THESEUS AND ANIMALS 《テセウス アンド アニマルズ》

アシッドジャム

エピソード2 虚構たち(脚本)

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〇地下に続く階段

〇オフィスのフロア
南野正「ハァ」
  南野正は大きな溜息をついた
荻原誠司「編集長!お疲れ様です!」
南野正「おお おつかれ・・・」
荻原誠司「編集長なんか疲れてますね? 大丈夫っすか?」
南野正「ああ、ちょっとな色々疲れるわ〜」
荻原誠司「たまには息抜きしないとダメですよ!」
南野正「おまえは元気そうだな〜」
荻原誠司「あれ!それってこの前送られてきたやつっすよね?」
  荻原誠司は南野の手元にある原稿を指差した
南野正「そうだね」
荻原誠司「掲載しないんすか?」
南野正「無理だろ?作者がわからんしな」
荻原誠司「えー!載せちゃえばいいじゃないですか! 編集部内でもかなり話題になってますよ! 続きが気になりますし!」
南野正「そうもいかんだろう」
荻原誠司「ずいぶん弱気じゃないですか! 昔だったら余裕で載せてたじゃないですか!」
南野正「そんなことないよ」
南野正「この続きがないんじゃ話にならないだろ? 誰が書いたかわからないんじゃ続きを催促できないし」
荻原誠司「いや! 絶対また送ってきますよ! ぼくが責任持ちますから載せちゃいましょう!」
南野正「まぁ、とりあえずもう少し様子見てからだな」
荻原誠司「本当に誰が書いたかわからないんですよね?」
南野正「そうだけど、なんでだよ?」
荻原誠司「なんかその小説に出てくるのって編集長をモデルにしてんじゃないかと思って」
南野正「は?そんなわけないだろ!」
荻原誠司「編集長って肩書きが一緒だからですかね? なんか似てる気がして」
南野正「やれやれ」

〇シックなバー
  南野正は会社帰りに一人でバーにいた
  一人で考え事をしたくなるとここへ来る
南野正(本当にあの小説は誰が送ってきたのかな?)
南野正(登場人物の名前は違ったが、 俺がしていたことと一致している)
南野正(でも優子に関する記述はどうなんだろう?)
南野正(あれが事実ならとんでもないことだぞ?)
南野正(まぁ人のことは言えないけど それにあの優子が自分の教え子に手を出すなんて・・・)
南野正(しかもその生徒の父親とも関係してるようだったし)
南野正(しかもその母親がうちの会社の英子って・・・)
南野正(いや〜ありえない そうだよ!やっぱりあれはフィクションだ!)
南野正(たまたま俺のした事と内容が一致しただけじゃないか!)
南野正「ハァ〜」
  南野は大きな溜息をついて椅子の背もたれに身体を倒した
北川龍「おつかれみたいですね?」
  南野が横を見るとカウンターの一つ席を空けて男が座っていた
南野正「ええ 妙なことになってましてね」
北川龍「Truth is stranger than fiction.」
南野正「事実は小説よりも奇なり 確かバイロンの言葉でしたか」
北川龍「ええ そして今かかっている曲のタイトルでもある」
南野正「そうでしたか それは知りませんでした なんか妙な偶然ですね」
北川龍「ある視点からはそうでしょうね」
南野正「というと?」
北川龍「私はこの曲の事を知っていた あなたが言った「妙なこと」という言葉につなげてみただけのことです」
南野正「なるほど でもやっぱり私の言葉と曲名が一致したというのは・・・」
北川龍「偶然一致したように見えるだけですよ なぜなら先程言った曲名は嘘ですから」
南野正「ハハハ! やられました! 妙なことに見せかけることは案外簡単だということですね?」
北川龍「ええ まぁどの角度から見ても奇妙としか言えないこともありますがね」

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