エピソードZ 立法(脚本)
〇上官の部屋
野原健治「まだ、羽原一族を根絶やしに出来ていないのか!?」
処刑人「天聖・・・ 申し訳ございません・・・」
処刑人「邪魔が入りまして」
野原健治「邪魔・・・?邪魔だと!!」
野原健治「何のために竜刀を持たせていると思っているんだ!!」
野原健治「邪魔する奴は薙ぎ払え!!」
処刑人「そのつもりだったのですが」
処刑人「妙なやつがあらわれまして・・・」
処刑人「天聖のような能力を持っていたんですよ」
野原健治「そんなやつはいるはずもない!!」
野原健治「もういい」
野原健治「『牙竜転生』!!」
処刑人「お、お許しを!!」
野原健治「私が・・・私だけが・・・」
野原健治「全能の・・・神なのだ!!」
〇小さな小屋
オヤジ(野原・・・)
オヤジ(羽原が言っていた当時の検事総長と同じ名字)
羽原 貞代「野原は・・・ 先祖が安藤家、羽原家に強い恨みがあったらしく・・・」
羽原 貞代「正体を隠して安藤家に近づき、分家となりました」
羽原 貞代「そして、10年前に安藤家の虐殺、政府転覆を果たして・・・」
羽原 貞代「今の天聖の地位についたのです」
オヤジ「そうですか・・・」
オヤジ「それはこの10年間・・・」
オヤジ「辛かったでしょうね」
羽原 貞代「・・・」
オヤジ「私にお任せください」
オヤジ「今日全てを終わらせましょう」
羽原 貞代「えっ!?」
オヤジ「野原の元に行きますよ」
オヤジ「『瞬架集到』(しゅんかしゅうとう)」
〇上官の部屋
野原健治「ん!?」
オヤジ「ふぅ・・・」
羽原 貞代「こ、ここは!? 天聖御所!?」
野原健治「なんだキサマら!?一体どこから・・・」
野原健治「キサマは羽原貞代!?」
羽原 貞代「野原・・・」
羽原 貞代「よくも私の父を・・・母を・・・ 一族を・・・」
羽原 貞代「あなただけは許さないっ!!」
野原健治「ふん、それはこちらも同じよ」
野原健治「貴様ら一族を根絶やしにせねば、私の先祖の恨みは払拭されん!!」
野原健治「キサマを殺し、私はこの世で唯一の能力者となる!!」
野原健治「それが私の悲願だ!!」
オヤジ(悲願・・・ですか・・・)
オヤジ「・・・傍目から見ると醜いものですね 身の丈に合わないものを望むというのは・・・」
野原健治「なんだと!! ・・・そもそもキサマは何者だ!?」
オヤジ「私は・・・何者でもありません」
オヤジ「ただの・・・オヤジですよ」
野原健治「ふざけるな!! 邪魔をするのであれば、キサマも殺す」
野原健治「『牙竜転生』」
〇上官の部屋
野原健治「キシャアアア」
野原健治「死ねぇ!! 『牙竜咆哮』」
オヤジ「なるほど」
オヤジ「カアッ!!」
野原健治「牙・・・牙竜咆哮が・・・」
羽原 貞代「霧散した・・・」
オヤジ「アナタの力はその程度ですか」
オヤジ「安藤は・・・竜二の一撃はもっと強かったです」
オヤジ「アナタの攻撃は能力を使うまでもない!!」
野原健治「な、なんなんだコイツは!?」
オヤジ「『肢苦発苦』」
野原健治「うぎゃああああ」
羽原 貞代「天聖が・・・ 手も足も出ない・・・」
オヤジ「さて、最後です」
オヤジ「『自門自棟』」
オヤジ「羽原さん」
羽原 貞代「はい!?」
オヤジ「あなたの『藍炎』と『黄炎』を全開にして」
オヤジ「奴に叩き込んでください」
羽原 貞代「え・・・そんなこと・・・一度も・・・」
オヤジ「大丈夫・・・」
オヤジ「あなたなら必ずできます」
オヤジ「私を信じてください」
羽原 貞代「・・・」
羽原 貞代「『藍炎黄炎』」
野原健治「ぐっ・・・くそぉぉぉぉ」
