誘拐したほんとうの目的(脚本)
〇地下室(血の跡あり)
リン「──さて皆さん」
リン「パーティへようこそ」
リン「ぱちぱちぱちー」
リン「あれあれー」
リン「拍手がきこえないぞー?」
リン「じゃあ、もう一回。皆さ──」
タクト「おいリン、なんだよこの首の縄!」
薫子「誘拐よこれ?」
るるみ「はは、ドッキリやんな?カメラどこ」
タクト「お、おい、やめろよ!?」
リンが踏み台にしている箱を揺らすと
タクトに巻きついている縄が
タクト「う・・・ぐっ」
強く強く首の肉にくいこんだ
タクト「や、やめっ」
リン「・・・勝手に喋らないでくれる?」
タクト「分かった、分かったからやめてくれえ!」
「・・・・・・!」
リン「・・・・・・」
リン「今日皆さんに集まってもらったのは──」
リン「理由があります」
リン「それは────」
リン「私に大金が入ったからです!」
タクト「は?」
〇屋敷の門
リン「施設育ちの私ですが」
リン「なんと会ったことのないおじさんが いたそうで」
リン「遺産の受け取り人を私に指名したそうです」
リン「いい人ですね」
〇地下室(血の跡あり)
タクト「大金・・・」
タクト「それで金使って誘拐して監禁して」
タクト「俺に復讐しようってわけか!」
リン「・・・・・・復讐」
リン「どうしてそう思うの?」
タクト「そりゃこのメンツ見りゃ──」
リン「浮気してたって認めるんだ?」
須藤 凛「私の友達と」
須藤 凛「会社の先輩」
リン「手当たり次第、手をだしてたってこと」
タクト「いや、それは、迫られたから仕方なく──」
タクト「とは言い切れないけども・・・」
リン「・・・・・・」
マチ「須藤さん!」
マチ「ごめんなさい 私、あなたの彼氏だなんて知らなくて!」
リン「・・・・・・」
リン「安心してください」
リン「私は誰も全然憎んでいません」
タクト「いや、説得力ゼロか」
唯川(憎む・・・?)
唯川「あ、あの、須藤さん、俺は?」
リン「?」
唯川「いやいや、会社でもさ 俺たちほとんど絡んだことないよね?」
唯川「なんでここに連れてこられたの?」
リン「唯川さん」
リン「本当に分からないんですか?」
唯川「へ?」
唯川「!?!?!?」
リン「と、いうわけで」
リン「皆さんを引き留める気はありません」
リン「縄も頑張れば自分で解けるでしょ」
タクト「あ?」
リン「どうぞ。勝手に出ていってください」
タクト「なんなんだよ 本当にただのドッキリか?」
薫子「人騒がせな・・・」
リン「・・・・・・」
リン「私、裏で見てるから」
リン「あなたたちが、外に出られるかどうか」
須藤 凛「頑張ってね──」
彼女が部屋から出ていったとたんに
三人は口汚く罵りだした
唯川は縄を解きながら
その様子を横目で伺っていた
あまり性質のいい連中でないのは確かなようだ
やがて全員が縄を外し終わり
扉についた窓から外を覗いたその時
悲鳴があがった
〇雲の上
タクト「!?」
タクト「空!?」
るるみ「たっか、地上階じゃなかったんかい!?」
るるみ「何が『外に出ていい』や ふざけとんなあ」
薫子「・・・どうして扉があるのかしら?」
薫子「何も知らずに出たら落ちてたわよ・・・」
薫子「まるで罠みたい」
薫子「いや・・・・・・」
薫子「あ、リンが出てった方の扉から出れば!」
薫子「えっ・・・!?」
タクト「どうした?」
薫子「この内扉、鍵がかかってるんだけど!?」
るるみ「は?」
薫子「・・・空の扉の方から、出ろってこと?」
薫子「いやああっ ごめんなさい許して、リン!」
るるみ「あ、あんたのせいや」
タクト「え、ええ?」
るるみ「あーっさり、浮気認めよって」
るるみ「リンならどうとでも誤魔化せたやろ」
るるみ「ちったあ頭使えや!」
タクト「いやいや、お前のせいじゃねえの?」
タクト「ガキん時からリンのこと、 根暗女っていじめてたじゃねえか!」
るるみ「うちのせいってか!?」
タクト「どう考えてもな」
タクト「俺はお前の巻き添えくらったんだ!」
唯川「・・・・・・」
唯川(泣いてる!?)
唯川「百瀬さん、大丈夫?」
マチ「唯川さん、私のせいで、ごめんなさい」
マチ「軽率だった」
マチ「仕事でミスした日に」
マチ「会社帰りに声をかけられて、つい」
マチ「須藤さんを裏切るようなことを」
〇オフィスのフロア
須藤さんは、
会社でも仕事の覚えが早くて
リン「え?」
リン「覚えが早い?私が?」
リン「褒められたの、私、初めてです」
マチ「まだ入ったばかりじゃない これからいっぱい褒められるよ」
リン「・・・そうじゃなくて」
リン「生まれてから『初めて』です」
マチ「え?」
リン「私、先生とか上級生とか、 上の人に嫌わられるみたいなので」
リン「施設でも」
リン「『暗い』『何考えてるか分かんない』は 褒め言葉じゃないですよね?」
〇地下室(血の跡あり)
マチ「せっかく『先輩』って、慕ってくれてたのに」
マチ「彼女のあんな冷たい目、初めて見た」
唯川「・・・・・・」
唯川(須藤さん・・・)
俺たちを一体どうする気なんだ?──
〇秘密基地のモニタールーム
最上階 モニタールーム
リン「も」
リン「『百瀬さん、大丈夫?』」
リン「・・・・・・」
リン「もーっ」
リン「良かったね、先輩!」
リン「唯川さん、めっちゃ心配してくれてたよ!」
リン「本当に好きな人と一歩前進だね!」
錫仮面「・・・」
錫仮面「あの、どういうことです?」
リン「ふふふ」
リン「先輩はね ずっと唯川さんに片想いしてたの!」
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パニックx恋愛の斬新な設定に惹かれてしまいました😆
デスゲーム系はあまり得意ではないですが、目的がわかって安堵しました✌️結末が気になってしまいます💦
前半の緊張感や謎めいた空気感からの後半の落差、してやられた感でいっぱいですw こんな状況からどのようにストーリーが展開するのか楽しみで仕方ないです。それと、管理人のタンドリーさんのネーミングにじわじわきます
そのためだけにここまで…(ゴクリ)
復讐心はないとの事ですが、結果的に復讐になる(勝手に自滅する)幻が見えました笑
はたして2人の恋は目論見通り成就するのか!?