エピソード5(脚本)
〇荒廃したセンター街
風鈴草「はぁっ!」
陽菜乃「・・・・・・・・・・・・」
現在、陽菜乃は風鈴草と共に任務に出ていた。
自分の相手を倒し、風鈴草の様子を見詰めた。元ゴールドの自分より、やはり時間が掛かっているらしい。
風鈴草「はぁ、何とか片付けられたな」
青蘭「お疲れ様、フウリンソウ先輩」
風鈴草「先輩、か・・・・・・君とは半年しか変わらないんだけどな」
風鈴草こと明史は、一年前の襲撃事件直後に狩人になったタイプだった。それ故に、ビギナーのクラスだ。
風鈴草「まだ雛芥子には敵わないな」
陽菜乃「仕方無いわ。私とは年数が異なるもの」
風鈴草「・・・・・・いや、それに甘える訳にはいかない。少しでも早く、強くなって人喰いを倒さないと」
青蘭「・・・・・・フウリンソウ先輩のって、奥さんが喰われたからっていう復讐?」
風鈴草「・・・・・・・・・・・・それもある」
風鈴草「だが、それ以上に子供達には平和な世の中で暮らして欲しいからな」
陽菜乃「そう」
青蘭「・・・・・・・・・・・・」
陽菜乃「理由は何でもいい・・・・・・人喰いの殲滅は、私の目的でもある」
迫っていた人喰いを、明史が構える間もなく斬り倒す陽菜乃。
風鈴草「早、い・・・・・・な・・・・・・」
陽菜乃「逃がすつもりはないもの」
風鈴草「そう、か」
風鈴草(これが歳食ってからのビギナーと元ゴールドの差か。俺もウカウカしてられん)
陽菜乃「・・・・・・風鈴さん」
風鈴草「ん?」
陽菜乃「貴方が私より遅いのは、躊躇いがあるから・・・・・・梨沙だって、有能な武器よ」
風鈴草「・・・・・・そうだな」
〇おしゃれな受付
「お父さんお帰り!」
佳苗「お帰りなさい。雛芥子、風鈴草」
風鈴草「ああ、ただいま」
任務から戻った彼女達を迎えたのは、明史の子供達と受付の娘だった。
風鈴草「何もなかったか?」
「うん!」
子供「佳苗おねーちゃんが相手してくれたから!」
子供「たのしかったー」
風鈴草「そうか」
風鈴草「子供達を見てくれてありがとう、佳苗さん」
佳苗「いえ、それも仕事ですから」
陽菜乃「手続き、お願いしても?」
佳苗「あ、はい!勿論」
青蘭「・・・・・・いいの?近くに居なくて」
梨沙「ここなら側に居る必要ないからね」
狩人達から少し離れた所に立つ武器達。
青蘭「そういえば、リサ先輩って一年前は・・・・・・」
梨沙「ああ、違う狩人が居たね。けど、あの事件で狩人が喰われてしまってね」
青蘭「・・・・・・何か、前に見た時と雰囲気違うね」
梨沙「あの子達に合わせてるから」
青蘭「そうなんだ」
梨沙「ああ。私はパートナーの奥さんとやらに容姿が似てるらしい」
青蘭「そうなんだ・・・・・・ね、リサ先輩」
梨沙「ん?」
青蘭「リサ先輩はどっち側?」
梨沙「・・・・・・そういうのは直接聞くのは勧めない。皆、嘘でも向こう側だとは言わない」
青蘭「それもそうか」
陽菜乃「青蘭、戻るわよ」
青蘭「了解。じゃあね、リサ先輩」
梨沙「ああ、またよろしく」
梨沙「・・・・・・そう、嘘でもな」
風鈴草「有栖・・・・・・じゃなくて、梨沙。今日はありがとう。明日もよろしく」
梨沙「・・・・・・ええ、よろしくね」
子供「お母さんばいばい?」
子供「お母さんじゃないよ。梨沙ちゃん、またね」
梨沙「ええ、またね」
佳苗「・・・・・・梨沙さん」
梨沙「君の邪魔はしない。だから、焦らなくていい」
佳苗「あ、はい。ありがとうございます」
梨沙(そう。所詮私達は武器なのだから)
〇廊下の曲がり角
青蘭「あれ?部屋に行かないの?」
陽菜乃「ええ、今日は父さ・・・・・・リーダーに呼び出されてるから」
青蘭「そうなんだ。俺も同席?」
陽菜乃「ええ」
青蘭「了解」
〇豪華な社長室
リーダー「よく来てくれた」
陽菜乃「いえ」
リーダー「お前達には、ある任務を任せたいと思っている」
二人の前に差し出されたのは、一枚の書類と写真。
陽菜乃「・・・・・・この男ッ!!」
青蘭「?」
リーダー「知っているのか?」
陽菜乃「・・・・・・紅蓮の仇」
青蘭「・・・・・・・・・・・・え」
書類に写されていたのは、一人の青年だった。
リーダー「最近、この男の目撃報告が来ている。見付け次第捕縛しろ」
陽菜乃「捕縛だけ?」
リーダー「難しければ始末しても構わない。兎に角、見過ごせない存在だ」
陽菜乃「承知しました」
陽菜乃「用件はそれだけでしょうか」
リーダー「ああ」
陽菜乃「では、失礼します」
リーダー「・・・・・・青蘭」
青蘭「はい?」
リーダー「あの娘を頼む。あれは母親に似て、無茶しやすい」
青蘭「分かりました」
リーダー「・・・・・・今更、何を企てている。裏切者が」
〇可愛らしい部屋
陽菜乃「あの男・・・・・・一歩近付いた」
陽菜乃「絶対に許さない・・・・・・必ず、貴方の仇は取る」
写真に向けて、呟く陽菜乃。
陽菜乃「青蘭ね、大分強くなったよ。流石は貴方の弟ね」
陽菜乃「・・・・・・必ず、あの男と共に人喰いを殲滅させるから。その時は・・・・・・」