憎しみの末に待ち受けているもの

ゆーた

第3話「高山マリコ」(脚本)

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〇大企業のオフィスビル

〇オフィスのフロア
  ──マリコからだ・・・
高山アキラ「はい──」
マリコの声「アキラ、これから会えない?」
高山アキラ「・・・いい加減にしろよ。 これ以上しつこいと警察呼ぶからな」
マリコの声「白木サチって誰?」
高山アキラ「・・・・・・」
マリコの声「いま会社の前にいるから、すぐに来て」
高山アキラ「・・・わかった、すぐに行く」
高山アキラ「・・・」

〇大企業のオフィスビル
高山マリコ「久しぶり、アキラ」
高山アキラ「・・・」
高山マリコ「新しい生活はどう? わたしと離れて清清してる?」
高山アキラ「・・・用件は?」
高山マリコ「白木サチについて教えて」
高山アキラ「・・・」
高山マリコ「ここに来たってことは彼女を知ってるんでしょ? どういう関係なの?」
高山アキラ「・・・全部知ってるんだろ? 誰から何を聞いた?」
高山マリコ「いいから答えて!」
高山アキラ「・・・いま彼女と一緒に住んでる。 マリコと別れて彼女と結婚するつもりだ」
高山マリコ「・・・ごめんね、アキラ」
高山マリコ「こうなったのはわたしにも責任があると思うの」
高山アキラ「・・・マリコ」
高山マリコ「気の迷いは誰にだって一度くらいある。 わたし、アキラのこと許すよ」
高山マリコ「だから、戻ってきてよ。 アキラが戻ってきてくれさえすればわたし──」
高山アキラ「──ごめん」
高山アキラ「おれ、サチのこと愛してるんだ」
高山マリコ「・・・」
高山アキラ「本当に、ごめん・・・」
  こうなったのは誰のせい──?
  
  アキラのせい?
  
  それともわたしの?
  いや────あの女だ!!
  
  わたしから一番大切なものを奪った───
  
  全部白木サチのせいだ────!!

〇黒
  第3話「高山マリコ」

〇中規模マンション
五味警部「・・・」
  外出か──後を追ってみよう

〇墓石
白木サチ「りん・・・もう少し待っててね。 もう少しで、全部終わるから・・・」
  サチが花を供えた墓石には『羽村』と刻まれていた──
五味警部「羽村・・・もしかして彼女は──!!」

〇綺麗なダイニング
白木サチ「おかえりなさい!」
高山アキラ「・・・ただいま」
白木サチ「元気ないね・・・なにかあった?」
高山アキラ「マリコが会社に来て、サチのこと聞かれた」
白木サチ「え──!?」
高山アキラ「全部正直に話したよ。だけどマリコのやつ、探偵でも雇ってたのかな・・・」
高山アキラ「もしかしたらここの住所もマリコに知られてるかもしれない」
白木サチ「そう・・・」
高山アキラ「あいつ、何かしてくるかもしれない。 サチも気をつけて」
白木サチ「うん・・・でも、怖い──」
高山アキラ「サチはおれが守るから大丈夫。 早いうちに引っ越し先見つけよう」

〇黒
  翌日

〇玄関内
高山アキラ「行ってきます」
白木サチ「行ってらっしゃい! 夕飯のカレー作って待ってるね」
高山アキラ「カレー! 急いで帰ってくるよ」
白木サチ「うん! 気をつけてね」

〇中規模マンション
  誰かに見られてる──!?
  
  ──気のせいか・・・

〇中規模マンション
高山マリコ「・・・」

〇綺麗なダイニング
  ピンポーン
白木サチ「はーい!」

〇玄関内
白木サチ「アキラさん? 忘れ物でもしたの?」
マリコの声「アキラの妻です」
白木サチ「・・・」
マリコの声「あなた、白木サチさんですよね?」
白木サチ「・・・はい。どうしてここが?」

〇マンションの共用廊下
高山マリコ「あなたがわたしの主人と不倫してるって手紙が届いたの。 ご丁寧にここの住所まで書いてあった」
サチの声「そう──それでご用件は?」
高山マリコ「アキラと別れて。アキラを返してほしいの」
サチの声「それはできません」
高山マリコ「・・・なぜ?」

〇玄関内
白木サチ「アキラさんを愛しているから」
白木サチ「それにアキラさんもわたしを愛してくれてる。本人から直接、そう言われたんでしょう?」
マリコの声「・・・」
白木サチ「アキラさんのことを本当に愛してるなら、潔く身を引いてあげたらどう?」
マリコの声「・・・わかりました。 会ってお話しできませんか?」

〇マンションの共用廊下
サチの声「・・・今ドアを開けます」
  ドアが開いたらアイツを刺す────ドアが開いたらアイツを刺して殺すアイツはわたしの世界で一番大切なものを奪った
  アイツは殺されても仕方のない人間だからわたしはアイツを殺す殺す殺す死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね─────!!

〇警察署の資料室
  『報告書』
  ○○大学に通う羽村りん(19)がビルの屋上から転落して死亡。現場検証と死体解剖の結果から自殺と断定。
  遺書は発見されなかったが、
  後日自宅から見つかった日記によると、
  大学の友人からいじめを受けていたとの記述が発見される。
  いじめに関しての調査を行った結果、
  事件性はないとして、
  本件は自殺として処理する。
  【担当:五味】
五味警部「・・・そうか、やっぱり彼女は──!!」
一ノ瀬警部補「五味さん、ここにいたっすか」
一ノ瀬警部補「空き巣の容疑者捕まえたんで、取り調べを──」
五味警部「悪い、お前がやっといてくれ」
一ノ瀬警部補「オレっすか!? 冗談やめてくださいよ〜」
五味警部「お前ならできる、というか、やれ!」
一ノ瀬警部補「パワハラすか、今どき流行んないっすよ って、どこ行くんすか──」
五味警部「彼女のところだ」
一ノ瀬警部補「彼女って五味さんが追ってる不倫の? たしか、白木────」
五味警部「彼女は白木サチじゃなかった」
五味警部「彼女は高山アキラの妻、高山マリコを殺すつもりだ」
一ノ瀬警部補「殺す──!?」
五味警部「白木サチの本当の名前、それは羽村─────」

〇玄関内
白木サチ「久しぶり、マリコ────」
高山マリコ「・・・なんで────!?」
白木サチ「わたしのこと覚えてる?」
高山マリコ「・・・嘘────」
白木サチ「こうすれば思い出すかしら」
白木サチ「・・・」
高山マリコ「・・・りん────あんたはし、し、死ん────」
白木サチ「そう、わたしはりん────」
白木サチ「あなたが殺した”羽村りん”よ────!!」

〇黒
  つづく

次のエピソード:第4話「羽村りん」

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