悪役令嬢の逆鱗 〜私自身を貶めるのはともかく、私の最愛を傷つけることは何があっても許しません〜

桜香えるる

2. 幸せを願う者(脚本)

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〇荷馬車の中
  王城から馬車に揺られること、およそ一週間。馬車はもうすぐ、国境地域へとさしかかろうとしている。
アリア「セレーナ夫人。わざわざ馬車に同乗して、国境地域まで見送りに来てくださるなんて・・・・・・本当にありがとうございます」
セレーナ夫人「・・・・・・礼は要りませんよ。アリアを一人ぼっちで見知らぬ地へ送りたくなどなかっただけですから」
  彼女はセレーナ夫人。私の妃教育を担当し、幼い頃から今に至るまでずっとありとあらゆる教養や知識を叩き込んでくれた先生だ。
セレーナ夫人「それよりも、処分の撤回を叶える力もなく、最後にして最高の生徒をただ見送ることしか出来ないわたくしをどうか許してください」
セレーナ夫人「あなたが卑劣なことをするような人間ではないことを、わたくしは誰よりもよく知っているというのに・・・・・・」
アリア「セレーナ夫人・・・・・・」
  本来ならば一人きりの旅路であったはずだ。そこを同乗して話し相手になってくれただけでも、私には十分に慰めになっている。
アリア「お心遣い、痛み入ります」
  そうして馬車はそのまま何事もなく目的地へと到着するかに思われたのだけれど・・・・・・
アリア「・・・・・・? 何かしら、外が少し騒がしいような?」
セレーナ夫人「・・・・・・」
  ――事件は、突如として起こった。
賊「おっ、獲物発見! あんたら、馬車から降りてこいよ」
  乱暴に開かれた扉の先にいたのは、刃物をちらつかせた明らかに賊と分かる風貌の男。対するこちらは、戦闘能力などない二人の女。
アリア「やむを得ないわね。・・・・・・分かったわ。あなたの言う通りにする」

〇谷
アリア「それで? 何が目的なの? 金目当てならお生憎様。見ての通り、今の私に財産などないわ。だから早く解放してもらえないかしら」
賊「金目当てっちゃあ、金目当てだな。ただし、金をもらう相手はお前じゃない。オレらは仕事を請け負っているんだよ」
アリア「仕事ですって?」
賊「そう。取引先は、ターゲットの暗殺をお望みだ。そして今回のターゲットというのが・・・・・・お前さ!」
アリア「・・・・・・なんですって!?」
賊「というわけで、お前を解放するわけにはいかねえんだ。この場で、お前の命をもらう! おりゃあああ!!」
アリア「きゃあああっ!!」
  もうダメだ。そう思った刹那──
賊「ぐはっ!!」
アリア「・・・・・・?」
デリック「大丈夫ですか!?」
アリア「あなたは・・・・・・デリック・ソール卿?」
  デリック卿は王国騎士であり、王族の護衛も担当する実力派だ。今回の私の護送担当の中にはいなかったはずなのだけれど・・・
デリック「なんだか胸騒ぎがして、居ても立っても居られず馬を飛ばして来たんです。間に合って良かった」
デリック「ここからは僕が同行しましょう。ご心配なく、万事お任せください」
アリア「それは・・・・・・とてもありがたいお話ですが・・・・・・私などに関わっていて大丈夫なのですか?」
デリック「もちろんですよ。さあ、お手をどうぞ」
セレーナ夫人「・・・・・・です」
アリア「セレーナ夫人?」
セレーナ夫人「ダメです。その手を取っては!」
アリア「・・・・・・!?」
セレーナ夫人「フェルナンド様やミラン殿が悪巧みをしていることには気付いていました。だからこそわたくしは今回、同行することにしたのです」
セレーナ夫人「その危機を救ってくださったことには、心より感謝申し上げます。・・・・・・ですが!」
セレーナ夫人「あなたもまた、彼らとは異なるあなたの思惑で動いているのではありませんか? 善意ではなく、悪しき心を持って!」

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