〇アパートのダイニング
　　４月２日
　　早朝　マナミの自宅
マナミ（私の名前はマナミ どこにでもいる普通の少女です）
ヤヨイ「ほーらマナミ！　 はやく朝ご飯食べちゃいなさい！　 折角作ったのに冷えちゃうでしょ！」
マナミ（この人は私の義母（お母さん）ヤヨイさん。 頑固なんだけど優しい人なんです）
タカオ「まぁまぁヤヨイ。 急ぎすぎるのも良くない。 ゆっくりで良いじゃないか」
マナミ（そして義父（お父さん）のタカオさん！ 穏やかで優しい人です！）
ヤヨイ「あなた!? だって急がなきゃマナミは遅刻しちゃうのよ！」
タカオ「だからと言って急ぎすぎるのも駄目だとは思うよ。 朝ご飯を喉に詰まらせたらどうするんだ？」
マナミ「そうそう！ 焦らないでいかなきゃね！」
　　もぐもぐもぐもぐ・・・
マナミ「うーん！ 美味しい!!」
タカオ「はっはっは！ そうだろ！　ヤヨイの飯は世界一だからな！」
ヤヨイ「も、もう照れるじゃない・・・」
ヤヨイ「と言いたいところだけど、」
ヤヨイ「マナミ！　今８時30分よ！」
マナミ「・・・」
マナミ「は、ハチジ、30ぷ・・・ん？」
マナミ「ちこくしちゃーーーーーーう!?」
　　ドタバタドタバタ
「い、行ってきまーーーーす!!」
タカオ「・・・」
ヤヨイ「・・・」
タカオ「・・・」
ヤヨイ「・・・」

〇アパートのダイニング
　　４月２日
　　夜　マナミの自宅
マナミ「ふー今日も疲れた・・・」
タカオ「お疲れ様。 お菓子でも食べるかい？」
マナミ「うん！　食べる食べる！」
ヤヨイ「こら！　もうご飯できてるわよ！」
マナミ「おおおお！　美味しそう！」
マナミ「はやくたべよ！　いただきまーす！」
　　もぐもぐもぐもぐ
ヤヨイ「全く・・・そんなにお腹が空いてたのね・・・」
タカオ「はっはっは！ 僕たちも食べるか！」
ヤヨイ「そうね・・・いただきます！」
タカオ「いただきます！」
　　もぐもぐもぐもぐ
マナミ「そうだ！　今日ね！　友達とゲームセンターに行ったんだけど！」
タカオ「うんうん」
マナミ「クレーンゲームやったんだけど、なかなか取れなくて・・・そしたら友達が！」
ヤヨイ「まぁ大変じゃない！」
マナミ「でね！　そしたら・・・！」
　　それから３人は仲良く談笑をし続ける・・・
　　そして・・・
マナミ「それじゃあバイト行ってくるね！」
タカオ「お？　今日もバイトか？」
マナミ「うん。店長がなるべくシフトを入れて欲しいって・・・」
タカオ「そうか。大変だな・・・」
ヤヨイ「夜中のバイトはやっぱり不安ね・・・」
マナミ「大丈夫だって！　友達もいるし」
ヤヨイ「・・・そうなの？」
マナミ「夜も遅くなるから友達と同じ時間のシフトにしたんだ」
タカオ「なるほど。それなら安心だな・・・」
ヤヨイ「でも夜道には気をつけるのよ？」
マナミ「はーい！　じゃあ行ってきます！」
「・・・いってらっしゃい・・・！」
タカオ「・・・」
ヤヨイ「・・・」
タカオ「・・・」
ヤヨイ「・・・」

