〇公園のベンチ
田中　渚「お前さ」
山本　奈子「うん」
田中　渚「好きなヤツとか、いねーの？」
山本　奈子「えっ・・・」
山本　奈子「い、いないよ！」
田中　渚「マジ？」
山本　奈子「うん」
山本　奈子「ほら、その、勉強で忙しいし そんな、友達とかも・・・いないし」
田中　渚「そっか」
山本　奈子「うん」
田中　渚「はは、そっかあ！」
山本　奈子「返事、大丈夫？」
田中　渚「ああ。終わった」
田中　渚「帰ろうぜ」
山本　奈子「えっ、話は？」
田中　渚「は？ 終わったけど」
山本　奈子「本当に、さくらんぼのことだけ？」
田中　渚「言ったじゃん」
山本　奈子（だったらメッセでいいのに・・・ ヘンなの）

〇住宅街
田中　渚「でさー。先生がさ」
山本　奈子「あはは、なにそれ」
　　渚と久しぶりにおしゃべりしながら
　　帰るのは楽しかった

〇一戸建て
山本　奈子「じゃあ、さくらんぼ、ありがとう」
田中　渚「ああ。またな」
田中　渚「連絡する」
山本　奈子「うん。じゃあね」

〇可愛らしい部屋
山本　奈子（よし、復習っと・・・）
山本　奈子（なんか、いい気分転換になったな。 がんばろう）

〇空
　　一週間後・・・・・・

〇学校の廊下
男子１「あれ、先輩？」
男子2「生徒会すか？　山本呼びます？」
佐藤　正美「ああ、頼む」

〇教室
女子１「奈子、正美先輩だよ」
山本　奈子（あれ・・・ほんとだ。 どうしたんだろう？）

〇学校の廊下
佐藤　正美「ごめん、奈子ちゃん。 今日、練習試合で生徒会出られなくてさ」
佐藤　正美「本、持ってきた」
山本　奈子「えっ・・・わざわざありがとうございます」
山本　奈子「あ、待っててください」

〇学校の廊下
山本　奈子「私も本持ってきたんです。 お父さんのおすすめなんですけど」
佐藤　正美「「ロシア皇帝の密約」・・・ ミステリーか。面白そうだね」
佐藤　正美「俺のは、はい、これ。 読んで、面白かったから」
山本　奈子「「暗号の歴史」・・・ 私、暗号、全然知らないです」
佐藤　正美「俺も。 でも、分かりやすいし、面白かったよ」
山本　奈子「そうなんですね。 ふふっ、読むのが楽しみです」
佐藤　正美「俺も。 次の生徒会の時に返すよ」
山本　奈子「いえ、忙しいでしょうし、 どうぞ、ごゆっくり」
佐藤　正美「いや、次に返す」
佐藤　正美「だから、奈子ちゃんも次までに 読んできて？」
佐藤　正美「約束」
山本　奈子「はい、わかりました」
佐藤　正美「じゃあ、また、生徒会で」
山本　奈子「はい。試合がんばってくださいね！」
佐藤　正美「うん。ありがと」
山本　奈子（・・・ゆっくりでいいのに）
山本　奈子（暗号かあ。 楽しみだなあ）

〇教室
女子１「さす奈子！　 先輩と本の貸し借り続けてるんだ」
山本　奈子「うん」
男子１「先輩、頭いいからなー。 東大か東工大志望なんだろ」
山本　奈子「うん。工学部に行きたいって言ってた」
男子１「あの顔でバスケ部のエースで 学年一位って､天、才能授けすぎじゃね？」
山本　奈子「あはは、そうだね」
山本　奈子「・・・よし、生徒会行ってくる」
女子１「え、でも今日、奈子一人でしょ？ さぼればいいのに」
山本　奈子「そういうわけにはいかないよ。 予定してたことは終わらせたいし」
山本　奈子「じゃあ」
女子１「まじめー」
男子１「やっぱ頭いいヤツは違うよなー」

〇生徒会室
山本　奈子（・・・ふう、こんなところかな。 一人だからあまり進まなかったけど）
山本　奈子（ん？　渚だ）
　　今、学校にいる
山本　奈子「えっ？」

〇学校の裏門

〇生徒会室
山本　奈子（ほんとだ・・・！ なんで、うちの学校に来るの？）
　　行く。まってて

〇階段の踊り場
　　私は急いで生徒会室を出て、
　　校門へ向かう。

〇教室の外
　　え、誰、あの子？
　　超かっこいいじゃん
　　あの制服、K高じゃね？
　　頭良くて金持ちじゃん！

〇学校の裏門
田中　渚「奈子！」
山本　奈子「ちょっと・・・なんで来るの？」
田中　渚「暇だったから。 いつも公園ってのもつまんねーし」
山本　奈子「はあ？」
田中　渚「それに、興味あったしさ」
山本　奈子「なにに？」
田中　渚「奈子の学校」
田中　渚「やっぱ、うちと全然違うな！」
山本　奈子「そりゃ、そうでしょ」
山本　奈子（みんな見てるし・・・）
山本　奈子「ほら、帰ろう」
田中　渚「案内とか、ねえの？」
山本　奈子「ないの！」

〇体育館の中
男子１「いやー、あのスリーはしびれたぜ！」
男子2「さすが、正美！」
佐藤　正美「いい試合だったよな。 ガードも・・・」
佐藤　正美「・・・！」

〇学校の裏門

〇体育館の中
佐藤　正美（奈子ちゃん？ 隣は・・・）
男子１「正美？」
佐藤　正美「みんないい動きだったと思うよ。 後半の32分だけど・・・」