誰かの所業は怪異に勝る

銀次郎

あの人の過去に起きたこと(脚本)

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銀次郎

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〇高級一戸建て
林多恵「とゆうわけなので、問題は一応解決かと」
中島さゆ「(解決‥?)」
三井楓「じゃあもう、あの赤いコートの女は出てこないんですね?」
林多恵「はい!」
中島さゆ「(はい‥って言ったよ)」
三井楓「はぁー‥よかった‥ ありがとうございます」
林多恵「いえいえ、教師として、至極当たり前の事をですね‥」
中島さゆ「あのー、ところで、音楽の田之上先生ってご存じですか?」
三井楓「田之上先生?今の音楽先生ですか?」
中島さゆ「いや、以前の先生です 先月まで反町第三にいたんですが」
三井楓「でしたら存じ上げません ご存じのように私達が転校してきたのは今月に入ってからですから」
中島さゆ「そうですよね‥」
三井楓「あの、それが何か?」
中島さゆ「いえ‥なんでもないです」
林多恵「‥‥」
中島さゆ「じゃ、私たちはこの辺で」
三井楓「あっ、はい いろいろありがとうございました」
林多恵「今回の件については引き続き警戒していきますので、そちらでも何かありましたら、遠慮なくご相談下さい」
三井楓「はい、そうさせていただきます」
林多恵「じゃ、これで 三井くん、さようなら」
三井輝「さようならー」
中島さゆ「失礼します」

〇通学路
中島さゆ「とりあえず、職員室に戻りますかね?」
林多恵「そういえば、さっき私の話をさえぎりましたよねー?」
中島さゆ「だって、長くなりそうなんだもん  それよりさ、職員室に戻って確かめたいことあるんだよね」
林多恵「確かめたいこと?」

