凡人さんと神様弟

雪華火鈴

二つ目の願い 〜お金が……〜(脚本)

凡人さんと神様弟

雪華火鈴

今すぐ読む

凡人さんと神様弟
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇公園のベンチ
  お菓子な・・・間違えた、おかしな出会いから数日後のこと・・・・・

〇ケーキ屋
田中 優奈「ありがとうごさいました〜」
  皆さんこんにちは。お菓子屋を営むユウナです。
  私の日常は相変わらず平凡なものです。
  えぇ、面白みもありません。普通です。
  そんな私の日常にもついに変化が訪れました。
  なんと!お客さんが増えたんです!!
  まぁ・・・えぇ。
  私の力ではなく・・・・・・
???「お姉ちゃ〜ん!」
  こちらの、神様のおかげです。ええ。
  ありがたいですね。ここまでご利益のある神様だとは、思ってもみませんでした。
神代 藍鈴(・・・これ、僕が心の声とか考えている事視えてるよ・・・・・って、言ったらどうなるのかな?)
  まぁ、正確にいうと可愛い弟君がいる。って事でお客さんが増えています。
  ・・・やはり、可愛いは世界を救う。
  ユウナが心の声(なお、あいりことアイリスには全て筒抜け)で、色々なことを考えていると・・・
神代 藍鈴「あ、そうそう。 今日は紹介したい子がいるんだよね」
  突然あいりから告げられる、紹介したい子とやらの存在。
  ・・・・・これが後に、彼女を大いに悩ませる問題児との出会いとなることを、彼女はまだ知らない。
田中 優奈「紹介したい子?」
神代 藍鈴「うん!」
神代 藍鈴「あー・・・でも、気を付けてね」
田中 優奈「き、気を付けるって、何に?」
神代 藍鈴「その、紹介したい子に。 ・・・悪い子じゃないんだけどね? ちょっと、うん。 暴走気味というか・・・」
神代 藍鈴「ま、まぁ、何とかなるよ!」
  暴走気味の子・・・とは一体どんな子なのだろうか?
  ・・・ユウナは後に、こう語る。
  「知らぬが仏って、こういう事なんだなぁ〜。」・・・と。

〇ケーキ屋
神代 藍鈴「入っていいよ〜」
  さて、問題児に「暴走気味だけど悪い子じゃない」とまで言われるとは一体・・・と、戦々恐々としながら待っていると・・・
  入って来たのは
田中 優奈「・・・・・・」
  ・・・なるほど、顔がいいから気を付けろ、ってことか(違う)。
  ユウナは納得しているが、全然違う。
  こいつが危険な理由、それは・・・
シファ「初めまして、お姉様。俺は『アイリスの』部下のルシファーです。まぁ、この姿の時はシファ・・・と呼んでください」
  るしふぁー???
  それってあの?
神代 藍鈴(そうそう。悪魔として有名なあの、ルシファーさんですよ〜)
  ・・・!?こいつ、直接脳内に・・・!!
  い、いかんいかん。私が(ライトな)オタクであると、バレてしまう。可愛い弟に嫌われたくない〜(涙)。
神代 藍鈴(嫌いになんてならないよ!仲間を見捨てるオタクがどこいるのさ!)
  よ、良かった〜。それよりも、弟よ。心の声が聞こえるんだね。しかも、会話まで出来るとは・・・。
神代 藍鈴(ふふん! こんなナリでも、僕は神なんだからね!このくらい余裕だよ!)
  ・・・ところで、弟くんや。
  後ろの人は何故不機嫌になってるの?
  スンッ・・・。って、なったよ?今。
  スンッ・・・。って!
神代 藍鈴「・・・シファさん?どったの?」
シファ「何がですか?藍鈴?」
  うわ、眩しっ!
  ・・・・・弟くんや、弟くんや。
神代 藍鈴(ん〜?なぁに?)
  シファさん、弟くんのこと大好きだよね?
  これ。
神代 藍鈴「・・・ああ。うん。 ・・・・・・ソウダネ」

