瑠璃の鎖

椎名つぼみ

第2話:るり『キレイなままの躰』(脚本)

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〇白いアパート
九条 るり「・・・ハァ ハァ」

〇一人部屋
「・・・あまね・・・もっとぉ もっとしていいよぉ・・・」
「・・・ふぅ・・・」
九条 るり「あまね・・・?」
藤原 周(あまね)「るり・・・」
桂 桃華(ももか)「きゃぁ! ヤダぁ」
九条 るり「・・・」

〇歴史
  あの頃からだろうか。
  目が覚めた瞬間は、現実か過去か分からなくなる。
???「るり・・・起きろ 風邪をひく」

〇漫画家の仕事部屋
藤原 周(あまね)「るり・・・起きてくれ」
九条 るり「・・・・・・ん・・・あまね?」
藤原 周(あまね)「また部屋に戻らず、アトリエで寝たのか? 肩が冷えてる」
九条 るり(あまねが優しい・・・ これは過去?)
九条 るり「・・・・・・」
九条 るり「今何時?」
藤原 周(あまね)「昼過ぎだ。 朝イチで店には顔を出してきた。 あとはるりのデザイン待ちだ」
九条 るり「そう、良かった。 こっちも描けたわ」
九条 るり「次のコレクションは、 これを中心に進めてちょうだい」
藤原 周(あまね)「いいデザインだな。 センターストーンはアクアマリンか?」
九条 るり「ブルージルコンでいこうと思うんだけど。 どう?」
藤原 周(あまね)「複屈折の石か?」
藤原 周(あまね)「じゃあ、光は全方向から当てたいな」
藤原 周(あまね)「透かし石座にしよう。 強度はバランス見て、調整でいいか?」
九条 るり「その辺は、いつものように任せるわ」
藤原 周(あまね)「了解。さっそく原型を造る」
九条 るり「・・・」
九条 るり(仕事をしてると錯覚する。 昔と何も変わらないって・・・)
九条 るり「・・・」
藤原 周(あまね)「あ、ちょっと悪い」
藤原 周(あまね)「はい──」
???「もしもーし、周さ~ん?」
九条 るり(この甘ったるい喋り方は・・・)
藤原 周(あまね)「桃華、こんな時間にどうした・・・」
九条 るり「切りなさい! あなたが今優先すべきは、私でしょ?」
藤原 周(あまね)「・・・」
藤原 周(あまね)「桃華、また夜にでもかけ直す」
桃華「え~!? 周さんってば、ちょっとぉ──」
九条 るり「いったんお茶にするわ。 居間に連れてって」
九条 るり「あまねの入れたミルクティーが飲みたい」
藤原 周(あまね)「分かった」

