割れた鏡

里見夕貴

プロローグ(脚本)

割れた鏡

里見夕貴

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〇血しぶき
「絶対に許さない」
  憎悪に満ちた目が
  怖くて怖くて
  
  
  
  目が覚めた

〇古いアパートの一室
あみ「はぁ・・・」
  またいやな夢をみた
  子供の頃から繰り返し見る夢だった
  キツイ顔をした女の人がしっかりと私をとらえ
  「絶対にゆるさない」
  と言っている夢
  あまりに怖くて心臓がバクバクして
  目が醒めてしまう
  その場面が印象的で
  その前の内容も全く覚えていない
あみ「あぁあ、そろそろ潮時かな・・・」
  小さいころからストレスがたまると
  この夢を見る
あみ「はぁ・・・」
  溜息と共にどっと疲れが押し寄せてきた
  ふと時計をみた
あみ「ヤバい早く起きなきゃ」
  一人暮らしは気楽だがたしなめてくれる人はいない

〇エレベーターの中
  始業前ギリギリに会社についた
  電車が少し遅れたからだ
あみ「ツイテナイ・・・」
  あの夢をみたのだから
  今日はブラックディなのだ

〇更衣室
  やっぱりいた・・・
あみ「おはようございます」
  挨拶しながら、更衣室のドアをあけ入室する
  苦手な同僚はいつもこの時間なので
  時間をずらすようにしていたのだ
百葉(ムカデ)「おはようございます 今日は遅いですね」
  百葉というムカデを連想させる名前の同僚は、私が距離を置こうとしても話しかけてくる
あみ「電車が少し遅れたから 乗り換え間に合わなかったんです」
  私はカバンをロッカーにしまいながら
  目も合わさずに答えた
百葉(ムカデ)「あら・・・大変でしたね いつもと髪型が違うから寝坊かと思いました」
  こういうところも本当に嫌だ
  ほっといて欲しい
あみ「うん・・・」
  無視してもいいのだが
  なんとなくうなづいていた
百葉(ムカデ)「ではお先に・・・」
あみ「はぁ・・・ 気持ち入れ替えなきゃ」
  私も少し間をおいてから更衣室を後にした

〇事務所
  仕事中も夢の余韻を引きずっていた
  『ずっとこのままが良かったのにな・・・』
  それは私のワガママなのは分かっていた
  『この8年楽しかったな・・・』
  回想

〇海辺の街
敦「結婚しよう」
  先週末、25歳の時から付き合っている敦にプロポーズされた
あみ「え? 何で・・・」
敦「あみが結婚願望無いのは分かっている だけど、俺やっぱりあみと結婚したい」
  真剣なんだと分かったので
  何も答えられなかった

〇事務所
  『仕事が終わってから考えよう』
  そうは思ってもなかなか集中出来なかった

〇お弁当屋のレジ
  少し遅めの昼休憩になった
  携帯を見たら留守番電話に伝言あり
  のメッセージがあった
あみ「あれ?」
  知らない番号からだったので
  警戒しながらメッセージを聞く
「山本さんの携帯でしょうか? 私高田敦さんとお付き合いさせて頂いているものです」
あみ「は?お付き合いって何?」
「お話ししたいことがありますので ご連絡ください」
  📲ブーブー
  敦からの電話だった
あみ「今、あなたとお付き合いしている女性から留守番電話にメッセージがあったの」
あみ「付き合っている人がいたなら言ってよ! ちゃんと別れてあげるから!」
  怒りに任せて言ってしまった
敦「ちょっと待って!! そのことで電話したんだ」
敦「俺、ストーカーの被害にあっていたんだ・・・」
あみ「え?ストーカー? 何それ?」
敦「このままだと、あみにも被害が及ぶんじゃないかと心配になって電話したんだ」
  頭が混乱していた
  ストーカーなんて初耳だった
敦「今日、夜時間取れる?ちゃんと話しするからあみの家行っていい?」
あみ「うん・・・」
  怒りは収まっていたが、混乱したまま
  20時に敦と約束をした
  敦から何回も着信があったことに
  電話を切ってから気が付いた

〇古いアパートの一室
  仕事は溜まっていたが
  定時にあがり早めに家に着いた
  食欲が無かったので夕飯の準備もせず
  ぼんやり敦を待っていた
  異変に気づいたのは20時を
  10分過ぎた頃だった
あみ「敦どうした?電話に出て・・・」
  祈るような気持ちで電話をかけたけれど
  留守番電話サービスに繋がるだけだった
  敦は律儀な性格で時間に遅れる時は
  必ず連絡をくれていた
  2,3分遅れる時だって必ず連絡してくるのだ
  連絡をよこさずに遅れるなんてありえなかった
あみ「敦・・・ 何があったの?」
  それから何度か電話をかけ
  留守電にもメッセージを残したが
  敦とは連絡がつかないまま朝を迎えた

〇古いアパートの一室
あみ「今日は休もう・・・」
  会社には欠席届けを出して
  敦の家に行ってみることにした

〇住宅街
あみ「確か・・・ この角曲がったところだったっけ?」
  敦は実家暮らしなので数回しか来た事が
  なかったけれど、なんとかたどり着いた
  かなり迷ったが呼び鈴を押す
  ピンポーン
  インターホン越しに私が分かったのか
  ドアが開いて敦のお母さんが出てきた
敦の母「良かった。あなたに連絡したかったのよ」
  嫌な予感がした
あみ「朝早くから申し訳ございません あの・・・敦さんいらっしゃいますか?」
敦の母「とりあえず入ってくれる?」

〇シックな玄関
敦の母「夕べあなたのところに行くって 言って出ていったんだけど 敦何時までお宅にいたのかしら?」
あみ「来てないんです 約束していたのに来なくて 電話をしても通じないし 今までこんなことなかったから・・・」
  泣き出しそうになりながら答えた
敦の母「え?お宅に行っていないの?」
あみ「はい・・・ 会社の方には連絡しましたか? 出社されているか確認は?」
敦の母「会社から今日は重要な仕事があるのにまだ来ていないって連絡あったの。あなたの所から直接行ったのかと思っていたのよ・・・」

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