エピソード15 被告人を無期異世界転生に処す(脚本)
〇荒廃した国会議事堂の大講堂
オヤジ「不老不死の秘薬を!!」
羽原 貞治「そ、そんな!!」
オヤジ「2人のおかげです ありがとうございました」
安藤 竜の姿「最初から・・・」
安藤 竜の姿「それが目的だったのか!?」
オヤジ「・・・ええ」
幹部 ラミィ「ジェドは!!ジェドはどうしたの!?」
オヤジ「これはこれはまだ幹部がいたんですね もう1人の姿は見えませんが」
オヤジ「私がここにいる以上、答えは一つですよね」
幹部 ラミィ「くっ・・・」
オヤジ「ついでに不老不死になった記念に」
オヤジ「ナツレの皆さんはあらかた屠ってきました」
オヤジ「申し訳ない」
幹部 ラミィ「そ、そんな!!!!」
幹部 ラミィ「うわぁぁぁ」
オヤジ「無駄ですよ」
羽原 豊「柏木検事総長!! アンタは何故こんなことを!?」
オヤジ「あなたは羽原豊・・・なぜここに・・・」
オヤジ「そうか・・・もう1人の幹部に化けていたんですね」
オヤジ「どうりで探しても見つからなかったわけだ」
オヤジ「念のため葬ろうと思ったのに」
熊井総理大臣「柏木!!貴様!! 一体・・・何が目的なんだ!?」
オヤジ「ふっ、言っても理解出来ないと思うが・・・」
オヤジ「冥土の土産だ」
オヤジ「私は神になりたかったのだよ」
熊井総理大臣「神・・・だと」
〇法廷
私は法の世界に身を置き、ずっと絶望していたのだ
人類の愚かさ・・・
法の表面的な平等に隠された不平等・・・
個としての力の無さを集団で補う衆愚な社会
うんざりしていた
だが・・・あの日・・・
〇上官の部屋
人智を超越した存在・・・
ヒュメリ女王の圧倒的な個の生命体としての力を目の当たりにし・・・
私は彼女を信奉した
人はナツレの民の供物となるために
存在するのだと・・・
〇上官の部屋
なのに熊井・・・お前ときたら何かと理由をつけて無期異世界転生者をなるべく出さないようにする始末・・・
だから、私は羽原豊を無期異世界転生者にすべく動いたのだ
だが、お前の理解も得られず拘束される事になった私は
〇地下室
なんとか拘束を振り切り
自分自身を供物に捧げるべくゲートに飛び込んだ
だがそこで予想外の事があった
〇幻想空間
コトワリという存在から予想外の能力
『漸知漸能』を授かった
〇美しい草原
ナツレに到着した私の頭の中に
3種の秘薬の情報が舞い降りてきた
そのうちの一つ、『不老不死の秘薬』と私の能力が合わされば
私自身が神に・・・
全知全能の神になれる!!
そう思い・・・6年・・・
〇荒廃した国会議事堂の大講堂
オヤジ「その悲願が!!」
オヤジ「今ここに成ったのです!!」
熊井総理大臣「ふざけやがって!!」
羽原 豊「これが運命を変えるに至った・・・想い・・・」
オヤジ「さて、皆さん」
オヤジ「ここからは殺戮の時間です」
幹部 ラミィ「豊!!」
幹部 ラミィ「『メタモルフォーゼ』」
羽原 豊「これは!?女王の姿!?」
幹部 ラミィ「あいつ許せない!! ここで殺す!!」
羽原 豊「ああ!!」
オヤジ「『風化切月』」
幹部 ラミィ「くらえ!!」
幹部 ラミィ「『不破雷道』」
オヤジ「ガハッ」
幹部 ラミィ「今よ!!」
羽原 豊「『バーンザダスト』」
オヤジ「うがぁぁぁぁ」
〇荒廃した国会議事堂の大講堂
幹部 ラミィ「不老不死の秘薬も所詮は耐久力と生命力を極限に高めるだけ!!」
幹部 ラミィ「燃やし尽くせば死ぬわ!!」