〇散らかった職員室
中島さゆ「もしもし、あー、どーもお疲れ様です、はい‥はい‥で、そちらに転任された田之上先生について‥えっ?」
中島さゆ「それって、いつ頃‥そうですか‥ はい、わかりました  あっ、はい、宜しくお願いします‥ じゃあ、失礼します」
林多恵「どーしたんですか?職員室に着いたらすぐどっかに電話して?」
中島さゆ「田之上先生の転任先」
林多恵「転任先?」
中島さゆ「うん、ほら、さっきの赤いコートの‥ なんか田之上先生がちらちら見えてたからさ‥何か関係があるかと思ってね」
林多恵「それで電話してみたと?」
中島さゆ「そう‥だけど、いないみたい」
林多恵「いない? 田之上先生、もう帰っちゃったんですか?」
中島さゆ「来てないんだって、学校に」
林多恵「へ?」
中島さゆ「ここ一週間ぐらい、学校に来てなくて、 連絡もつかないんだって」
林多恵「‥‥」
中島さゆ「どうしたんだろう‥いったい」
林多恵「それって‥じゃあ赤いコートの女の正体は、田之上先生って事ですか?」
中島さゆ「どうだろう?だって消えちゃったし、顔も違う時があったし‥」
中島さゆ「あっ!」
林多恵「どうしました?」
中島さゆ「そう言えば、さっきのあれ何よ?」
林多恵「あれ?」
中島さゆ「ほら、赤いコートの女に説教みたいな事してたじゃない?」
林多恵「あー、あれ」
中島さゆ「何なの?あれが対策ってこと?」
林多恵「いやー、ほら、『さとり』の話があったじゃないですか?田之上先生がやっつけちゃった?」
中島さゆ「ああ、うん」
林多恵「その話を思い出して、これは使えるんじゃないかと」
中島さゆ「使える?その説教するみたいなことが?」
林多恵「はい、それなりに筋が通ってて、こっちの勢いがあれば、案外説得できるんじゃないかと思って」
中島さゆ「説得って‥でも、なんでコーディネートみたいな話をしてたの?」
林多恵「だって、赤いコートの女は赤いコートを着てるのが一番のポイントじゃないですか?やっぱりそこを責めないとって思ったんですよ」
中島さゆ「‥なんだろう、釈然としないけど、妙な筋の通り方がしている‥」
林多恵「まあ、ホントに上手く行くとは思ってなかったですけどね、あははは」
中島さゆ「‥‥」
林多恵「それは良いとしても、田之上先生、心配ですね」
中島さゆ「まあね‥どうしちゃったんだろう‥」
校長 玉ノ井優美恵「あら、二人とも、遅くまで大変ね」
中島さゆ「あっ!校長!」
林多恵「もう復職されたんですか?」
校長 玉ノ井優美恵「本当は来週からなんだけど、まあ、もういいかなって思って」
林多恵「そうなんですかー」
中島さゆ「あっ、校長先生‥あの、田之上先生が‥」
校長 玉ノ井優美恵「田之上先生?転任された?」
中島さゆ「その、田之上先生、行方がわからないみたいなんです」
校長 玉ノ井優美恵「行方がわからない?」
中島さゆ「はい、転任先の学校に、ここ一週間ぐらい来てないみたいで」
校長 玉ノ井優美恵「あら‥」
中島さゆ「どうしちゃったんでしょう‥」
校長 玉ノ井優美恵「そうね‥それについては私のほうで改めて確認してみるわ」
中島さゆ「お願いします」
校長 玉ノ井優美恵「それにしても、皆さんや副校長先生にもずいぶん負担をかけちゃったみたいで」
中島さゆ「いえいえ、そんなそんな」
林多恵「問題無いです!」
校長 玉ノ井優美恵「‥そうそう、副校長先生といえば、いろいろ気にしてるみたいね、お二人は?」
中島さゆ「えっ?」
林多恵「へっ!?」
校長 玉ノ井優美恵「まあ、昔の事だから、ほどほどにしてあげてね」
中島さゆ「あっ、えーっと‥」
林多恵「そーですねー‥」
校長 玉ノ井優美恵「ふふふふ、それじゃ、お先にね お疲れ様」
中島さゆ「あっ、はい、お疲れ様です」
林多恵「お疲れ様でーす」
林多恵「あー、びっくりしたー」
中島さゆ「‥田村井だな、チクったの」
林多恵「明日、しめてやりましょう!」
中島さゆ「おう!」

〇散らかった職員室
  翌日の職員室
田村井さん「どうもー、お世話になりまーす」
林多恵「あっ!田村井さんめ~、ぐぬぬぬ」
中島さゆ「もー、校長先生に話したでしょー!」
田村井さん「へっ?あー、あははは」
林多恵「あははじゃない!」
田村井さん「いやいや、それよりちょっとこっちに来て下さいよ!」
中島さゆ「何よー」
田村井さん「林先生も一緒に!」
林多恵「あー、はいはい‥えっ?」
「林先生、三井くんのお母さんから電話、2番です」
林多恵「はーい、中島先生、ちょっと先に行ってて下さい」
中島さゆ「わかったー」

