真夏の人間日記「僕達は悪魔で機械な青春が死体!」

不安狗

07/ゾンビ(脚本)

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〇コンビニのレジ
コロン「またお会いできて光栄です。私はコロン。あなたの力を、借りに来ました」
  「嘘だろ・・・・・・」
コロン「いえ、これは現実です」
  昨日の強盗犯は、床に転がっている今日の強盗犯の方を向いた。
  近づきしゃがむと、今日の強盗犯の覆面を乱暴に脱がす。
  すると右目に眼帯を付けた、また見覚えのある顔があらわになった。
  恐る恐る近づいてきた久野も、気が付いたようだ。
久野フミカ「やっぱり、ミウじゃん・・・・・・」
  「何で・・・・・・」
  星木ミウ。生徒会副会長にして宗教団体の一人娘が、何でコンビニ強盗なんかに手を出したのだろうか。
  それに、このコンビニで僕や久野がバイトをしていることくらい、ちょっと調べればわかりそうなものだ。
  まさか、あえて僕達のいるコンビニを狙った、とか?
コロン「ひとまず先輩方は、彼女をバックヤードに運んでください」
コロン「私は監視カメラをハッキングして証拠を消します」
  そう言うと、コロンは勝手に裏の事務室に入っていってしまった。
  「え・・・・・・僕達あの人の先輩なの?」
久野フミカ「・・・・・・らしいよ」
  そうは言っても、他の人に見つかって騒がれるとまずい。
  ひとまず客が来る前に裏に運ぼうと腕を掴んだ時、僕はその違和感に気づいた。
  「・・・・・・身体が、冷た過ぎない?」
久野フミカ「・・・・・・うん」
久野フミカ「何か・・・・・・死体みたい」
  久野が直球で述べた。
  「・・・・・・まさか、死んでないよね」
久野フミカ「脈は・・・・・・ある気がするけど」
  その時、ミウさんが目を覚ました。
星木ミウ「あっ・・・・・・」
  ミウさんは慌てて腕を振りほどき、立ち上がって少し後退りしてから、よろめきながらそのまま逃げて行こうとする。
  「ミウさん待って!」
  しかし、今度は開かなかった自動ドアにぶつかってまた気を失った。
  自動ドアの電源が落とされていたようだ。恐らく、コロンが裏で操作したのだろう。
コロン「いえ、そうではありません」
コロン「・・・・・・いえ、そうですね」
コロン「もしそれ以外に可能性があるとしたら、あなたは何だと思いますか?」
  いつの間にか、コロンが事務室から戻ってきていた。
  「コロン、さん? もしかして今、僕の心読みました?」
コロン「はい、その通りです」
コロン「・・・・・・それで例えば、その自動ドアに木の板が打ち付けてあるとか、どうです?」
  その途端、コンビニの自動ドアを封鎖するように巨大な木の板が浮かび上がってきた。
  まるで最初から、そこにあったかのように。
コロン「はい。本当は最初からそこにあったんです」
コロン「先輩方が、気づいていなかっただけですよ」
  「・・・・・・久野にも、この木の板見えてるのか」
久野フミカ「見えてる。見えてるけど・・・・・・」
  隣を見ると、久野の身体が小刻みに震えだしていた。
  「ど、どうかした・・・・・・?」
久野フミカ「・・・・・・何か、寒く、ない?」
  「え? 僕は別に・・・・・・」

〇小さいコンビニ(軽トラあり)
  ふとコンビニの外を見ると、駐車場に一台白い軽トラが入ってきていた。
  コロンも気づいたようだが、気にせずまたニッコリと微笑む。

〇コンビニのレジ
コロン「どうかしましたか、先輩」
  「まずい。コロンさん、どんなマジック使ったのか知らないですけど、とにかく今はこの板、外してくれませんか?」
  「お客様が来たので、ちゃんと接客しないとお客様に怒られるんですよ」
コロン「そうですね」
コロン「それではあの客を接客してはいけないのだとしたら、店に入れてはいけないのだとしたら、なぜだと思いますか?」
  どうやら、この謎の問答には付き合うしかなさそうだ。
  「・・・・・・そうだな。じゃあ、あの人も実はコンビニ強盗、とか?」
  コロンは、再びニッコリと微笑んだ。
コロン「いえ。実はそれ以上です」
コロン「実はあれは、いわゆるゾンビなんです」

〇コンビニのレジ
  コロンのその一言で、外の景色が一変した。
  深夜の星空が一面、真っ赤な雲で覆われている。
  それに照らされた軽トラからは、いつの間にか火の手が上がっている。
  そして自動ドアの前に立ち尽くすその客には、頭部が無かった。
  「何だ・・・・・・? いや、この、光景」
  そして僕は、この景色に見覚えがあった。
コロン「先輩、思い出しましたか?」
  頭部の無い客が、外から自動ドアを両腕で叩き始める。
  その音につられて、周囲から人間の死体が、ぞろぞろと集まってくる。
  「僕は・・・・・・」
コロン「先輩」
  コロンが、僕の隣の方を見て言った。
コロン「その人、大丈夫ですか?」

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