〇ケーキ屋
神代 藍鈴「ちょ、ちょっと待って!?やめて〜!」
シファ「ご安心ください!ちょっと海に沈めて来るだけですから!」
チャラ男「ちょっとだけだって! ちょっと、撮らせてくれればいいんだって!」
シファ「あ”あ”?」
神代 藍鈴「ああ〜!!」
神代 藍鈴「ストップ、ストップ! ステイ、ステイ、ステイ!!」
  あせる弟、ブチ切れシファ、爆笑してるチャラ男
田中 優奈(うーん、カオス!)
  さて、何故こんな状態になっているかと言いますと、時は遡り数分前・・・。

〇ケーキ屋
田中 優奈「いらっしゃ・・・」
チャラ男「チィーッス!」
田中 優奈「えっ?あっ、はい?」
チャラ男「ねぇねぇ。お姉さん、ここってとっても可愛い少年が来るお菓子屋だよね?」
田中 優奈「えぇ・・・多分・・・・・」
チャラ男「よっしゃ、あったり〜! その子の事撮影させてください!」
  撮影?
  誰を?
  私の可愛い弟をか?
  許さぬ・・・!!
  そのような事を、許してなるものか!
  私の可愛い弟には手出しさせない・・・
  そう決意したユウナだったが・・・
  ─例え、私の全てを犠牲にしたとしても。
  もう・・・もう、二度と奪わせやしない。
  ・・・一瞬、目眩がしてふらりとよろける。
  だがしかし!根性で解決すると・・・
田中 優奈「・・・さい」
チャラ男「え?なんて言って──」
田中 優奈「お帰りください!」
  きっぱりと言い切って、チャラ男をにらみつける。
チャラ男「はぁ? あんた、何言ってんの?」
田中 優奈「お帰りください・・・と言いましたが? ・・・・・これ以上、騒いだら警察呼びますよ」
チャラ男「は?」
チャラ男「・・・あのなぁ、俺はただの客なんだぞ? 警察〜?」
チャラ男「呼べるもんなら呼んでみろよ」
  チャラ男とユウナ・・・両者ともに譲らずにバチバチと火花を飛ばしている最中──
神代 藍鈴「お姉ちゃ〜ん!」
  ・・・空気を読まずに来店した、今回の騒動の原因がいた。
神代 藍鈴「えっ? これどういう状況??」

〇ケーキ屋
  とまぁ、そんなこんなでこうなった訳で・・・
  さらに、そこにシファが投入されたことで余計にややこしくなったという訳だ。
  ・・・うん。
  いや、仲良くケンカしな??
神代 藍鈴(お姉ちゃん? ボケてる場合じゃないよ・・・)
神代 藍鈴(いや、まぁね?僕の為に怒ってくれたのは嬉しいよ?嬉しいんだけどね?)
神代 藍鈴(このままだと、迷惑極まりないお客様(笑)だったとしても・・・)
神代 藍鈴(彼──)
神代 藍鈴(─死んじゃうよ?)
田中 優奈「え?」
神代 藍鈴「・・・僕としては別に、それでもいいけれど・・・・・・お姉ちゃんはどうする?止める?止めない?」
田中 優奈「私は・・・」
  確かに、私の可愛い弟を狙った、迷惑極まりないお客様・・・いや、そもそもお客様でもないけど・・・・・それでも・・・
田中 優奈「止めなきゃ。 ・・・あいりも、手伝ってくれる?」
神代 藍鈴「フフッ・・・勿論だとも」
神代 藍鈴「それが、君の選択とあらば」
  よぉーし!やるぞ、弟よ。
神代 藍鈴(おうとも! 姉上、お手伝いします!)

〇ケーキ屋
  チャラ男はまだ諦めていない。
  シファはキレている。
  ・・・そして、ついに。恐れていた時が来た。スンッと表情が抜けて、シファの周りに不穏な空気が漂い始めて──
神代 藍鈴「やめろルシファー」
  ──ルシファーに対して、逆らうことの出来ない絶対的な命令が下さられた。
  彼に拒否権など、初めからありはしない。
  主の命。
  それは彼にとっては福音でありながらも、その身を蝕む甘い毒でもある。
  故に、彼の返事は・・・
シファ「はい・・・! アイリスの、望むままに」
  だけであり・・・驚き、状況についていけないのはチャラ男だけである。
神代 藍鈴「それじゃあ、お姉ちゃんや。 シファさんにちゃんと注意しといてね!」
  「健闘を祈る!」・・・と言い残して、本人はチャラ男を引っ掴んで一瞬にして姿を消した。
  後に残ったのは、幸せですと顔に書いてあるかのように上機嫌のルシファーと・・・
  弟がスピード解決したことにより、出番がなくなり、少し混乱しているユウナだけだった。

