エピソード1(脚本)
〇オフィスのフロア
木間寺芽「コワスギル部長!」
古和杉流「ど、どうしたんだキマジメくん!?」
木間寺芽「あなたを訴えます」
古和杉流「な!?なぜだ!?」
木間寺芽「あなたにハラスメントをうけたからです!」
古和杉流「私は誰よりも気をつけている! 特に女性の接し方にはかなり・・・」
木間寺芽「それ!」
木間寺芽「何もしない! それこそもっとも悪質なハラスメント!」
古和杉流「ど!?どういう意味だ!?」
木間寺芽「あなたは私の好意を無視した」
木間寺芽「こんな事がありました」
木間寺芽「部長〜!ご飯連れてって下さいよ〜!」
古和杉流「んん・・・女性社員と二人で食事は・・・」
木間寺芽「じゃあ皆誘って飲み行きましょうよ!」
古和杉流「いや、そもそも今の時代飲み会は・・・ 何かあった時にほら、あれだし」
木間寺芽「○ァック!」
古和杉流「言葉汚!?」
木間寺芽「こっちは勇気出して誘ってるんです! それを断るってひどくないですか!?」
木間寺芽「立派なハラスメントです!訴えます!」
古和杉流「お、落ち着いて話し合おう・・・」
木間寺芽「先日のイレギュラーの件!」
古和杉流「あれはすまなかったと何度も・・・」
木間寺芽「私達女性社員も手伝わされた! 死ぬほど重かったんですよ!?」
古和杉流「だからだね!」
木間寺芽「業務用冷蔵庫の搬入ですよ!?私達食品会社の営業部!殺す気ですか!?」
木間寺芽「あんなの男だけでやらせろよ!」
古和杉流「後で男性社員から なぜ女性にもやらせないんだとクレームが来るかと思ってだな・・・」
木間寺芽「後で女性社員から 重たい冷蔵庫運ばされたってクレームがくるとは想像しなかったんですか!?」
古和杉流「ほ、本当にすまない!申し訳なかった!」
木間寺芽「確かに部長はその日誰よりも働き 誰よりも重い物を持っていました」
古和杉流「悪いと思ったから・・・」
木間寺芽「最初はムカついたけど、あまりにも申し訳なさそうな部長に同情しました」
古和杉流「部長という役職も大変なんだ!」
木間寺芽「でもそれはいいんです 仕事ですから 私はそこに怒っているんじゃない」
木間寺芽「作業を終え 私は部長に食事をお誘いしましたね?」
木間寺芽「あんたその誘いも断りやがった!」
木間寺芽「ただの打ち上げ!それもダメなのか!?がんばった部下にビールの一杯でも奢ってやろうっていう気持ちはないんかあんたは!」
古和杉流「そこで何かやらかしたら怖いじゃん!酔っ払っていやらしい事したら大問題じゃん!」
木間寺芽「やらなきゃいいだろ!」
古和杉流「しちゃうの!そういう男なの!」
木間寺芽「ヤベェなあんた!?」
古和杉流「今の時代何もかもが怖いの! 40代は全部怖い世代なの!」
木間寺芽「そんな世代聞いた事ないわ! この40半ば独身男が!」
古和杉流「今作ったの!40代は全部怖い世代なの! あと独身はほっとけ!」
木間寺芽「こっちは好意があるって言ってるでしょ!」
古和杉流「急にやめたまえ!キュン死にする!」
木間寺芽「女心を踏みにじられました 訴えます」
古和杉流「待ってよ!今までトラブルを避けるため細々生きてきたのに・・・そりゃねぇぜ!」
木間寺芽「それが仇となりましたね ご愁傷様です」
古和杉流「俺だって嫌だよこんな全部怖い時代!」
古和杉流「昔はよかった 窮屈だよ今」
木間寺芽「部長・・・」
古和杉流「どうしたらいいんだよ私は・・・ 仕事も・・・恋もまともにできないなんて」
古和杉流「いつの間にか会社内恋愛は悪みたいな風潮になってさ・・・」
古和杉流「恋愛の神様はマッチングアプリにしか存在しなくなってしまった」
古和杉流「あれこそ悪!死んでもマッチングアプリなんかに手を出さないぞ!」
木間寺芽「その発言ものすごいハラスメントです」
古和杉流「会社だけじゃない!コンビニもカフェも居酒屋も!そこら中でハラス!コンプラ!ご時世!」