〇おしゃれな居間
西園寺 礼人(れいと)「る~りちゃん、やっと会えた♥️」
九条 るり「西園寺 礼人!? あなた、また来てたの?」
西園寺 礼人(れいと)「お父上とビジネスの話でね。 でも良かった~、ねばって」
西園寺 礼人(れいと)「そろそろアトリエから出てくる頃だって聞いてたから、 待ってたんだ」
西園寺 礼人(れいと)「家でも着物なんだ。うん、そそる」
九条 るり「・・・父は?」
西園寺 礼人(れいと)「もう出掛けられたよ」
西園寺 礼人(れいと)「るりちゃんをディナーに誘う、お許しはもらったから。 今夜、銀座でフレンチなんてどう?」
九条 るり「冗談でしょ? こっちは多忙よ。 あまね、ソファーにおろして」
藤原 周(あまね)「るり、もっと── ちゃんと身体をオレに預けて」
西園寺 礼人(れいと)「・・・」
西園寺 礼人(れいと)「キミ、藤原 周くんだっけ。 桃華ちゃんのフィアンセの」
藤原 周(あまね)「・・・そうだが」
西園寺 礼人(れいと)「ねー、何で九条家にいるの?」
西園寺 礼人(れいと)「で、何でるりちゃんに、 そんなに気安く触れてんのさ」
西園寺 礼人(れいと)「彼女、僕の許嫁なんだけど?」
藤原 周(あまね)「・・・」
九条 るり「また古い話を・・・ 西園寺さん、結婚の話はお断りしたはずよ」
九条 るり「それにあまねは『ラピスラズリデイズ』の社員であり、 私の世話係なの」
西園寺 礼人(れいと)「もうすぐ、桂家のムコ養子となるのに?」
九条 るり「まだ1年、ウチとの契約が残ってるわ」
西園寺 礼人(れいと)「へぇ。 逆玉なうえに、美女2人囲っちゃって」
西園寺 礼人(れいと)「美味しいな、オマエ」
藤原 周(あまね)「・・・・・・」
九条 るり「ふぅ」
九条 るり「・・・あまね。やっぱりお茶はいいわ。 それよりちょっと汗かいちゃったみたい」
九条 るり「少し早いけど、お風呂に入れてくれない?」
西園寺 礼人(れいと)「なっ!?」
西園寺 礼人(れいと)「この男は、そんなことまでやるのか? 九条家にはお手伝いさんがいるだろ」
西園寺 礼人(れいと)「介助が必要とはいえ、 そんな若い男をプライベートに出入りさせるなんて、誤解されるよ!」
九条 るり「今さら誤解もなにも。 あまねは1年近く、この家に住んでるのよ」
西園寺 礼人(れいと)「はぁ!? それじゃあ、キミ達はとっくに・・・」
九条 るり「ヤダ。西園寺礼人ともあろう人が、 そんな可愛いことで驚かないで」
西園寺 礼人(れいと)「・・・桃ちゃんは、それを知ってるのか?」
九条 るり「どうかしら? それは存じ上げないけど」
九条 るり「ああ、あなた。 彼女と親しいんだっけ? だったら、教えてあげてよ」
九条 るり「新しいモノが好きなくせに。 桃華さんってば今、私のお下がりを使って 喜んでるのよって」
九条 るり「ねえ? あまね」
藤原 周(あまね)「・・・止めろ、るり。 もう行こう」
九条 るり「ふふ。そうね。 あまねに早く、すみずみまでキレイにしてもらわなきゃ」
九条 るり「ではご機嫌よう。西園寺さん」
西園寺 礼人(れいと)「るりちゃん、待って!」
九条 るり「なっ・・・」
西園寺 礼人(れいと)「今後助けが欲しくなったら、僕のところにおいで。 きっと力になるから」
九条 るり「・・・」
藤原 周(あまね)「その肩に置いた手をどけろ」
西園寺 礼人(れいと)「・・・へぇ」
西園寺 礼人(れいと)「これは、どういうことかな?」
「・・・・・・」
九条 るり「あまね、行きましょう」
西園寺 礼人(れいと)「・・・」

〇清潔な浴室
  「お下がり」なんて、ホントは嘘。
  あまねは今まで1度だって、
  私と深く繋がろうとしない──。
  顔色ひとつ変えずに、私の体を磨き上げる。
  うなじから、背中に指を滑らせて。
  時には下半身を密着させて。
九条 るり(反応・・・してるわよね? しないはず、ないわよね?)
九条 るり(見た目じゃ分からない)
  確かめようと、あまねのソコに手を伸ばすけど──
藤原 周(あまね)「止めろ」
  またもや寸前のところで、交わされる。
藤原 周(あまね)「・・・」
藤原 周(あまね)「オレまで濡れてどうする」
九条 るり「いいじゃない。脱げば? お望みなら、私がふいてあげるけど?」
藤原 周(あまね)「簡単に触るな。男を煽るな」
藤原 周(あまね)「もしこれがオレじゃなく、さっきの西園寺だったら── 取り返しのつかないことになるぞ」
九条 るり「・・・何でここで、 他の男の名前が出てくるのよ・・・」
藤原 周(あまね)「るり?」

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次のエピソード:第3話:周『秘めたる哀情と劣情』

コメント

  • 一話感想すっ飛ばして二話まできましたw

    めちゃくちゃ好きぃ❤笑
    私、こういう両片想いドロドロ?といえばいいのでしょうか。大好物でございますのꉂ🤣𐤔

    いや、両片想いと決めるのもまだ早いですね。
    宝石ネタも大好き。お嬢様とイケメンも大好き。

    宝石の知識は調べられたのでしょうか?
    土台について透かすテクニックをはじめて知りました。

    本当は私もこういう話、書きたいのです笑
    好きぃ❤❤❤笑

  • 愛と憎しみ、以外の要素が強くお話の雰囲気を包んでいる気がします。嫉妬とか、執着とか、未練とか。粘度が高い感情を見せられているような感覚になります。
    誰も幸せにならないぞって雰囲気作りが凄いですね。

  • 一緒にいる時間と恋愛は相性良さそうなだけに、そうじゃない場合、関係者の不穏な気持ちは分かるかもしれません。次回を待ってます。

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