〇海辺
  少年に引っ張られて、つい反射的に目をつぶったチャラ男が、次に目を開いたときには一面の海が広がっていた。
  先程までとは異なる景色。
  幻想的で、儚げで・・・それなのにどこか不気味な雰囲気の場所。
チャラ男「は?・・・なんだよコレ・・・・・」
「海も知らないの?」
  混乱するチャラ男の前に現れたのは、ひと目で人では無いと分かるほどの美貌の持ち主・・・アイリスである。
チャラ男「・・・天女?」
アイリス・インフィニティクラウン「天女て・・・。僕、一応男なんだが・・・?」
チャラ男「お、おと・・・こ?」
アイリス・インフィニティクラウン「うん。ついでにさっき君が撮ろうとしてた少年だよ」
チャラ男「なん・・・だと」
  「グッバイ、オレの一目惚れ」とか、言ってるチャラ男を無視してアイリスは言う。
アイリス・インフィニティクラウン「えーっと・・・なんかゴメンね?」
アイリス・インフィニティクラウン「このままだと可哀想だし、君の願い叶えたげるよ」
チャラ男「願い・・・?」
アイリス・インフィニティクラウン「僕は、夢を司る神だからね」
チャラ男「・・・・・・」
チャラ男「・・・神様!?」
アイリス・インフィニティクラウン「そうそう、神様! 拝んでもいいよ?」
チャラ男「神様・・・神様?」
アイリス・インフィニティクラウン「疑問系はやめて?!」
アイリス・インフィニティクラウン「誰がなんと言おうとも、神様だから!!」
チャラ男「・・・願いって何でもいいの?つーか、ホントに叶うの?」
アイリス・インフィニティクラウン「はぁ・・・周りを見てから言ってるの?」
チャラ男「周り?周りって、もしかしてこの海のことか?」
アイリス・インフィニティクラウン「これ、僕が創った空間だからね?つまりは、それぐらいの力があるってことだよ」
チャラ男「作った!?え?!作れるの!?空間を!?」
アイリス・インフィニティクラウン「うん」
  アイリスは疲れた顔をしている。
  ・・・「説明面倒くさい」と顔に書いてあるかのようだ。それはもう、くっきり、はっきりと。
チャラ男「・・・!てことは、ホントに叶えて貰えんの?」
アイリス・インフィニティクラウン「・・・聞こうか」
  チャラ男の願い。
  それは・・・
チャラ男「金が欲しい。 出来れば・・・500万くらい」
アイリス・インフィニティクラウン「・・・なんで?」
チャラ男「・・・親父が、借金作って・・・俺と母さん置いて逃げた。それも、ヤバいところに」
アイリス・インフィニティクラウン「そっか・・・。 ・・・・・ひとつだけ、言っとくことがある」
チャラ男「なんだ?」
アイリス・インフィニティクラウン「願いを叶えるには、何かを対価にしなくてはならない。・・・君は何か、その願いと釣り合うだけのものを持っている?」
チャラ男「対価・・・」
アイリス・インフィニティクラウン「ユウナとの契約では、『弟になる』っていう難しくない願いだから対価は『クッキー×日数分のお菓子』で良かったけど・・・」
アイリス・インフィニティクラウン「君の願いは、簡単に叶えられるレベルを超えているから・・・対価もそれに比例するんだ。例えば──」
アイリス・インフィニティクラウン「君の魂を少し・・・とかに、ね」
チャラ男「魂って、願いを叶えてくれるんじゃ・・・」
アイリス・インフィニティクラウン「対価が無くても叶えられるけど、僕は君みたいな子の願いは普通なら、叶えないんだよ?」
アイリス・インフィニティクラウン「僕の言った『願いを叶える』は、『契約をしてあげる』という意味だよ」
  さぁどうする?
  その言葉からは、優しさなんてものは感じられなかった
  無関心
  彼にとって自分は取るに足らない存在なのだろう
チャラ男「魂を対価にしたら、どうなるんだ?」
アイリス・インフィニティクラウン「寿命が縮むよ。・・・まさかとは思うけど、魂を対価にするの?」
チャラ男「ああ!魂を対価にしても、別に死なないんだろ?なら、悩む必要なんてないしな」
アイリス・インフィニティクラウン「・・・そう」
アイリス・インフィニティクラウン「・・・・・忠告しておく、辞めた方がいい。 きっと・・・後悔する結果になる。 それでも・・・私と契約するのかい?」
チャラ男「さっきまで、不親切だったくせに何言ってんだ?」
アイリス・インフィニティクラウン「・・・ 契約内容は『500万円を用意して渡す』、対価は『君の魂を半分』でいいかい?」
チャラ男「ちなみに、それって寿命どれくらい減るんだ?」
アイリス・インフィニティクラウン「・・・全寿命の半分」
チャラ男「半分、か。なら、いい・・・のか?」
アイリス・インフィニティクラウン「さぁ? ・・・でも、僕がまだ人間だった時よりは全然あるよ」
チャラ男「さぁ?って・・・つーか、お前人間だったのかよ。いやそれより、人間って神になれるのか」
アイリス・インフィニティクラウン「細かいことは、置いといて・・・」
アイリス・インフィニティクラウン「契約を結ぶの?結ばないの?」
チャラ男「・・・結ぶ」
アイリス・インフィニティクラウン「貴殿の願いを叶えよう」
アイリス・インフィニティクラウン「さあ、手を出して」
チャラ男「手?これでいいか?」
  すると、男の出した手の甲に、月と星、それから王冠を模したマーク(?)が浮び上がる。
チャラ男「えっ!?何コレ!!」
  男は慌てていたが、アイリスは無反応。
  そして、しばらくするとマークは消えた。
アイリス・インフィニティクラウン「よぉーし!これで契約完了!」
チャラ男「アレ、なんだったんだ?」
アイリス・インフィニティクラウン「んー? あー・・・さっきのは、契約の印でね? 「こいつは僕の契約者だから手ぇ出すなよ?」って暗に意味する物」
チャラ男「へ、へぇ〜・・・そうなんだ〜・・・ははは・・・・・」
アイリス・インフィニティクラウン「それじゃあ、さよなら〜」
  男の足元に、ぽっかりと穴があく。
  そして、そのまま落下。
  ・・・仕方ない。だって、人間だもの。
チャラ男「へっ? ウオオアアアアアッッッッ!!!!!」
アイリス・インフィニティクラウン「・・・・・・海・・・ねぇ?」
アイリス・インフィニティクラウン「どおりで、あんな簡単に魂を賭けられる訳だ・・・」
  そう呟いたアイリスの瞳は、冷たく、しかしそれでいて、悲しみそうな目だった・・・

