わたしに触れないで

結丸

直感の人(脚本)

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〇事務所
爪紅 覚「相田、おはよう。 早いな」
相田 侑策「あ、おはざまーす」
相田 侑策「・・・?」
爪紅 栞「おはようございまーす」
相田 侑策「・・・っす」
爪紅 覚「あー、これウチの妹で・・・ 今日からバイトで入ってもらうことに したんだ」
相田 侑策「ああ、メールで見ました」
爪紅 覚「悪いな、急で・・・ まぁ主に雑務というか、そんな感じのことを やってもらうつもりだから」
爪紅 栞「爪紅栞です。 よろしくお願いします♪」
相田 侑策「・・・ども」

〇オフィスの廊下
相田 侑策「・・・」
爪紅 栞「お疲れ様です」
相田 侑策「・・・っす」
爪紅 栞「・・・」
相田 侑策「・・・?」
爪紅 栞「他の方は?」
相田 侑策「・・・客先に出てる」
爪紅 栞「相田さんは?」
相田 侑策「オレは基本、社内にいることが多い」
爪紅 栞「そう・・・」
相田 侑策「覚さんと兄妹なんだっけ」
爪紅 栞「え? ええ。 兄がいつもお世話になって──」
相田 侑策「あんま似てないね」
爪紅 栞「・・・は?」
相田 侑策「いや、なんていうか・・・ ファミマとローソンって感じ」
爪紅 栞「意味がよく・・・」
相田 侑策「どっちもコンビニだけど違うって感じ」
  相田はコーヒーを飲み干し、
  カップをゴミ箱に投げ捨てた。
相田 侑策「っしゃ、3ポイント」
爪紅 栞「・・・はぁ?」

〇事務所
爪紅 覚「じゃ、burn社へ寄ってから そのまま直帰するから」
相田 侑策「っす」
爪紅 栞「私は?」
爪紅 覚「定時になったら上がって。 お疲れ様」
爪紅 栞「えー、私もお兄ちゃんと一緒がいい」
爪紅 覚「えっ・・・」
相田 侑策「・・・・・・」
爪紅 覚「そ、それなら栞もburn社へ行くか。 これから行ってもらうこともある だろうし・・・」
爪紅 栞「うんっ♪ じゃ、先に車行ってるね」
爪紅 覚「・・・ごめんな、相田」
相田 侑策「何がっすか」
爪紅 覚「いや、その・・・ 妹のことで色々」
相田 侑策「まぁ、いいんじゃないっすか? 今の間だけだろうし」
爪紅 覚「え?」
相田 侑策「仕事が目的じゃないでしょ。 そんなん続かないっすから」
爪紅 覚「・・・・・・」
相田 侑策「それに、あの人──」
相田 侑策「何か、違うっすもん」
爪紅 覚「違う・・・?」
相田 侑策「お疲れっした」
爪紅 覚「・・・?」

〇車内
爪紅 栞「何かいいね」
爪紅 覚「ん?」
爪紅 栞「お兄ちゃんと一緒に働けるの、 嬉しい」
爪紅 覚「シスコンは嫌なんじゃなかった?」
爪紅 栞「あれは──」
爪紅 栞「照れ隠し、だよ。 だって私・・・」
爪紅 栞「お兄ちゃんのこと好きだもん」
爪紅 覚「・・・そうか」
爪紅 栞「ね、お兄ちゃんも私のこと好き?」
爪紅 覚「ああ」
爪紅 栞「ああ、じゃなくて。 ちゃんと言って?」
爪紅 覚「好きだよ。 栞は俺の可愛い妹だ」
爪紅 栞「・・・妹だったらずっと一緒だもんね」
爪紅 覚「うん?」
爪紅 栞「ねぇ、burn社の後ご飯いかない?」
爪紅 覚「あー、でも連絡してないし・・・ 急にご飯いらないって言うのもなぁ」
爪紅 栞「そうだよね・・・ 華奈子さんのほうが大事だよね」
爪紅 覚「いや、そういうことじゃなくて──」
爪紅 栞「出勤初日だったし、 色々話したかったな」
爪紅 覚「・・・・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
爪紅 華奈子「あ、覚からだ」
爪紅 華奈子「「ご飯食べてきます。ごめん」 って・・・」
爪紅 華奈子「もー、作っちゃったじゃん。 早く言ってよね」
爪紅 華奈子「・・・前だったら言ってくれてたのに」

〇大衆居酒屋
「乾杯」
爪紅 栞「・・・っはー、美味しい」
爪紅 覚「いい飲みっぷりだな」
爪紅 栞「お兄ちゃんは飲まないの?」
爪紅 覚「車だからな」
爪紅 栞「えー、代行頼めばいいじゃん」
爪紅 覚「いや、元々そんなに飲めるほうじゃ ないし・・・」
爪紅 栞「ふーん」

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