愛と嘘とその他諸々

サカミキ

第一話 発端(脚本)

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〇黒
  『どうして、あんな事しちゃったの?』
  『どうしても』
  『欲しかったから』
紡「愛しているから、ずっと側にいたい もう手離すなんて出来ない」
菜緒「あの人は、私に興味が無いの 愛されてるって感じた事は一度もないわ」
貴之「『子供、子供』って うんざりなんだ! 彼女さえ居れば充分なのに」
真奈美「あの人の子供が欲しい 何で!? あの女だけ・・・」
礼子「あの子はまた人の物に手を出して・・・ 思い知らせてあげなきゃ」
亜輝「みんな持ってる・・・家族 少しぐらい分けて貰ってもいいじゃないか」

〇明るいリビング
紡「ただいま」
  紡はリビングに入ると子供を抱き上げる。
菜緒「おかえり こらっ! 朝帰り」
紡「ごっ、ごめん」
菜緒「フフッ、冗談よ でも、はじめてじゃない? アキ君と飲みに行っても泊まることなかったのに」
紡「えっと ちょっと飲み過ぎちゃって・・・ 本当ごめんなさい」
菜緒「そんな謝らなくていいわよ ちゃんと連絡もくれたし」
紡「今日、出かけるって言ってたよね あっ君みてるよ」
菜緒「午後からにするから大丈夫よ」
紡「じゃ、ちょっとだけ寝ていいかな? 遅くまで飲んでて、あまり寝てないんだ」
菜緒「うん じゃあ、ちょっとあっ君と公園行ってくるね」
紡「ありがと、ホントごめんね」
  菜緒は紡から子供を受け取るとリビングを出ていく。

〇部屋のベッド
紡「菜緒? どうしたの?」
  あっ君が
  あっ君がいないの!
  菜緒の慌てた声が響く。
紡「えっ! お、落ち着いて 今、公園?」
  う、うん
  探してるんだけど見つからなくて・・・
  どっ、どうしよう
  菜緒の声が震えている。
紡「直ぐに行く!」

〇広い公園
菜緒「紡!」
紡「菜緒! あっ君は?」
菜緒「まだ、見つからないの」
紡「けっ、警察に・・・」
菜緒「ま、待って もう少し探してみる 一人でそんな遠くまで行けるわけないし どこか物陰にいるかも」
紡「わかった 俺はとりあえず交番に行ってみる 迷子として預けられてるかもしれないから」
菜緒「う、うん 見つかったら直ぐ連絡して」

〇交番の中
紡「すいません 2歳の息子が公園でいなくなってしまって」
お巡りさん「迷子の連絡はきてませんが・・・ 一緒に探しましょう」
紡「すいません よろしくお願いします」

〇広い公園
お巡りさん「見つかりませんね 捜索願いを出された方が・・・」
紡「は、はい」
お巡りさん「近所の方が息子さんを見かけて保護して下さってるかもしれませんし・・・ とりあえず一度家に戻って・・・」
菜緒「そ、そうですよね」

〇明るいリビング
菜緒「ごめんなさい、ごめんなさい 私がちゃんと見ていれば」
紡「大丈夫だよ、きっと見つかる」
  紡は菜緒の肩を抱きしめる。

〇シックな玄関
赤松(刑事)「赤松です」
青木(刑事)「青木です」
赤松(刑事)「お子さんが居なくなられたそうですね? お話、伺いにきました」
青木(刑事)「現在、他の署員も探していますので」
紡「ありがとうございます どうぞ、上がって下さい」

