托卵む〜たくらむ〜

ゆきんこ

第九話 終わり始まり(脚本)

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〇結婚式場のレストラン
雀(すずめ)「お姉ちゃん 郭子さんは復讐を望んではいないの! お願いだから、みんなを助けて!!」
未来(みらい)「そんなの嘘よ・・・ 信じられるわけないじゃない!」
未来(みらい)「スズとお姉ちゃんに危害を加えるつもりはないわ。 でも、邪魔するなら容赦はしない!」
雀(すずめ)「・・・」
???「未来、 39ページよ」
???「雛が私の母子手帳を持っているの。 未来に見せてちょうだい」
???「雛なら、私の話を信じられるでしょ?」
雛「郭子ママの声!?」
雛「たっ確かに、式が終わったら渡そうと思って、未来の母子手帳を持ってきているわ」
雛「未来、読んでみて」

〇黒
未来(みらい)「これがママの字・・・」
  10月20日 あらゆるものにつかまり、
  自分で立ち、喜んでいます。
  とっても元気な女の子です。
  欲しい物目指してどんどん突き進む
  私に似て、欲望に素直なのかな
  だけど私みたいにはならないで欲しい
未来(みらい)「アアッ!?」
  しっかりとした夢を持って
  後悔しない人生、
  みんなから愛される人生
  未来には、
  そんな生き方をしてもらいたい。
未来(みらい)「ママ・・・!」
未来(みらい)「私は・・・ママの復讐のために産まれてきたのだと思っていたの」
未来(みらい)「私・・・間違えていたの?」
百寿(もず)「ウウッ・・・郭子」
百寿(もず)「どうか・・・許してくれ。 お前を救えなかったこと・・・」
百寿(もず)「幸せにできなくて、ゴメン・・・」

〇結婚式場のレストラン
未来(みらい)「そうよ」
未来(みらい)「ホントにママがスズの中に居るなら、 自分を殺した真犯人が分かるよね?」
雀(すずめ)「・・・」
???「私の首を絞めたのは」
???「四十雀さんよ」
四十雀(しじゅうから)「スズ・・・何を・・・!?」
???「スズは托卵された子供」
四十雀(しじゅうから)「本当にスズじゃないの・・・!?」
???「そして百寿、あなたは」

〇黒背景
  四十雀さんの犯行を知っていた──

〇けもの道
?「ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ」
四十雀(しじゅうから)「ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ」
百寿(もず)「四十雀さん・・・!!」
百寿(もず)「郭子から送られてきた位置情報を辿ってきたが、なぜここに四十雀さんが居るんだ!?」
百寿「あれは郭子!? 一体何が・・・」
百寿(もず)「俺は・・・どうすれば良いんだ!」

〇結婚式場のレストラン
四十雀(しじゅうから)「郭子さん・・・」
四十雀(しじゅうから)「死んでるのに、 まだ私たちの邪魔をするなんてッ! 本当にヒドイ女ね!!」
四十雀(しじゅうから)「悪魔め!! 地獄に帰りな!」
雀(すずめ)「ママ!! 私が分からないの!?」
雀(すずめ)「キャアアア──」

〇血しぶき
「パパァ!!」
「お・・・ねがいだ」
百寿(もず)「目を・・・覚ましてくれ」
四十雀(しじゅうから)「アナタ!!」
百寿(もず)「ママ 愛しているよ。 だからもう、誰も傷つけないで・・・」

〇結婚式場のレストラン
四十雀(しじゅうから)「こんな、つもりじゃなかった こんな・・・」
四十雀(しじゅうから)「好きな人に愛してもらいたかっただけだったのに」
四十雀(しじゅうから)「どうして・・・」
雀(すずめ)「お願い! 早く救急車を呼んで!!」

〇綺麗な教会
救急隊員「披露宴会場で集団中毒症状── 1名刺されて重体」
救急隊員「事件の可能性が高い パトカーの応援も要請する」
雛「未来・・・!」
雛「待っているわ」
雛「また一緒に暮らしましょう」
未来(みらい)「お姉ちゃん・・・ゴメンなさい」
雀(すずめ)「未来お姉ちゃん! 郭子さんが、」
雀(すずめ)「『世界一大好き』だって」
未来(みらい)「・・・」
未来(みらい)「私も、」
未来(みらい)「『ママが、世界一大好き』だよ!」
雛(ママ ママ良かったね)

〇シックなリビング
  私の企み──
  子供たちに『世界一大好き』って言われたいの!

