エピソードY 無法(脚本)
〇基地の広場(瓦礫あり)
羽原 貞代「私は羽原・・・」
羽原 貞代「羽原貞代です」
オヤジ「なっ!?」
オヤジ(羽原・・・だと!?)
オヤジ(これは・・・偶然でしょうか・・・)
羽原 貞代「さぁ、はやく!! こちらです!!」
〇小さな小屋
羽原 貞代「オヤジ・・・さん」
羽原 貞代「ここなら安心です」
オヤジ「色々教えていただきたいのですが」
オヤジ「『天聖』・・・とは?」
オヤジ「そもそもここは日本ではないのですか?」
羽原 貞代「日本・・・」
羽原 貞代「久しぶりに聞きました・・・」
〇基地の広場(瓦礫あり)
この国の名は『フィエルド』
10年前に滅んだ日本のかわりに建国された
天聖を中心とした独裁国家です
〇小さな小屋
オヤジ(まさか日本がそんなことに)
オヤジ「そんな独裁国家・・・」
オヤジ「日本国民は反発しなかったんですか!?」
羽原 貞代「もちろん抵抗しました」
羽原 貞代「でも、天聖は・・・不思議な力を持っているのです」
羽原 貞代「天聖は・・・自身の姿を竜のように変えられるのです」
オヤジ(それは安藤の能力!!)
オヤジ「『牙竜転生』・・・」
羽原 貞代「し、知っているんですか!?」
羽原 貞代「能力名はごく一部の人間しか知らないはずなのに!!」
オヤジ「・・・ワケあって多少人より物知りなのです」
オヤジ「今、ごく一部しか知らないとおっしゃってましたが・・・」
オヤジ「あなたも知っているということは・・・」
オヤジ「ただの一般人ではないということですね!?」
羽原 貞代「・・・」
羽原 貞代「あなたは本当に今のフィエルドの状況をご存知ないようなのでお見せします」
羽原 貞代「『藍炎』」
羽原 貞代「『黄炎』」
オヤジ(やはり・・・)
オヤジ(羽原貞治の子孫・・・)
オヤジ(コトワリから授かった能力は・・・)
オヤジ(遺伝するのか!?)
羽原 貞代「今のが私の力、『藍炎』そして『黄炎』です」
オヤジ「なるほど・・・」
羽原 貞代「あなたが先ほど使っていた能力・・・」
羽原 貞代「あれは羽原家の言い伝えにもなければ」
羽原 貞代「天聖の能力とも違います・・・」
羽原 貞代「あなたは一体・・・!?」
オヤジ「・・・詳しくは言えません」
オヤジ「ですが、私もワケあって・・・羽原家とは縁の深い者です」
オヤジ「何か協力できる事があれば言ってください」
羽原 貞代「・・・」
羽原 貞代「あなたはフィエルドの現状を一切知らないのに、何故か能力のことは知っている・・・」
羽原 貞代「まるで別の世界から来たかのようです・・・」
オヤジ「・・・」
羽原 貞代「でもたしかなことは・・・」
羽原 貞代「先ほど私を助けてくれたということ」
羽原 貞代「その言葉を信じます」
羽原 貞代「できれば・・・」
羽原 貞代「私と共に天聖打倒に協力してください!!」
〇上官の部屋
天聖の暴政は凄まじく・・・
天聖「あの男は気に入らないっ!! 殺せっ!!」
フィエルドは・・・
完全な無法地帯です・・・
天聖が気に入らなければ、処刑人による殺戮が行われます
処刑人が持っている武器は『牙竜』の牙から作られていて
普通の人間ではなすすべがありません・・・
〇小さな小屋
オヤジ(なるほど・・・ あの武器はそういうことか・・・)
オヤジ「しかし・・・いくら天聖や処刑人が強力でも・・・」
オヤジ「銃を使えば制圧は可能では?」
オヤジ「・・・アンチマテリアルライフルとか」
羽原 貞代「・・・本当に歴史をご存知ないんですね」
羽原 貞代「兵器の類は150年前に全世界で完全撤廃されたじゃないですか」
オヤジ「なんと!?」
オヤジ「うっ!?」
オヤジ「漸知が!?」
〇黒背景
羽原豊
長いナツレ生活のストレスで無精子症を患ったため、子宝には恵まれなかったものの
最愛の女性とその生涯を共にした。享年86。
羽原貞治
高校を卒業後、フリーのジャーナリストとして活動。
一般には2055年に政府が秘密裏に運営していた武器工場の存在を突き止めたことが知られる。
当時、一政治家に過ぎなかった安藤竜二と協力し広く報道。与党の信頼失墜の決め手となる事件だった。
3人の子宝にも恵まれた。享年80。
安藤竜二
2062年に第135代内閣総理大臣に就任。
実父である熊井竜一をこえる歴代最長の10年間の就任期間を誇り
晩年に各国と結んだ「対外兵器撤廃条約」及びその実現で歴史に名を残した。
享年90。
〇小さな小屋
オヤジ(そうか・・・)
オヤジ(彼らは天寿を・・・ 己が天命を全うしたのですね)
オヤジ(尊敬に値します)
羽原 貞代「だ、大丈夫ですか!?」
オヤジ「ああ、すみません」
羽原 貞代「説明・・・続けましょうか?」
オヤジ「いえ、大丈夫です。全て理解しました」
オヤジ「天聖は・・・戦う力がなくなった世界において、圧倒的な力を持っている」
オヤジ「まるで神のように」
羽原 貞代「・・・はい」
羽原 貞代「我が家の家訓としてあるんです」
羽原 貞代「時の政府が暴走した折には」
羽原 貞代「その能力を持って止めるべし と」
羽原 貞代「ですが、処刑人の数の暴力により」
羽原 貞代「今や羽原一族は私だけになってしまいました」
オヤジ「そうでしたか・・・」
オヤジ「それは・・・辛かったでしょうね・・・」
オヤジ「私に・・・任せてください!!」
オヤジ(せめてもの彼らへの贖罪です)
オヤジ「共に安藤の子孫の暴走を止めましょう!!」
羽原 貞代「は、はい!!」
オヤジ「ちなみにその天聖とやら・・・」
オヤジ「なんという名なのですか?」
〇上官の部屋
天聖・・・奴の名は・・・
野原健治!!
安藤家の分家だった男です
「おまえかーい」
意外過ぎる……これは読めませんでした笑
漸知、いい仕事しますね。200年を知識として一気に短縮するとは。
オヤジ…第二の天聖になるなよ…。
ここで、まさかの野原が出てくるとは…
いやはや、やはり予想をブンブン裏切ってくる…
次回、本当の最終回と思うと切ないです…