〇明るいリビング
赤松(刑事)「早速ですけど 誰かに恨まれる覚えありません?」
「えっ!?」
青木(刑事)「ちょっと、赤松さん ちゃんと説明してあげて下さい」
赤松(刑事)「じゃ、青木が説明して」
青木(刑事)「近くに川や池などの水場も無いですし 交通事故等にあった形跡もない」
青木(刑事)「これだけ探して見つからないとなると 連れ去りが濃厚だと思われます」
赤松(刑事)「今時、身代金目的の誘拐なんてリスクが高いことをするとは考えづらいし 2才の男の子だと、イタズラ目的の線も薄い」
青木(刑事)「ですから、怨恨による誘拐を考え お伺いしたんです」
赤松(刑事)「で、恨まれる覚えはあります?」
紡「いえ、ありません」
赤松(刑事)「奥さんは?」
菜緒「私も、ありません」
赤松(刑事)「大体みんな、そー言うんですよ」
青木(刑事)「では、お子さんが居なくなった時の状況を お伺いします」
赤松(刑事)「あー、ちょっと さっきから奥さんのスマホ何度もなってるけど、確認しなくていいんですか?」
  赤松が菜緒の方を見る。
菜緒「ああ、いいんです 大した用じゃないんで」
赤松(刑事)「へー、確認しないでわかるんですね ところで、奥さん綺麗な格好してますね 旦那さんはいかにも部屋着なのに」
菜緒「あっ、出かける予定だったので」
赤松(刑事)「だれと?」
菜緒「ひ、一人で」
赤松(刑事)「どちらへ?」
青木(刑事)「ちょっと赤松さん 関係ない話はいいので事件の状況を」
赤松(刑事)「関係あるか無いかわかんないでしょ それに、まだ事件と決まった訳じゃない」
青木(刑事)「す、すいません」
赤松(刑事)「公園には何時頃?」
菜緒「9時少し前だったと」
  赤松と菜緒の話を聞きながら、青木がメモをとる。
赤松(刑事)「旦那さんは?」
紡「寝てました」
赤松(刑事)「じゃ、お子さんと最後に会ったのは昨日?」
紡「いえ、今朝8時半頃に帰ってきて 会ってから寝ました」
赤松(刑事)「ほぉ、朝帰り お仕事ですか? 大変ですね」
紡「いえ・・・ 飲んでました」
赤松(刑事)「ああ、旦那さんには後ほどお話伺いますね ところで奥さん、お子さんがいなくなった時間は?」
菜緒「公園に着いて5分後くらいだったと ほんとにほんの数分だったんです スマホに気を取られて」
赤松(刑事)「気を取られてたっていうのは具体的に?」
菜緒「子供は電車の遊具に座らせてたんです メッセージのやり取りを少しした後 電話がかかってきて、数分話をしてました」
赤松(刑事)「お相手は?」
菜緒「えっと、それは必要ですか?」
赤松(刑事)「いやー 自作自演って可能性もなきにしもあらずなんで、一応確認を・・・」
紡「何の為にそんなこと ありえない」
赤松(刑事)「いるんですよ、『注目を集めたい、構って欲しい』って人が・・・」
紡「菜緒に限ってそんなこと」
赤松(刑事)「すいませんね、疑うのが仕事なもので・・・」
  赤松が紡と菜緒を鋭い目でみる。
青木(刑事)「赤松さん、ちょっといいですか?」
  青木が赤松に目配せする。
赤松(刑事)「ああ」
  二人の刑事がリビングを出ていく。
「・・・・・・」

〇シックな玄関
青木(刑事)「お子さんが居なくなったのが9時頃 旦那さんに連絡を入れたのが9時40分頃 で、10時頃に旦那さんが交番を訪れた」
  青木が腕時計に目をやる。
青木(刑事)「何で奥さんは、すぐに旦那さんや警察に連絡しなかったんでしょう?」
赤松(刑事)「パニックで思いつかなかったのかも まぁ、目を離したのが数分ってのも怪しいけどなぁ」
青木(刑事)「そうですね 旦那さんが寝てたってのも・・・ 証明できないですよね」
赤松(刑事)「あの夫婦、お互い何か隠してるよなぁ」

次のエピソード:第二話 違和感

コメント

  • 夫婦それぞれに秘密がありそうですが、一番心配なのは子どものこと。怖い思いをしていないとよいけれど…発見されたとき、修羅場になる予感。

  • 旦那さんが朝帰りして、こんなに優しい対応?って思っていたら、奥さんにも何かあるみたいですね。可愛い子供がいるのに、お盛んな夫婦ですね。嘘に嘘を重ねると、最終的に自身の破滅につながりますから、どんな結末になるのか楽しみです!

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