第2話「高山アキラ」(脚本)
〇おしゃれなリビングダイニング
高山マリコ「おはよう、アキラ」
高山アキラ「おはよう」
高山マリコ「昨日は疑ったりしてごめんなさい・・・」
高山アキラ「おれも言い過ぎた。 けど、マリコは束縛しすぎなんだよ」
高山マリコ「え・・・わたし束縛してるつもりない ただ、わたしはアキラを愛してるだけなのに」
高山アキラ「仕事中にいちいち電話してくるよね?」
高山マリコ「それは、アキラが何してるか気になって・・・」
高山アキラ「仕事してるに決まってるだろ」
高山マリコ「ごめんなさい・・・もう電話するのはやめる」
高山アキラ「・・・頼むよ。 じゃあ行ってくる」
高山マリコ「行ってらっしゃい」
〇オフィスのフロア
マリコ『お疲れさま!もうすぐお昼かな?』
マリコ『今仕事中?』
マリコ『今日何時ごろ帰ってくる?』
マリコ『電話じゃなくてLINEにしてみた♡』
マリコ『アキラ、愛してるよ』
マリコ『アキラもわたしのこと愛してるよね?』
アキラ『ごめん、急な飲み会が入ったから今日も帰り遅くなる』
〇黒
第2話「高山アキラ」
〇綺麗なダイニング
高山アキラ「おいしい!」
白木サチ「本当!? よかった!」
高山アキラ「サチの料理は何食べてもおいしいよ」
白木サチ「ありがとう。 リクエストあったら言ってね」
高山アキラ「じゃあカレーがいいな」
白木サチ「アキラさん、カレー好きだもんね」
高山アキラ「マリコのカレー不味いんだ。 カレーなんて不味く作る方が難しいのに」
高山アキラ「もっと早くわかってれば、マリコ結婚なんかしなかったよ」
白木サチ「アキラさんと結婚できるなんて、奥さん羨ましい」
白木サチ「アキラさんのこと愛してるなら、もっと第一に考えてあげればいいのに・・・」
高山アキラ「サチ、おれと結婚しようか。 不倫相手のままなんて嫌だよな・・・」
白木サチ「ごめんなさい、そう意味じゃないの。 たとえ不倫相手でも、わたしはアキラさんと一緒にいられるだけで幸せだよ」
高山アキラ「マリコとは別れるよ」
白木サチ「え・・・!?」
高山アキラ「おれ、本気だよ。 荷物まとめてしばらくこっちで暮らす。 ふたりで住む家見つけよう」
白木サチ「嬉しい──!! わたし、今人生で一番幸せ──!!」
高山アキラ「あはは・・・大げさだな」
高山アキラ「・・・愛してるよ、サチ」
白木サチ「わたしも、愛してる」
〇中規模マンション
一ノ瀬警部補「五味さん、やっぱりここにいたっすか」
五味警部「おう、ちゃんと仕事してるか?」
一ノ瀬警部補「それはこっちのセリフっす。 不倫現場の張り込みなんて、探偵のすることっすよ」
五味警部「わかってるよ。 ただ、なんか妙に引っかかるんだよなあ・・・」
一ノ瀬警部補「”刑事の勘”ってやつっすか?」
五味警部「そんな所だ」
一ノ瀬警部補「ま、仕事さえしっかりしてくれれば、オレは構わないっすけどね」
五味警部「お前に言われたくねえよ!」
五味警部「・・・」
〇おしゃれなリビングダイニング
高山マリコ「待ってよアキラ! 出ていくってどういうこと!?」
高山アキラ「しばらく別々に暮らそう。 その後の話はお互い冷静になってから──」
高山マリコ「冷静になんてなれない! 訳を教えて──」
高山アキラ「マリコと暮らしてると息が詰まるんだよ──」
高山マリコ「それだけ? ・・・やっぱり他に女の人がいるの?」
高山アキラ「またその話か、しつこいな。 あとはな、マリコの料理が不味いことだよ」
高山マリコ「全部アキラの言う通りにする── もうしつこく連絡しない、料理ももっと練習する── 気に入らないことは全部直すから──」
高山マリコ「だから出ていかないでよ──!!」
高山アキラ「──もう遅いよ」
高山マリコ「待って、アキラ! 待って──行かないでよ── アキラ────!!」
数週間後──
〇マンションのオートロック
あなたの夫・高山アキラは白木サチと不倫している。
高山アキラは現在、白木サチと暮らしている。
住所は【東京都○○区××・・・・・・】
高山アキラはあなたと離婚して、白木サチと結婚するつもりだ。
高山マリコ「・・・・・・」
アキラの─────────嘘つきィィィ──────────────────
つづく