〇ケーキ屋
アイリス・インフィニティクラウン「たっだいまー」
  チャラ男を彼の家付近に放り出したアイリスは、直ぐに戻ってきたのだが・・・
田中 優奈「─だから、絶ッ対に辞めてくださいね!分かりらました!?」
シファ「はい・・・」
アイリス・インフィニティクラウン「えっ?これ、どういう状況?」
田中 優奈「あっ、やっと帰ってきた・・・」
アイリス・インフィニティクラウン「あっうん。 ただいま・・・いや、どういう状況?」
シファ「アイリス・・・」
アイリス・インフィニティクラウン(イッヌだ・・・飼い主に怒られてしょぼんってなってるイッヌだ・・・・・)
シファ「申し訳ありませんでした・・・。 怒りでつい、我を忘れて・・・・・!」
アイリス・インフィニティクラウン「ルシファーが、素直に謝った・・・だと!?」
アイリス・インフィニティクラウン「・・・明日は、血の雨でも降るのかな?」
田中 優奈「え?珍しい状況なの?これ・・・」
アイリス・インフィニティクラウン「・・・いい?ルーはねぇ?」
  それからは、出るわ出るわシファさんのやらかしエピソードの数々・・・ユウナは戸惑ったし、シファはさらに落ち込んだ。

