベッドルーム
栄田 駿(だけど、堀田が過去を暴くつもりなら 話は変わる)
栄田 駿(他人にこのハリボテを壊されるくらいなら)
栄田 駿(僕は自ら雄輔であることを彼女に伝え──)
栄田 駿(この幸せを終わらせる!)
栄田 駿(例え子供たちを 悲しませることになっても)
〇空
栄田 駿(智、美雪・・・)
栄田 駿(お父さんは二人を愛してる。 それは何があっても変わらないよ)
〇空
〇住宅地の坂道
初刷 論(はつずり さとし)「そーなんすかー! マジ面白いっすねー」
浜 伊織「ロン。ちょっと」
初刷 論(はつずり さとし)「あ、じゃあ僕行きますね。 ありがとうございましたー」
〇土手
浜 伊織「収穫は?」
初刷 論(はつずり さとし)「面白いことがわかった」
初刷 論(はつずり さとし)「佐伯栞里と足立雄輔は学生時代 ずっとバイト仲間だったらしい」
初刷 論(はつずり さとし)「それも一カ所や二カ所じゃない。 となると『ただの同級生』は怪しい」
浜 伊織「じゃ、親友?」
初刷 論(はつずり さとし)「まさか。 十中八九、付き合ってたと思うよ」
浜 伊織「そっか」
〇走行する車内
浜 伊織(あの時の違和感は勘違いじゃなかった)
〇土手
浜 伊織(それでもあの笑みの理由は 未だにわからないけど)
初刷 論(はつずり さとし)「伊織はどう?」
浜 伊織「私は学校の元同級生に話を聞いたわ」
浜 伊織「足立雄輔は冬休みを境に不登校になってる」
浜 伊織「日数が足りていたから 高校卒業には至ったそうなのだけど」
初刷 論(はつずり さとし)「冬休み明けから休んでも日数足りるなんて なんて奴なんだ!」
浜 伊織「いつも思うけどあんた、 驚くポイントずれてんのよ」
浜 伊織「何か用ですか」
堀田 晴臣「浜くんさあ。電話の出方独特過ぎない?」
浜 伊織「別に。いつもこうですけど」
堀田 晴臣「よくこれまで怒られずにいたね。 って、そんなことはどうでもいい」
堀田 晴臣「今から言う場所にすぐ向かってくれ マズいことになった」
浜 伊織「マズいこと?」
〇一軒家
堀田 晴臣「両親をなくした足立雄輔は 彼の叔父の別宅に引き取られていたんだが」
堀田 晴臣「そこで働いていた家政婦さんが居たんだよ」
堀田 晴臣「できれば彼女から話を聞きたいと 思っていたんだが」
堀田 晴臣「その彼女が昨夜、 勤務先の住宅で亡くなった」
〇土手
堀田 晴臣「警察は事件と事故の両方で捜査を 進めるらしいがタイミングが良すぎる」
堀田 晴臣「僕は知り合いの刑事に頼んで 現場を見せてもらう」
浜 伊織「で、私たちはどちらに?」
堀田 晴臣「君たちはその家政婦さんが 勤めていたという事務所へ向かってくれ」
〇オフィスビル前の道
堀田 晴臣「会社の名は大黒ハウスキーピング 大黒運送の関連会社だ」
〇更衣室
堀田 晴臣「会社には個人のロッカーがあり、 今はまだ彼女の私物が残っているらしい」
堀田 晴臣「もし他殺だとすれば、 そこに手がかりがあるかもしれない」
〇一軒家
堀田 晴臣「犯人か警察が気付く前に回収したい」
堀田 晴臣「先方には亡くなった竹中さんの 孫娘夫婦が遺品を取りに来ると言ってある」
堀田 晴臣「頼んだぞ、孫娘夫婦!」
〇土手
浜 伊織「ロンと夫婦役かぁ」
初刷 論(はつずり さとし)「夫婦役!? じゃ、雰囲気出すために一発や・・・」
浜 伊織「言わせねーよ!」
初刷 論(はつずり さとし)「す、すんません」
〇空
〇事務所
ハウスキーピング所長「この度は、本当に」
浜 伊織「うっうっ、おばあちゃん・・・」
初刷 論(はつずり さとし)「この度は、妻の祖母のことで ご迷惑をおかけしました」
初刷 論(はつずり さとし)(演技上手すぎだろ いかん、もらい泣きしてしまう)
初刷 論(はつずり さとし)「き、今日は遺品を・・・預かり・・・ うっ・・・ううっ」
ギュウウウウッ(足)
初刷 論(はつずり さとし)「あぁ預かりにっ! きました!」
ハウスキーピング所長「ええ、どうぞ持っていって頂戴」
ハウスキーピング所長「本当に残念。菊代さんはとても熱心で リピーターの方も多かったのよ」
浜 伊織「ぐすっ、ありがとうございます。 祖母はここで働けて幸せだったと思います」
初刷 論(はつずり さとし)「では、失礼します」
〇更衣室
初刷 論(はつずり さとし)「ハグッ!」
浜 伊織「ばっかじゃないの! 嘘泣きのもらい泣きするやつがいる?」
浜 伊織「笑いを堪えるのに必死だったじゃない!」
初刷 論(はつずり さとし)「痛てて。いやだって本当に 悲しくなってきちゃったんすよ」
浜 伊織「あー、もう。とっとと開けて」
初刷 論(はつずり さとし)「えーと、替えの服にタオル、資料が少し」
浜 伊織「あっ、これ!」
初刷 論(はつずり さとし)「手帳だ!」
浜 伊織「ビンゴ! さ、行くよ!」
〇オフィスビル前の道
黒服2「竹中は手記を持っていた。 だが現場の住宅にはなかった」
黒服2「可能性があるとすればここだ 警察が気付く前に奪う」
黒服1「はっ」
浜 伊織「失礼」
黒服2「・・・行くぞ」
〇車内
浜 伊織「ロン、急いでここを離れよう」
初刷 論(はつずり さとし)「え? 近くに美味しいカフェあるから ついでに寄るって言ってたよね?」
浜 伊織「予定変更。今すれ違った奴、多分・・・」
黒服「いた! あの車だ! 竹中の手記を持ってるぞ!」
浜 伊織「出して!」
初刷 論(はつずり さとし)「わ、わかった!」
〇開けた高速道路
〇車内
初刷 論(はつずり さとし)「くそっ! またこの通りかよ!」
浜 伊織「また?」
初刷 論(はつずり さとし)「俺が前の車で事故った通りだよ!」
浜 伊織「同じ状況になるとは・・・」
初刷 論(はつずり さとし)「危ねぇ!」
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あーっ!😂
冒頭夢だった!良かった!
駿も子どもは愛してた!
しかしこれ、ホッターが暴かなければ…という事は、ホッターに依頼した栞里側で何かありそうですね。なにか、すれ違いが起きてそうだなぁ
よよよかった、冒頭が夢落ちで良かったー!!😭
駿の子どもたちへの気持ちはハリボテではなく本物。それだけでも光が見えて安堵しました。
電脳を絡めたカーチェイスもアツいですね!
冒頭、妄想でよかった……
そして「いたずら完了」
忍びの地図……!