エピソード3(脚本)
〇センター街
陽菜乃「酷い状況・・・・・・!」
紅蓮「一体どんだけ襲撃してきたんだ!?」
陽菜乃「本当に、斬っても斬っても、沸いてくる!」
「うわぁあああん!」
陽菜乃「子供の・・・・・・」
紅蓮「ヒナ!!」
陽菜乃「え・・・・・・っ!!」
足に刺激。
ガクリとバランスを崩し、地下鉄へ入口へと落ちてしまった。
陽菜乃「・・・うっ・・・・・・」
足から流れる血に、落ちた際に階段を転げて頭を打ち、体力ももう少ない。
陽菜乃「アイツ・・・・・・!」
少し離れた所に、銃のような物を構えているフードの男が居た。
陽菜乃「能力解放“氷凜”!!」
放たれた氷が一気にフードの男を襲った。
???「成る程、な・・・・・・殺れ」
男が呟く様に言うと、彼の後ろから複数の人喰いが現れる。
陽菜乃「くっ・・・・・・」
紅蓮「・・・・・・・・・・・・」
陽菜乃「紅蓮!?何を・・・・・・」
郁斗「陽菜乃!!紅蓮!!」
紅蓮が武装解除すると同時に、郁斗が入口の上に居た。
迫る人喰いの群れと陽菜乃の姿に郁斗は動揺しつつ、銃である黄花を撃ちながら腕を伸ばす。
郁斗「早く離れないと・・・分が悪過ぎる・・・!紅蓮、陽菜乃と一緒に早く・・・・・・」
紅蓮「・・・・・・ヒナ、弟はきっと名剣になれる武器だ。だから、ヒナの事を支えられる筈さ」
陽菜乃「え・・・・・・?」
紅蓮「愛してる。だから・・・・・・生きろ」
そう笑顔で告げると、紅蓮は陽菜乃を郁斗の方に投げ飛ばした。
郁斗「っと・・・・・・!?」
陽菜乃「紅蓮!!紅蓮!!」
紅蓮「人喰いにヒナは渡せないからな」
紅蓮「・・・・・・氷凜」
陽菜乃「紅・・・・・・蓮・・・・・・!!」
紅蓮が放った氷が、天井を破壊。
それにより、道は塞がれた。
塞がれる直前・・・・・・笑顔で陽菜乃を見詰める紅蓮を、人喰いが覆っていった。
陽菜乃「いや・・・・・・そんなの・・・・・・」
郁斗「・・・・・・くそっ!」
陽菜乃「紅蓮ーーーー!!」
〇可愛らしい部屋
襲撃から数週間。
陽菜乃は部屋に籠っていた。
あの後、助けられる人だけを助け、あの街から撤退。
街の入口を封鎖し、立入禁止とした。
一般人、狩人、武器、多くの犠牲者が出た。
一週間程の期間を使い、カサドルの中でも五人しか居ないプラチナを筆頭に残った全ての狩人を投入。
奪還出来たものの、未だに多くの人喰いが潜伏されてるとされ、許可制の禁止区域となった。
尚、犠牲となった武器達の遺体は無い。
元々武器は死ぬと「折れた」と表現され、その場には破壊された武器状態となる。
撤退時の混乱、奪還時の能力の無制限使用で、破片すら瓦礫の下に紛失した。
陽菜乃の元には、紅蓮の一欠片すら戻らなかった。
コンコンコン
黄花「陽菜乃ちゃん、入るわよ」
〇可愛らしい部屋
陽菜乃「黄・・・・・・花・・・・・・」
黄花「ごめんなさいね・・・・・・その、貴女に会いたい人が・・・・・・」
陽菜乃「わた、しに?・・・・・・あの、ごめんなさ・・・」
青蘭「入るよ」
許可なく入って来たのは、青蘭だった。
黄花「こら、中に入るのは許可が出てからって・・・・・・」
青蘭「ごめんね。ただ、俺の用はこれだけだから」
青蘭は座り込んで居る陽菜乃の前に箱を置いて、直ぐに出て行った。
黄花「あ、ちょっと・・・・・・ゆっくり休んでね、陽菜乃ちゃん」
青蘭を追い、黄花も出て行く。
陽菜乃「・・・・・・・・・・・・」
暫く戸惑った陽菜乃は、その箱を開けた。
中には手紙とリボン。
『ヒナへ
