8話 渚と私(脚本)
〇可愛らしい部屋
渚とは、メッセのやりとりが増えたくらい
山本 奈子(あ、渚だ)
新キャラ
かわいい。アプリ?
そ。なんだかわかる?
子供のペンギン?
あたり
勉強?
うん。復習中
がんばれ
うん、ありがと
山本 奈子(ふふっ。 よし、がんばろう)
渚との、どうでもいいメッセのやりとりが
いい気分転換になっている
〇空
そんな、とある金曜日・・・
〇生徒会室
佐藤 正美「奈子ちゃん、ごめん」
佐藤 正美「今週だけど、明日は練習試合、 日曜は模試なんだ」
佐藤 正美「時間作れなくてごめんね」
山本 奈子「いえ、私も日曜、模試なんです。 試合、がんばってくださいね」
山本 奈子(ちょっと残念だけど、 正美先輩、忙しいもんね・・・)
〇可愛らしい部屋
山本 奈子(よし、あとはここを・・・)
山本 奈子(あ、渚だ)
明日、あいてる?
うん
どっか行こうぜ
えー、面倒
んだよ、ノリ悪い
じゃ、家は?
渚の?
そ。ひさしぶりじゃん
来いよ
山本 奈子(そういえば渚の家、ずっと行ってないな・・・)
いいよ
やった。昼頃来いよ
飯食おうぜ
親にもいっとく
わかった。ありがと
〇空
翌日・・・
〇シックな玄関
母「奈子、これ、持っていきなさい おかあさんによろしくね」
お母さんもOKしてくれて、
お土産を持たされる
渚の家へ、連絡もしたらしい
澪のことで、ぷっつりなにかが切れてしまっていたから、ちょっと、ほっとする
〇シックな玄関
山本 奈子「こんにちは」
渚の母「奈子ちゃん、まあ久しぶり! よく来てくれたわね!」
山本 奈子「これ、母が」
渚の母「あらまあ、ありがとう。 さあ、上がって」
渚の母「あと、ごめんなさいね、 今日用事があって」
渚の母「渚、ちゃんとするのよ!」
田中 渚「わかってるよ」
渚のお母さんは、早々に家を出て行き・・・
〇豪華なリビングダイニング
山本 奈子「・・・・・・」
田中 渚「・・・・・・」
私は、渚と二人きりになる
田中 渚「っし、飯、作るか」
山本 奈子「渚が作ってくれるの?」
田中 渚「うん。 パスタとサラダ、スープでいいか?」
山本 奈子「もちろん、いいけど・・・ 料理、するんだ?」
田中 渚「週末は割と作るぜ。 あと、たまに弁当」
山本 奈子「へええ!」
山本 奈子「あ、何か手伝う?」
田中 渚「いいよ、座ってろ」
〇システムキッチン
渚はキッチンに立つと、手際よく料理を作り始める
〇豪華なリビングダイニング
山本 奈子「上手だね」
〇システムキッチン
田中 渚「まーな。慣れた」
小気味よい包丁の音
無駄のない動き
私の知らない渚だ
〇豪華なリビングダイニング
山本 奈子(わ、いい匂い・・・)
〇システムキッチン
田中 渚「奈子、トマト好きだろ? だからトマトパスタ」
〇豪華なリビングダイニング
山本 奈子「わあ、嬉しい!」
しばらくして、食卓に
トマトパスタとサラダ、スープが並ぶ
山本 奈子「いただきます」
田中 渚「いただきます」
山本 奈子「わ、おいしい!」
田中 渚「だろ?」
山本 奈子「料理できるなんて知らなかったから びっくりしたよー」
田中 渚「母さんがいそがしいからさ。 自分の分はって思って」
山本 奈子「すごいなあ。 私ぜんぜん料理できないよ」
田中 渚「まあ、奈子は不器用だし?」
山本 奈子「そんなこと・・・!」
山本 奈子「あるかも・・・」
田中 渚「うん」
そんな感じで、どうでもいい話をしながら
渚が作ってくれたランチを食べ
田中 渚「奈子が持ってきてくれたこれ、食おうぜ!」
渚が魔法瓶に紅茶を用意してくれて
〇シンプルなワンルーム
私は、久しぶりに渚の部屋へ行く
山本 奈子「おじゃましますー」
山本 奈子「・・・あまり変わってないね」
田中 渚「まあな。別にいじってねえし」
渚の、変わらないところ。
部屋の様子や、しゃべり方。
渚の、変わったところ。
〇黒
制服。
背が伸びたこと。
〇システムキッチン
料理をすること。
〇シンプルなワンルーム
山本 奈子「今日、全然、スマホ鳴らないね?」
田中 渚「あー」
田中 渚「今日は奈子と一緒だから 通知、切ってる」
田中 渚「邪魔されたくないから」
山本 奈子「そ、そっか・・・」
田中 渚「そうだ、アプリできんたんだよ」
田中 渚「それで奈子に、最初に見せたくてさ。 ほら」
山本 奈子「ペンギン・・・増えた?」
田中 渚「うん」
画面の中では、氷山らしきものの上を、
ペンギンが3羽、歩いている
山本 奈子「これ、どうするの?」
田中 渚「見る」
山本 奈子「え?」
田中 渚「置いて、たまに眺める」
山本 奈子「操作とかないの?」
田中 渚「ない」