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キリ

episode.1(脚本)

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キリ

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〇西洋の城
蔵之介「おはようございます、佳奈お嬢様」
蔵之介「あれ?返事がない・・・」
蔵之介「もしかして、 まだ眠っていらっしゃるのか?」
蔵之介「お仕えし始めて、まだ一度もお嬢様を起こしたことがないが、今日ついに・・・!」
佳奈「わたしの部屋の前に立っていると、 わたしが部屋に入れないでしょ?」
蔵之介「ええっ? !佳奈お嬢様?」
蔵之介「いつお部屋を出られたのです? ?」
佳奈「貴方が起こしに来なくても、 わたしは一人で起きられるし 朝ごはんだって作れる」
佳奈「ついでに、後片づけだってできるわ」
佳奈「いまやらなきゃいけないのは、部屋にある カバンを持って、学校へ行くことだけなの」
佳奈「というわけで、そこをどいてくれる?」
蔵之介「はっはいっ・・・」
佳奈「それじゃあ、ごきげんよう」
蔵之介「はあ・・・僕が起こしにくるずっと前から 起きていらしたなんて」
蔵之介「このまま、お嬢様にお仕えしている 意味なんて、あるのだろうか・・・」

〇ヨーロッパの街並み
  蔵之介は、夕方の買い出しにやってきた
蔵之介「はあ・・・買い出しは僕がやることなのに 佳奈お嬢様が書き置きされたものを 買っているだけなんて」
蔵之介「あれもこれも、本当は僕がやらなくちゃいけないことなのに──」
「おやまぁ、そこのお方」
「何か不満を抱いてる様子とみた」
「今後の運勢を、占ってみませんか?」
蔵之介(ああ、占い師か)
蔵之介「私は、あまり占いは信じません」
占い師「そうですか、残念です」
占い師「ではせめて、この"お香"を 差し上げましょう」
蔵之介「こんな高価なものを? よろしいのですか?」
占い師「サービスですから☆ 運気アップにご使用くださ~い!」

〇西洋の城
  その日の夜──
佳奈「ふぅ・・・疲れた」
蔵之介「今日もお勤め、ご苦労様でした」
蔵之介「お香をいただいたので、 焚(た)いてみましょうか」
佳奈「気が利く」
  お香のけむりが部屋のなかに広がり、
  ほのかに甘い香りがした
蔵之介「いい香りですね~」
佳奈「感想は、わたしが言うものだと思うけど?」
蔵之介「そうですね、いただいた私が感想を 言うのは、おかしかったです;」
佳奈「・・・でも、確かにいい香りがするわ。 ありがとう蔵之介」
蔵之介「気に入っていただけてよかったです」
蔵之介「それでは失礼致します。 ゆっくりおやすみください、お嬢様」
佳奈「ええ。おやすみなさい」
  蔵之介は佳奈の部屋を出て、自分の寝室部屋に戻り、お香の香りがまだ鼻に残っている状態で、今日の任務を終えたのだった──

〇西洋の城
  翌朝
「ふぁ~~よく寝た」
「早く着替えて、お嬢様を起こしに行かないと」
「・・・」
「・・・?」
「・・・・・・あれ?」
「なんだこれ?なんでクローゼットの中が、佳奈お嬢様の服ばかりなんだ! ?」
「僕のものがひとつも・・・って、よく見たらこの部屋のもの全部、僕の物じゃない!」
「蔵之介!これはどういうことだ!」
  蔵之介は、部屋のドアを開けると、
  廊下に居たのは──
  なんと自分自身だったのだ
「ぼっぼぼぼくぅ? ? ? ? ? え、でも僕はいま自分に・・・」
蔵之介「!!」
蔵之介「蔵之介、貴方が"わたし"になってる」
蔵之介「そしてわたしは、"貴方"になってる」
蔵之介「これは一体どういうことか説明してくれ!」
佳奈「えっ、えええっ? ? ? ? ?」

次のエピソード:episode.2

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