〇ビルの裏通り
　　４月２日
　　深夜　市街地
マナミ「・・・」
ユウ「やぁ。こんばんは」
マナミ「・・・遅いですよ。 ５分の遅刻です」
ユウ「５分か・・・ 些細な時間の違いじゃないかな？」
マナミ「全然些細じゃないですよ・・・」
マナミ「次からは時間厳守でお願いします」
ユウ「・・・了解した」
ユウ「・・・しかし君もかなり酷いじゃないか」
マナミ「酷い・・・？」
ユウ「親御さんにバイトだなんて嘘をついたんだろ？」
ユウ「君の良心は痛まないのかな？」
マナミ「・・・」
マナミ「五月蠅い・・・」
マナミ「お義父さんもお義母さんも関係ないでしょ！」
マナミ「これは私の問題なの！ 二人は関係ない！」
ユウ「なるほど・・・」
ユウ「だから嘘をつくのか」
マナミ「・・・はやく情報を教えてよ・・・」
ユウ「・・・」
ユウ「いいだろう・・・」
ユウ「情報屋である俺が張り巡らせた情報網」
ユウ「それによって、裏社会のありとあらゆる情報が伝わってくる」
ユウ「そこで俺は「蛇」の入れ墨をもつ犯罪者を探し続けた」
マナミ「その成果は・・・？」
ユウ「収穫はあるようでなかった」
マナミ「・・・は？」
マナミ「どういうことなの？」
ユウ「言葉通りの意味だ」
ユウ「「蛇」は10年前まで活発に裏社会で犯罪を繰り返してきた」
マナミ「まで？」
ユウ「そうだ。10年前まで殺人。強盗。誘拐。 考えつける限りの犯罪を繰り返していったんだ」
ユウ「が」
ユウ「そこからの10年間。 現在、「蛇」はまるでいなくなったように裏社会での犯罪記録が無くなった」
マナミ「そ、そんなどうして!?」
ユウ「その理由はまだ分からない。 引退したか、逮捕されたか」
ユウ「はたまた死んだのか」
マナミ「死んだ・・・」
マナミ「そんなの絶対許さない・・・」
マナミ「私が「蛇」を殺す！ 私の両親を殺した「蛇」をこの手で！」
マナミ「殺す・・・私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が！」
ユウ「落ち着け！」
マナミ「・・・！」
ユウ「冷静になれ。さっきも言っただろ？ 情報はあるようでなかったと・・・」
マナミ「・・・」
ユウ「私も情報屋だ。 そこから消えた「蛇」の10年間の情報を探していったよ」
ユウ「すると「蛇」と過去に密接な関係にあった男の情報を手に入れた」
マナミ「男の・・・？」
ユウ「その男は裏社会で最後に「蛇」と接触した存在なんだ」
マナミ「そいつが何なの？」
ユウ「彼との仕事を最後に「蛇」は裏社会から消えた」
ユウ「おそらくその仕事時に「蛇」に何かがあった・・・」
マナミ「なるほど・・・最後の仕事の相手と接触し、「蛇」が消えた理由を探すのね」
ユウ「そう言うことだ」
ユウ「ということで、来週の９日。 またここで会おう」
ユウ「立花の仕事場に連れていってやろう」
ユウ「危ない裏社会へ行くのだから、無事に帰れるかは分からないがな・・・」
マナミ「・・・」
マナミ「分かった・・・」
マナミ「それじゃあ今日はここまで・・・」
ユウ「あぁ・・・それと情報代は」
マナミ「分かってる。 出世払いで、全額払うよ」
ユウ「・・・出世払いね・・・」
ユウ「それじゃあ帰ろう。 おやすみ」
マナミ「・・・」
マナミ「・・・」

〇豪華なリビングダイニング
　　それは記憶
　　過去の記憶・・・
まま「マナミ！　ご飯よ！」
マナミ「わーい！」
　　それは記憶
　　大切な家族の記憶
ぱぱ「マナミ！　誕生日おめでとう！　これプレゼントだよ！」
マナミ「うわああああ！ ありがとうぱぱ！」
まま「ふふふ！　良かったね！」
　　それは記憶
　　酷い記憶・・・
マナミ「ぱぱ！　まま！」
まま「逃げてええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええマナミイイイ！」
ぱぱ「があああああああああああああああああああああああああああああああああああ！？」
マナミ「なんで・・・？　なんで息がないの・・・？」
マナミ「ぱぱ？　・・・まま？」
マナミ「お願い・・・起きてよ・・・」
　　それは記憶

〇アパートのダイニング
ヤヨイ「・・・」
タカオ「・・・」
タカオ「真実を話す時が来たんじゃないかな？」
ヤヨイ「まだ・・・まだはやいわよ・・・」
タカオ「いいや・・・」
タカオ「時は来たんだ・・・」
タカオ「私達がマナミの両親を殺したって・・・」
タカオ「言わないと・・・」
ヤヨイ「・・・」