オヤジ「そのようですね」
オヤジ「普通であれば」
オヤジ「『原点快気』」
オヤジ「私には」
オヤジ「漸能で得た回復の力があります」
幹部 ラミィ「そんな・・・」
羽原 豊「くっ・・・」
オヤジ「とはいえちょっと暑いですねぇ」
オヤジ「藍炎!!」
〇荒廃した国会議事堂の大講堂
オヤジ「黄炎!!」
幹部 ラミィ「キャアアアア」
羽原 豊「ラミィ!!」
羽原 豊「はっ!?」
羽原 貞治「俺の・・・藍炎と黄炎まで・・・!?」
安藤 竜の姿「つ・・・強すぎる」
安藤 竜の姿「まさに・・・」
安藤 竜の姿「女王を超えた・・・神!!」
オヤジ「これでナツレの民は全滅・・・」
オヤジ「良かったですね皆さん脅威が去って」
オヤジ「これから日本は・・・いや、世界は・・・」
オヤジ「私が未来永劫統治しますのでご安心を」
オヤジ「全知全能の神として・・・」
羽原 貞治「そんなの・・・認められるかよ!!」
オヤジ「ほう、私の力を目にしてまだ抗うおつもりですか?」
オヤジ「あなたも諦めが悪いですね」
オヤジ「兄に会うためと異世界に飛び込んだだけあります」
オヤジ「さすがですね」
羽原 貞治「馬鹿にしやがって!!」
羽原 豊「・・・うっ」
羽原 豊「こ・・・これは・・・」
羽原 貞治「兄貴!!新しい未来が見えたのか!?」
羽原 豊「・・・ああ」
羽原 豊「あいつを倒す方法がある」
羽原 豊「それには貞治・・・お前の力が必要だ」
羽原 貞治「俺の力!?」
羽原 豊「簡潔に言う」
羽原 豊「藍炎と黄炎を同時に最大出力で発動して」
羽原 豊「奴をゲートに押し込め」
羽原 貞治「そんな事やった事ないよ!! それにゲートに押し込んでも城にあるゲートから戻ってこられるんじゃ」
羽原 豊「大丈夫だ!!俺を信じてくれ!!」
羽原 貞治「分かった・・・ 今度こそ最後まで」
羽原 貞治「兄貴を信じる!!」
オヤジ「内緒話は終わりましたか?」
オヤジ「無駄な努力ですよ」
安藤 竜の姿「このままやられてたまるかよ!!」
羽原 貞治「安藤!!俺と兄貴に作戦がある!!」
羽原 貞治「なんとか奴に隙を作ってくれ!!」
安藤 竜の姿「・・・もちろんだ」
安藤 竜の姿「ゴブラダとの戦いを思い出すな」
安藤 竜の姿「俺に任せろ」
安藤 竜の姿「牙竜咆哮!!」
オヤジ「『守地肉林』」
オヤジ「さすがの威力ですね」
安藤 竜の姿「くっ・・・ならこれならどうだ」
安藤 竜の姿「『牙・・・」
オヤジ「『肢苦発苦』」
安藤 竜の姿「がはっ・・・からだが!?」
オヤジ「そろそろ終わりにしましょうかね」
オヤジ「『纏火武・・・」
オヤジ「うおっ!!」
安藤 竜の姿「クソ親父!?」
熊井総理大臣「竜二!!俺が援護する!!」
熊井総理大臣「うぉぉぉ!!」
オヤジ「アンチマテリアルライフルか・・・」
熊井総理大臣「今だ!!」
安藤 竜の姿(からだが・・・動く!!)
安藤 竜の姿「くらえ!!牙竜点征!!」
オヤジ「ぬぅぅぅぅぅ」
安藤 竜の姿「頼んだぜ貞治」
羽原 貞治「・・・」
〇黒背景
思えば色んな出会いがあった
俺を殺そうとする者達
利用しようとしていた者
でも
それだけじゃない
安藤との出会いや
兄貴との再会も果たせた
それもこれも全て”縁”なんだろう・・・
まさに『合縁奇縁』・・・
羽原 貞治「今・・・」
羽原 貞治「俺の全てをかけて撃つ」
〇荒廃した国会議事堂の大講堂
『藍炎黄炎』!!