羽原 貞代「天聖が消えた・・・?」
オヤジ「彼にはある場所に行ってもらいました」
羽原 貞代「ある場所・・・?」
〇美しい草原
野原健治「ど、どこだここは!?」
野原健治「私の・・・」
野原健治「私の天下がぁーー!!」
〇上官の部屋
羽原 貞代「オヤジさん・・・」
羽原 貞代「あなたの能力は常軌を逸しています」
羽原 貞代「天聖打倒に協力いただけたのは感謝しますが」
羽原 貞代「あなたは一体・・・何者なんですか?」
オヤジ「私は・・・」
オヤジ「今より200年以上前にあなたの先祖である、豊や貞治と敵対していた者」
オヤジ「そして不老不死であり全知全能の力を持っている者です」
オヤジ「私は敗北し異世界のナツレという地で200年の時を過ごしました」
オヤジ「あなたに協力したのもその負い目があったため」
オヤジ「あなたが不快に思うのであれば」
オヤジ「私は宇宙にでも異世界にでも」
オヤジ「姿を消します」
羽原 貞代「・・・それは」
羽原 貞代「孤独で辛かったでしょうね」
羽原 貞代「消える必要なんかないです」
羽原 貞代「過去の罪がどうであれ、私にはあなたが助けてくれた事実があるのみです」
羽原 貞代「もし、まだ負い目があるようでしたら・・・」
羽原 貞代「これからも協力してください」
オヤジ「・・・」
オヤジ「あなたさえよければ・・・喜んで」
羽原 貞代「ありがとうございます」
「はっ!?」
処刑人「天聖がいなくなった」
処刑人「俺たちどうなるんだ・・・」
処刑人「諦めよう・・・ 俺たちは命を奪いすぎた・・・」
羽原 貞代「天聖の側近の処刑人達・・・」
オヤジ「彼らにもなんらかの罰が必要ですね」
羽原 貞代「罰といってもこの国には今、天聖権限の死刑しかありません・・・」
オヤジ「・・・」
オヤジ「羽原さん、これからこの国を民主主義国家に戻すために」
オヤジ「あなたには象徴になってもらいます」
羽原 貞代「象徴!?」
羽原 貞代「え、ええ!! やります!!この国を元に戻すために全力を尽くします」
オヤジ「そして私は」
オヤジ「法を作ります」
羽原 貞代「法を!? でもそんな簡単な話では・・・」
オヤジ「なぁに、人類の叡智は私の頭の中にあります」
オヤジ「お安い御用です」
オヤジ(因果なものだ)
オヤジ(法に絶望した私が・・・)
オヤジ(法をつくるのだから)
オヤジ「手始めに天聖の暴政の元働いていた彼らに」
オヤジ「禁錮刑を科したいと思います」
羽原 貞代「といってもこの国は死刑しか無かったので刑務所も無くなっていますよ・・・」
オヤジ(・・・ならば)
オヤジ(熊井のプロパガンダを現実にする時が来たようだ)
オヤジ「大丈夫です」
オヤジ「場所ならあります」
羽原 貞代「それは一体!?」
オヤジ「その場所の名はナツレ」
オヤジ「受刑者には自然の元、 農業を行い更生してもらいましょう」
オヤジ「200年ぶりに復活ですね」
オヤジ「『無期異世界転生』」
遅れ馳せながら読了❤
おまけとは思えないくらい綺麗な終わり方。そしてタイトル回収。笑
法に失望したオヤジが再び法を作る。まるでそれ自体が贖罪でもあるかの様な…… おまけにしては勿体ないお話な気がします😆
ここに来てタイトル再回収!
面白かったです…!
(個人的には、文字通り神になったオヤジが「理」の正体とか…?なんて予想をしてました。違ったか……笑)
牙竜咆哮を気合だけでかき消した!仇敵の相原を認めるオヤジの発言、いいですね〜。
日本は酷い有様ですが、これからオヤジと羽原の血筋で再建していくんですね。楽しいアフターストーリーでした!