〇学校の廊下
林多恵「お待たせしましたー」
中島さゆ「で、何ですか?わざわざ廊下に出てまで?」
田村井さん「実は、昨日の外回りの帰り、だいぶ遅い時間でしたかね?毛無川大橋を車で渡ってたら見覚えのある人がいて‥」
林多恵「見覚えのある人?」
田村井さん「だれだっけなぁ?ってボンヤリ考えてたら、その人が橋から飛び降りようとして!」
中島さゆ「えっ?」
田村井さん「急いでクラクション鳴らして車から降りて、何してんだ!って怒鳴ったんですよ!そしたら振り向いたその人‥田之上先生なんですよ」
中島さゆ「田之上先生!?」
田村井さん「はい、もうびっくりしちゃって‥ とりあえず車に乗せて、お宅まで送りますよって言ったんですけど、何にも言わなくて‥」
中島さゆ「そんな事が‥」
田村井さん「まあ、私もいろいろ噂は聞いてますんで、あんまり余計なことは言いませんでしたけど、ただ‥」
林多恵「ただ?」
田村井さん「お二人が、副校長の離婚話に興味を持ってるって話したら驚いた顔してて」
林多恵「余計な事言ってるじゃないですか!」
中島さゆ「(田村井‥ポンコツだな)」
田村井さん「あははは‥で、そしたら、田之上先生がお二人に話があるって」
中島さゆ「え‥?」
林多恵「私達に?」
田村井さん「はい、そんな訳で、今日の放課後、時間ありますか?」
中島さゆ「‥どうする?」
林多恵「まあ、話しも気になりますし、言ってみましょうよ」
中島さゆ「そうだね、田之上先生も心配だし、会いに行くか」
田村井さん「じゃあ、場所は駅前の喫茶『轟』に6時で、田之上先生は私が連れて行きますんで」
中島さゆ「じゃあ、お願いします」
田村井さん「はい、それじゃ私はこれで」
林多恵「宜しくお願いしまーす」
中島さゆ「あー、ちょっと!くれぐれも校長先生には‥」
田村井さん「わかってますって、口は堅いんですからー」
中島さゆ「(どの口がそれを言うのか‥)」
田村井さん「じゃあ、失礼しまーす」
林多恵「でも、何の話ですかね?田之上先生」
中島さゆ「ね、なんだろうな‥」

〇レトロ喫茶
林多恵「夜に喫茶店ってあんまり来ないなぁ」
中島さゆ「そう?」
林多恵「昼間しか行かないイメージがあります」
中島さゆ「まあ、そうね、夜は居酒屋に行っちゃうしなぁ‥あっ!」
林多恵「来ましたね」
田之上樹里「こんばんは‥久しぶりね」
中島さゆ「あのー、大丈夫ですか?」
田之上樹里「そうね‥色々心配させてごめんなさい」
喫茶店 店員「いっらしゃいませ、ご注文は?」
田之上樹里「うーん‥二人はなに飲んでるの?」
中島さゆ「ビールです」
林多恵「ハイボール」
田之上樹里「居酒屋じゃないんだから‥ じゃあ、私はホッピーで」
喫茶店 店員「かしこまりました、少々お待ちください」
中島さゆ「先生も十分居酒屋ですよ」
田之上樹里「ふふふ、そうね」
林多恵「この喫茶店、ホッピーあるんだ‥」
田之上樹里「さて‥どこから話そうか‥」
中島さゆ「学校‥行ってないんですか?」
田之上樹里「そうね‥何と言うか、悪い部分が出始めたから‥」
林多恵「悪い部分?」
田之上樹里「うーん、別の話からしたほうがいいかもね‥ねえ、副校長の離婚の話、聞きたい?」
中島さゆ「えっ?そりゃ‥」
林多恵「聞きたいです!」
田之上樹里「正直ね‥まず、副校長の3回の離婚は全部相手側に問題があったのは聞いてるでしょ?」
中島さゆ「はい、そこまでは」
田之上樹里「最初の離婚は相手の浮気、でもだいぶ前の話らしいの」
中島さゆ「だいぶ前?」
田之上樹里「ええ、もう10年以上前のはずよ‥それに子供もいるの」
林多恵「子供?」
田之上樹里「向こうが引き取って育ててるわ」
林多恵「今のご家庭以外でも子供か‥それはなかなか‥」
田之上樹里「今のお子さんは奥さんの連れ子よ 血の繋がりは無いの」
林多恵「なるほど‥」
田之上樹里「で、二度目ね‥この時の離婚はDVが原因みたいで」
中島さゆ「DV?副校長が?」
田之上樹里「副校長がされてたの、被害者なわけ」
中島さゆ「あら―‥」
田之上樹里「結局、相手が激高して出て行って、それで‥」
中島さゆ「それで?」
田之上樹里「亡くなったの」
中島さゆ「亡くなった!」
  続く

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