〇ケーキ屋
  どうも、自分が叱り付けていた相手が実は「狂っている・・・!!」ってなる程の危険人物だと知って、正直少し焦ってるユウナです
田中 優奈「よ、良かった・・・生きてる!!」
アイリス・インフィニティクラウン「無自覚〜・・・まさかの無自覚〜に死亡フラグ回避してた〜」
  ルシファーは、人間嫌いではあるものの、ユウナの様な光属性は嫌いではないため、助かったのだ。
  (ギリ)セーフ!
田中 優奈「ま、まぁ、終わりよければすべてよし!って事で・・・」
アイリス・インフィニティクラウン「ソウダネ・・・これ以上考えても仕方ない・・・・・うん!」
アイリス・インフィニティクラウン「グッジョブ!ファインプレー!オールオッケー!!」
  ・・・目が泳ぎまくっているユウナ、落ち込んだイッヌなルシファー、無理矢理納得した(させた)アイリス・・・
  営業時間をとっくに過ぎた店内に、ただただ沈黙が広がる・・・
  ・・・・・・イイハナシダナー

〇女の子の二人部屋
  あの後、少し気まずい空気になりつつも、何事もなく帰宅したユウナだったが・・・
田中 優奈「疲れた・・・」
  流石に、あれだけ密度の濃い1日は疲れたようで・・・いつもよりも早い時間に寝ることにしたようだ
  ふっかふかのお布団にダイブしようとしていたが・・・ふと、今日のことを思い出して笑ってしまっていた。
  今日は楽しかったな・・・
  よーし!明日も頑張るぞ〜!
  あ・・・れ?なんか、急に目眩・・・が・・・?
  そのまま倒れてしまったユウナだったが・・・幸いにも、倒れた先はふっかふかの布団だった

〇広い和室
  広い和室?
  何処だろう・・・此処
着物のおばさん「雪名様!」
  え、誰?というかユキナも誰──
ユキナ?「どうかしましたか?」
  え?
  もしかして、あの人がユキナ・・・さん?
着物のおばさん「実は・・・」
  ・・・なんか話してるはずなんだけど、よく分からない内容ばかりだな〜
  そもそも、これってどういう状況何だろうか・・・
  ・・・あれ?あの子・・・あいりに似てるな。でも、あいりの目の色は紅色じゃなくて、藍色だったしな・・・うーん?
着物のおばさん「ひ、柊様!?どうして此処に・・・何か御用でしょうか?」
???「───?」
  えっ・・・?何で、あの子の声だけが聞こえないんだろう?
ユキナ?「ええ、私がユキナです。もしかして、あなたが・・・」
???「──!──────、────────!」
ユキナ?「えっ!?お、お姉ちゃん?」
???「──!───、──────」
  なんかよく分からないけど・・・分かった!
  ユキナさん(?)は柊ちゃん(?)って子のお姉さんなんだね
  あれ・・・また、目眩が・・・
  ─守って・・・
  声・・・?一体誰が・・・
  ─お願い、あの子を・・・私の弟を助けて
  弟?
  でも私・・・あなたの弟が何処にいるのかも、分からない・・・・・
  ──あの子は、すぐそばにいるから・・・
  ──だから守って・・・
  ──守れなかった、私の代わりに・・・

〇女の子の二人部屋
田中 優奈「・・・・・」
田中 優奈「──ッ!」
田中 優奈「あ・・・れ?夢・・・?」
  ポタリと涙がこぼれ落ちる・・・
田中 優奈「・・・違う」
  夢とは思えないほど、強烈に感じた哀しみ・・・
田中 優奈「弟・・・あの人の弟・・・」
  ・・・そばに居るって言ってた。でも、何処に?何処にいるの?
  目を閉じて思い浮かぶのは、『自分』の弟の姿・・・
  それが、正解とは限らない
  だが・・・
  守らなきゃ、あいりを・・・
  ・・・・・守らなきゃ、柊を・・・
  絶対に・・・
  ユウナが決意を固めると、また──
  ──今度こそ、絶対に・・・
  目眩がして、声が聞こえた・・・

次のエピソード:代償と願いの結末〜海を見た者〜

成分キーワード

ページTOPへ