〇綺麗な教会
雛「ママの企み叶ったよ!」

〇総合病院

〇病室のベッド
雀(すずめ)「みんなが助かって、本当に良かったわ」
百寿(もず)「スズ、お前にも心配かけたな」
雀(すずめ)「私ずっと、自分のせいでママがおかしくなったと思ってたの」
雀(すずめ)「郭子さんの話するまでは、 スゴク優しいママだったし」
雀(すずめ)「毎日が幸せだったから」
雀(すずめ)「──パパはさ」
雀(すずめ)「ママが托卵しているってこと、最初から分かっていたんじゃないの?」
雀(すずめ)「郭子さんのこともだけど、 パパはどうしてママに何も言わなかったの?」
百寿(もず)「ママは、俺が人生で初めて本当に愛した女性だった」
百寿(もず)「ママが壊れたのは、最初の流産がきっかけだったと思う」
百寿(もず)「ママの苦しみを全部背負って、 墓場まで持っていくつもりだった」
百寿(もず)「それが俺にとっての郭子への復讐であり、」
百寿(もず)「俺を地獄から救ってくれた ママへの恩返しだと思ったから」
百寿(もず)「でもあの時、 スズが山で郭子の話をした瞬間」
百寿(もず)「いつかこんな日が来ると思っていたよ」
百寿(もず)「だが、雛も未来もスズも3人とも、 間違いなく 俺がこの手で育てた俺の子供だ」
百寿(もず)「お前たちを育てられて、幸せだった」
百寿(もず)「これだけは胸を張って言えるよ!!」
雀(すずめ)「パパ・・・」
百寿(もず)「雛から聞いているよ。 イギリスに行っておいで!」
百寿(もず)「もし帰りたくなったら、いつでも帰ってきなさい」
百寿(もず)「ちゃんとお前の部屋は残しておくからな!」
雀(すずめ)「パパ 今まで育ててくれてありがとう」
雀(すずめ)「世界一大好きだよ!!」

〇病室の前
看護師「どうしよう!」
看護師「256号室の四十雀さんが居ない!?」
看護師「マズイわね! あの事件の患者でしょ?」
看護師「前に小児科や産婦人科の病棟に入り込んだこともあったわ まさか・・・!?」
看護師「各病棟に連絡してみて!」
???「ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ」

〇一戸建て
  どんな過ちを犯しても
  過去には戻れないし、
  後悔を消すことは出来ない
  それどころかフラッシュバックした記憶に苛まれる時もある
  それでも『生きる』ということは
  その歩みを止めることは出来ない
雀(すずめ)「もうこの家に 戻ることはないかもしれない・・・」
???「スミマセ〜ン」
雀(すずめ)「ハイ?」
奏汰(かなた)「この家に昔、四十雀さんという女性が住んでいたはずなんですけど」
奏汰(かなた)「近くまで来たので久しぶりにお会いしたくて・・・」
奏汰(かなた)「君はここの娘さんかな?」
雀(すずめ)「!!」
雀(すずめ)「い、いいえ」
雀(すずめ)「ここにはそういう女性は居ませんし、人違いではないですか?」
  もう二度と私は後ろを振り返らない
雀(すずめ)「さようなら」

コメント

  • 10人目の読者でした!
    四十雀さん…?😱気になるけど、完結ですね!
    一気読みして、毎回コメントして迷惑かけてしまったかなと、今更ながら反省しています💦
    次が気になる演出、さすがでした。
    お疲れさまです😊

  • 完結おめでとうございます。郭子や雛のキャラのコメディ感と愛憎劇のコントラストが小気味よく、決着まで楽しませて頂きました!
    こんな中でも最後まで前向きな百寿さんは凄いですね…血の繋がり以上にお父さんしてました。

    そういえば忘れてた登場人物がラストに一人…苦味のあるエンドでしたね…😊

  • 完走お疲れさまです。
    人間関係、特に家族関係は本当に難しいですね。
    ちょっとしたことで人の心は変わってしまいますからね。いいと思ってしたことが逆に悪い結果になってしまったり…
    それでも前を向いていくしかない…という素晴らしいラストでした。

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