第五話 最悪なストーカー(脚本)
〇荒れた小屋
ソディト「──で? クロノアからの誘いは、断った・・・と?」
オルガ「うん。 ハッキリ言ってやったわ!」
オルガ「『お断りします』って!」
ソディト「・・・そうか。 ま、断られてクロノアが逆ギレしなくて良かったな?」
オルガ「・・・うーん。 得体の知れない人だけど・・・ 逆ギレはしなさそうだったかな?」
オルガ「ま、そうなる前に逃げたんだけどね!」
ソディト「・・・無事で何よりだよ・・・」
オルガ「──で、エラトの魂跡は結局外せなかったんだけど・・・」
オルガ「──そこで! ソディト!!お願い!!」
オルガ「エラトの魂跡について知っていたら何でもいいの! コレを外す方法があったら教えてください!」
ソディト「・・・うーん・・・そうだな・・・」
ソディト「見返りは?」
オルガ「このエラトの魂跡! 外れたらあげるから!」
オルガ「情報だけでもいいの! 勝手な事言ってるって分かっているけど・・・ 協力して下さい〜!!」
ソディト「・・・乗りかかった舟だしな? 俺もエラトの魂跡が必要だし・・・」
ソディト「しょうがない。 手伝ってやるよ・・・」
オルガ「ありがとうっ!!」
ソディト「──とは言え、俺もエラトの魂跡について詳しくはないしな・・・ そうだな──」
ソディト「ソルの国の『大賢者ディアール』に会いに行くか?」
オルガ「ディアールって!あの!?」
ソディト「ああ。偏屈だが、その知識量は半端じゃない。 ──彼なら、エラトの魂跡の外し方を知っているかもな?」
オルガ「行く!行きます!! 会いに行きたいです!!」
ソディト「じゃあ・・・準備して──」
クロノア「──面白い話をしているね? 僕も混ぜてよ?」
〇坑道
オルガ(・・・うーん・・・)
オルガ(何が・・・どうして・・・ こうなった?)
ソディト「・・・へぇ・・・なるほど!」
クロノア「・・・で、オルガのすごい所はだな!」
オルガ「・・・」
オルガ(・・・何か普通に和やかに話してるけど・・・)
オルガ「ね、ねぇ?クロノア? ほ、本当にソルの国までついて来る気?」
クロノア「ああ。君がフォルテュナの国から離れるなら・・・僕も付いて行くさ」
クロノア「それに・・・ソルの国には大泥棒ゾアコトルもいるんだろう?」
クロノア「僕の恋敵に・・・是非とも一度会ってみたくてね・・・!」
オルガ(ね・・・根に持ってる・・・!)
ソディト「・・・でも、城から離れて大丈夫なのか?」
クロノア「その点は、抜かりない! 僕のレプリカを置いて来たから。 上手くやってるさ」
(・・・本当について来る気なんだな・・・)
クロノア「それにしても・・・ この坑道がソルの国に通じているとはね・・・」
ソディト「ああ。大賢者ディアールの住む場所に近く出られるのがこの坑道なんだ」
オルガ「今のところ、魔物にも鉢合わせしなさそうだし──」
坑道の妖魔「ケヘヘッ♪ ニンゲーン、ミッケ!」
オルガ「言った側から!!」
ソディト「来るぞ!!!!」
坑道の妖魔「マズハ、オマエカラ〜♪」
オルガ「クロノア! 避けてっ!!!!!!」
クロノア「・・・避けるまでもないよ?」
クロノアは、うすら笑みを浮かべながら攻撃に対峙する。
そして、手をかざすと・・・地面に木の根が這い妖魔に反撃した。
坑道の妖魔「グハァッ!!!!!!!!」
坑道の妖魔「・・・ムム・・・ ヨクモヤッテクレタナ!!」
坑道の妖魔「ターゲット、ヘンコウ!!」
妖魔の攻撃の矛先がオルガに向かった瞬間!!
クロノア「・・・僕の花嫁に何をするつもりだい?」
クロノア「悪い子にはお仕置きだ!!」
坑道の妖魔「グハァッ!!!!!!」
オルガ「あ、ありがとう! クロノア・・・!」
クロノア「妖魔ごときが・・・君に触れるなんて百年、早いよ」
ソディト「・・・俺の出る幕、なかったな?」
クロノア「ね、ね!!オルガ!! 僕、カッコ良かったかい? 少しは、惚れてくれたかい!?」
ソディト(・・・そういう事を口に出さなければ・・・)
オルガ(・・・ちょっとは、見直したかも?って思ったけど・・・ それを口にするのは癪だな・・・)
〇森の中の小屋
その後、クロノアの活躍も相まってオルガ達は無事、坑道を抜け・・・。
森の中の一軒家にたどり着いた。
オルガ「ここが 大賢者ディアールの住む家?」
ソディト「ああ。 留守でない事を祈るばかりだな」
オルガ「すみませーん!! ディアールさん! いらっしゃいますかー?」
大賢者ディアール「何じゃ?何じゃ?・・・騒々しいのぅ・・・!!」
ソディト「・・・良かった! いらしたんですね・・・!」
大賢者ディアール「おぉ・・・!!ソディトではないかい! 久しいのぅ!」
ソディト「お久しぶりです」
大賢者ディアール「そこは! 「お久しぶりぶりです」と言わんかいっ!」
ソディト「あはは! 相変わらずですね。 お久しぶりぶりです!」
オルガ(・・・ぶりぶり? ソディト、ディアールさんと仲がいいみたいね・・・)
大賢者ディアール「・・・して、今日は何用じゃ?」
オルガ「あのっ!はじめまして! フォルテュナの国から来ました、オルガと申します!!」
オルガ「今日は、大賢者ディアールさんに・・・エラトの魂跡について教えて頂きたく、やって来ました!」
オルガ「あのっ! 正攻法ではない、エラトの魂跡の外し方を知っていませんでしょうか?」
大賢者ディアール「・・・」
大賢者ディアール「・・・」
大賢者ディアール「知らんっ!!」
オルガ(・・・そ、そんな・・・!!)
ソディト「・・・オルガ。落ち込むな。 コレは、何かしら方法を知ってるぞ」
オルガ「え?」
ソディト「クロノア・・・。 グラディルク城には、隠された極上の酒があると聞いた事があるが・・・」
クロノア「ああ。あるね。 【凍蜂のキス】【トワイライトシルキス】 【蟷螂の吐息】【タランチュラルーレット】・・・【桂花秘酒】も─」
大賢者ディアール「むむ!【桂花秘酒】も持っとるのかっ!?」
クロノア「・・・!! なるほどね・・・」
ソディト「クロノア。 オルガを助けてやれよ?」
オルガ(クロノアに頼るのは・・・何か違う気がするけど・・・)
クロノア「・・・いいよ。 ただし、酒1本につき・・・ オルガからのキス1つで手を打とう!」
オルガ「えっ!?」
大賢者ディアール「・・・【桂花秘酒】・・・欲しいのぅ・・・」
クロノア「今なら、【タランチュラルーレット】も付けてあげよう!」
大賢者ディアール「乗った!!!!!!!!」
クロノア様、今度はストーカー(しかもオープン)にチェンジですねw 愛というか執着というか。。。
そして、ディアール様という厄介そうなキャラまで登場で、楽しすぎます!