木間寺芽「部長・・・」
古和杉流「おじさんが女性に好意を抱くとまるで犯罪者みたいな目で見てきてさ!その癖世間じゃ少子化がどうとか!矛盾してるじゃん!」
木間寺芽「部長!」
古和杉流「私だって・・・」
古和杉流「私だって女抱きてぇんだ!」
木間寺芽「部長ぉ!!」
木間寺芽「それはもうハラスとかじゃない! ただの性欲!」
古和杉流「すまない・・・でも今・・・殴ったよね? それすっごいパワハラじゃ・・・」
木間寺芽「そんな事より」
古和杉流「そんな事じゃなくて・・・」
木間寺芽「ご覧ください」
木間寺芽「あなたを見て皆泣いてる」
古和杉流「君達・・・同情してくれてるのか?」
木間寺芽「いいえ 部長を軽蔑しているのです」
古和杉流「だよね!?さっきの発言なかった事にできないかな!?」
木間寺芽「時間は二度と戻す事はできません その変わり部長の訴えを取り消します」
古和杉流「え!?なんで!?」
木間寺芽「私の想いをあなたに伝える事ができたから」
古和杉流「えっとその・・・だからだね」
「・・・」
「あの!」
古和杉流「ど、どうぞ!」
木間寺芽「いえ!部長の方からどうぞ!」
古和杉流「その・・・」
木間寺芽「はい・・・」
古和杉流「今日!」
古和杉流「・・・の資料 できているかい?」
木間寺芽「・・・はい」
古和杉流「ではミーティング・・・よろしく頼む」
木間寺芽「かしこまりました」
???「バカみてぇ」
古和杉流「君は!?」
新入社員のレイワカズノリくん!?
令和和令「うっす」
木間寺芽「あんた今バカって言った!? それモラハラ・・・」
令和和令「バカでしょ?思った事言えないって」
令和和令「訴えられるのは誰だって嫌だけど」
令和和令「そんな事言ってたら何にもできないじゃん」
令和和令「あんたら色んな事にビビりすぎでウケる😂」
木間寺芽「令和くん! あなたなんて令和な子なの!?」
令和和令「んな事より働いて下さい。ここ働くとこなんすよね?そう聞いてるんですけど 違います?」
木間寺芽「あ!あんたに言われたくないわよ!」
令和和令「俺働いてるじゃないすかどう見ても むしろ働いてないのはあんた達だ」
木間寺芽「こんの・・・令和め」
木間寺芽「う!?目まいが・・・」
令和和令「大丈夫? これあげる」
令和和令「こんな時はチョコっす 大変ですよね女の人って 座って下さい」
木間寺芽「ありがとう・・・」
古和杉流「どうしたんだ急に?」
令和和令「今日は彼女の魔法の日みたいです もっと女の人の事を理解してあげて下さい」
古和杉流「魔法?・・・よくわからんが」
「なんかムカつく!」
令和和令「俺、ここ来る前は女でした」
令和和令「だから女性の気持ちはわかる」
令和和令「ちなみに下の凹は取って凸は生やしました」
令和和令「ぷぷ!生やすってウケる😋」
古和杉流「君それ 言っていいのか?」
令和和令「いいでしょ? 部長だけ知ってるの気持ち悪いし なんか問題あります?」
木間寺芽「ない!全然OK!でしょ!?」
令和和令「していいんじゃないすか?社内恋愛」
令和和令「ちなみに俺は大歓迎っす!」
古和杉流(この日 重い扉が開いた)
外に出た囚人達の顔は
それはそれは嬉しそうで楽しそうで
知らずに私は牢獄の看守になっていたのかもしれない
古和杉流(おっと)
古和杉流(大事な部下を囚人と表現するのは ハラスメントかな😋)
???(これって・・・)
???(明日からもう我慢しなくてもいいって事?)
とっても風刺的な作品ですね。言わないってこともハラスメントになりかねない現在ですからね。ラストの1シーンで、物語の先の話が見えるようでした!
日本人の生真面目さが、この数十年裏目に出てきているという現実感いっぱいでした。セクハラとかパワハラとか、いわゆる流行語みたいなものに流されやすい傾向なのも問題なんだと思いますね。令和君のような存在、本気で必要になってくるでしょうね。