オヤジ「うおおおおお」
オヤジ「なんだこれは!?」
羽原 貞治「このままゲートに押し込む!!」
〇地下室
オヤジ「うぐぐぐぐがが」
羽原 貞治「やった!!」
安藤 竜の姿「すげぇぞ羽原!!」
安藤 竜二「でも、このままだとまた城のゲートから戻ってくるぞ!!」
羽原 貞治「それについては兄貴に作戦があるんだよな!?」
羽原 貞治「どんな未来が見えたんだ」
羽原 豊「この二つのゲートを閉じる方法だ」
安藤 竜二「そ、それが出来たら!!」
羽原 貞治「オヤジをナツレに閉じ込める事ができる!!」
羽原 豊「・・・」
羽原 貞治「早速やろう!!どうやるんだ!?」
羽原 豊「ゲートを閉じる方法・・・」
羽原 豊「血の繋がった者が・・・」
羽原 豊「両方の世界で能力を発動する事・・・だ」
羽原 貞治「それなら俺と兄貴でやれば!!・・・」
羽原 貞治「あれ・・・」
安藤 竜二「ゲートが閉じるってことは・・・」
羽原 豊「1人は・・・」
羽原 豊「ナツレに閉じ込められる事になる・・・」
羽原 貞治「そんな!!」
羽原 豊「安心しろ貞治」
羽原 豊「その役目は俺が引き受けるよ」
羽原 貞治「だ、だめだよ兄貴!!」
羽原 貞治「せっかく会えたのに」
羽原 貞治「長い異世界生活から帰ってこれたのに・・・」
羽原 豊「・・・」
羽原 貞治「俺が・・・俺が犠牲になるよ!!」
羽原 豊「貞治・・・」
その役目私が請け負う!!
羽原 貞治「熊井総理!?」
羽原 貞治「は、話聞いてたのかよ!? 肉親同士じゃないと・・・」
熊井総理大臣「私は安藤竜二の父だ」
羽原 貞治「えっ!?」
安藤 竜二「クソ親父・・・お前・・・」
熊井総理大臣「竜二、俺はお前に父親らしい事は何もしてやれなかったな」
熊井総理大臣「お前が俺を恨むのも無理はない」
熊井総理大臣「美花は・・・自分が夜の仕事をしていたからと・・・私の政治家人生の経歴に傷をつけてはいけないと離婚を申し出たが」
熊井総理大臣「引き止めるべきだったと強く後悔している」
安藤 竜二「・・・」
熊井総理大臣「そして羽原兄弟・・・」
熊井総理大臣「君たちには本当に迷惑をかけた・・・」
熊井総理大臣「私が至らぬせいで・・・ 柏木の本質に気付けなかったせいで・・・」
熊井総理大臣「本当に申し訳ない」
「・・・」
熊井総理大臣「では、行ってくる!!」
羽原 貞治「安藤・・・」
安藤 竜二「・・・あのバカ野郎」
〇美しい草原
オヤジ「いやはや油断しました」
オヤジ「無駄な足掻きを・・・ 面倒ですが、ヒュメリの居城に・・・」
熊井総理大臣「柏木・・・」
オヤジ「熊井!?何故お前が!?」
熊井総理大臣「全てを・・・」
熊井総理大臣「終わらせにきたよ」
オヤジ「どういう事だ!?」
熊井総理大臣「なに、俺はお前を神にしてやりにきただけだ」
熊井総理大臣「このナツレの神にな」
オヤジ「何を企んでいる!?」
オヤジ「『風化切月』」
熊井総理大臣「『引我王包』(いんがおうほう)」
オヤジ「わ、私の攻撃が!?」
熊井総理大臣(今だ・・・竜二・・・)
〇地下室
安藤 竜二(何故か分かる・・・ 今アイツが能力を使っている事が・・・)
安藤 竜二(最後の最後で父親面しやがって)
安藤 竜二「親父ィッ!!」
安藤 竜二「『牙竜転生』」
〇幻想空間
コトワリ「ふむ、それが世界の選択か」
コトワリ「それも”理”だ」
〇美しい草原
オヤジ「な、何だ!?どういうことだ!? 急にゲートが!?」
熊井総理大臣「ゲートを閉じたんだよ」
オヤジ「ば、ばかな!?そんな事が!?」
熊井総理大臣「柏木・・・」
熊井総理大臣「俺もお前も年貢の納め時だ」
熊井総理大臣「柏木・・・」