赤い髪に合いそうな青いリボンを見付けたから、俺達の出会った日の記念に贈らせて貰うよ』
『これからも一緒にいさせてね
グレン』
陽菜乃「直接・・・・・・渡してよ・・・・・・」
〇おしゃれな受付
数日後。
カツカツ・・・
「!」
黄花「陽菜乃、ちゃん?」
郁斗「え、髪・・・・・・っていうか、もう大丈夫なのか?」
陽菜乃「ええ、迷惑を掛けたわ」
「・・・・・・・・・・・・」
陽菜乃「ちょっと、出掛けて来るわね」
郁斗「あ、ああ・・・・・・」
郁斗「大丈夫・・・・・・なのか、あれ?」
黄花「・・・・・・見守るしかないわ」
〇児童養護施設
陽菜乃「・・・・・・・・・・・・」
「おや、君は・・・・・・」
陽菜乃「青蘭、という武器は居るかしら」
「ああ、あの子は基本的にここには寝る時にしか帰らないよ。 それも遅い時間だし・・・・・・」
陽菜乃「そう。じゃあ、待たせて貰うわ」
「あ、ああ・・・・・・」
それから、陽菜乃は青蘭を待ち続けた。
青蘭は早朝に出て、深夜に戻るらしい。
門限の関係で時間になれば帰るが、陽菜乃は毎日通った。
〇児童養護施設
陽菜乃「やっと帰ってきた」
青蘭「!えっと・・・・・・ヒナ?」
陽菜乃「毎日毎日、こんな時間まで何してるの」
青蘭「色々・・・・・・だな」
陽菜乃「色々?」
青蘭「兄貴のやり残した事をしていた」
陽菜乃「・・・・・・私への贈り物も?」
青蘭「ああ。記念日まで隠しておきたいからと預かってて、代わりにヒナに渡した」
陽菜乃「そう」
陽菜乃は青蘭へと歩み寄る。
陽菜乃「貴方、パートナーは?」
青蘭「居ない」
陽菜乃「その歳までいないのは珍しいわ。戦いが嫌とかある?」
青蘭「特には。ただ、俺は大型の武器に入るし、扱いが難しいらしいから」
陽菜乃「そう・・・・・・なら、私とパートナーになる気は?」
青蘭「・・・・・・女の体に、大型はキツいんじゃないか?」
陽菜乃「大型なら、その分人喰いを斬り殺せる」
青蘭「・・・・・・・・・・・・」
陽菜乃の怒りと憎しみの表情に、初めて青蘭は表情を変えた。
陽菜乃「私は、紅蓮を折った人喰いも、あの男も許さない。絶対に殲滅させる」
陽菜乃「その為の私の剣になりなさい」
陽菜乃は青蘭に手を差し出す。
青蘭「・・・・・・分かったよ。俺とパートナーになろうか」
そして、青蘭はその手を取った。
〇豪華な社長室
リーダー「もういいのか」
陽菜乃「はい」
リーダー「・・・・・・アレは特殊だ。レベル1で既に能力を得ているが、その分感情どころか自我も薄い」
武器の能力解放は、レベル5以降で補助的なものが使える様になる。
陽菜乃「構いません・・・・・・私は、人喰いを一匹残らず狩らなければなりません」
リーダー「・・・・・・そうか。許可しよう」
〇睡蓮の花園
現在、早朝。
一人、とある場所に来ている青蘭。
青蘭「・・・・・・兄貴は、一体何を・・・・・・」
ピピピ・・・・・・
青蘭「と、もうこんな時間か。戻らないとヒナに怒られる」
アラームが鳴り、青蘭は静かに立ち去ろうとした。
青蘭「?」
が、視線を感じて振り返る。
青蘭「気のせい、か」
呟いて立ち去る青蘭。
???「あれが、例のか・・・・・・さて、どうするか」
〇可愛らしい部屋
ガチャ
青蘭「おーい、ヒナ・・・・・・って、また制服のままで寝てんのか」
寝ている陽菜乃の頬を突っつく青蘭。
青蘭「あ」
陽菜乃「何で居るの?」
青蘭「ごめんね、忘れてた。直ぐに出ていくよ」
陽菜乃「本当に、もう・・・・・・」
陽菜乃「・・・・・・今日もよろしく、紅蓮」
青いリボンを着け直し、陽菜乃は進み出した。