熊井総理大臣「お前を無期異世界転生に処す」
熊井総理大臣「俺も付き合うぞ」
熊井総理大臣「生憎、不死ではないがな」
オヤジ「く・・・」
オヤジ「くそぉぉぉぉぉ」
オヤジ「があぁぁぁあぁぁあぁあ」
〇法廷
1年後──
木原裁判長「判決を言い渡します」
木原裁判長「主文、被告人を・・・」
木原裁判長「懲役3年の刑に処す」
色々悪事を働いていたらしいぞ
熊井総理が隠蔽に力を貸してたって本当なのかな
それで何でも言う事を聞かせてたってワケか
無期異世界転生も政府の陰謀だったってバレたしな
とんでもない悪党どもだ
野原検事総長「わ、私は無実だ!!」
野原検事総長(くそ、熊井総理が行方不明になんかならなければ、表面化する事もなかったのに)
〇アパートのダイニング
「兄貴!!」
羽原 貞治「見てくれ!!」
羽原 豊「おう!!キマってるぞ貞治!!」
羽原 豊「お前も春から高校生か」
羽原 貞治「まあ、夜間だけどね」
羽原 貞治「兄貴は仕事どう?」
羽原 豊「ああ、楽しくやってるよ」
羽原 豊「幹部のフリをしてることに比べたらどうってことはないな」
羽原 貞治「ははは・・・」
羽原 貞治「あの日から一年経つね」
羽原 豊「そうだな・・・」
羽原 豊「そろそろ墓参りの時間だ」
〇墓石
羽原 貞治「ん!?アレは・・・!?」
羽原 貞治「安藤!!」
安藤 竜二「おう!!」
安藤 竜二「羽原兄弟!!来てくれたのか!!」
羽原 貞治「・・・当然だよ」
羽原 豊「・・・」
安藤 竜二「豊さん気に病まないでくれ」
安藤 竜二「当然だが、俺は親父がアンタの身代わりになったなんて思ってもないし」
安藤 竜二「親父は・・・ある意味因果応報だったのさ」
羽原 豊「世間が無期異世界転生を・・・ 熊井総理を・・・ どれだけ悪く言おうと」
羽原 豊「俺たち兄弟はあの人の勇姿を忘れないよ」
安藤 竜二「・・・ありがとう」
安藤 竜二「俺・・・将来政治家になろうと思って」
安藤 竜二「今、後藤さんに色々学んでるんだ」
羽原 貞治「安藤ならなれるさ」
羽原 貞治「父親のような立派な政治家に」
安藤 竜二「頑張るよ」
羽原 貞治「俺も春から高校生だからしっかり勉強しなきゃな」
羽原 豊「夢が出来たんだもんな」
安藤 竜二「なんだよ初耳だな!!聞かせろよ」
羽原 貞治「もう2度とあんな悲劇が起きないように」
羽原 貞治「ジャーナリストになりたいんだ」
安藤 竜二「ジャーナリストか・・・」
安藤 竜二「いいと思うぜ」
安藤 竜二「俺も悪い記事書かれないように気をつけないとな」
羽原 貞治「ああ、容赦しないからな」
羽原 豊(貞治よかったな、一生涯の友人が出来て・・・)
羽原 豊(まさに合縁奇縁・・・だな)
羽原 貞治「また今度飲みに行こうぜ」
安藤 竜二「お前未成年だろ!?」
安藤 竜二「無期異世界転生に処すぞ」
「ひっ!!」
安藤 竜二「・・・スマン」
被告人を無期異世界転生に処す
完
やっと読めました…!
完結お疲れ様でした!
最終回でタイトル再回収はアツい!
能力名のもじりがどれも秀逸でした。「原点快気」とか「守地肉林」とか……4文字だけで何となく能力の想像ができて楽しかったです☺︎
完結おめでとうございます!
何話か一気読みしましたが、怒涛の展開でした! 読者を驚かせるどんでん返しのテクニックがすごすぎです! ずっと読んできて、何度驚いたことか……!
タイトル回収、天才だと思いました!
未読話を一気に読ませていただきました!
まさかのオヤジー!が、そういう事だったとは
。゚(゚´Д`゚)゚。
でも、無事スッキリする形で、ホッとしました!
ああ、楽しかったー!