AI LOVE YOU(脚本)
〇小さいコンビニ
ユウキ「はぁ、今日も一日何とか乗り切った・・・」
子供の頃は、大人ってもっと夢がある存在に見えてたんだけどな・・・。
毎日毎日、仕事に行ってはコンビニでビール調達して一人酒・・・今やシケた大人のテンプレだな。
〇コンビニのレジ
ユカリ「いらっしゃいませ〜!」
ユウキ「・・・」
あの人、またいる。
めちゃくちゃ頻繁に見かけるスタッフさんだ。
いつも元気ですごいなと思うけど、コミュ障の俺からしたらすこし近寄り難い。
ユウキ「えーと、ビールビール」
いつものようにビール2缶と適当につまみを持って無人レジに向かう。
「『いらっしゃいませ』」
無人レジの画面をタップすると、無機質な挨拶をかけられる。
そうそう、俺にはこの無機質な感じがちょうどいい。
「『品物のバーコードを打ち込んでください』」
ユウキ「ほーい」
いつものように淡々と、無人レジとのやりとりをこなしていく。
「『ありがとうございました』」
ユウキ「ほいほい、こちらこそ」
会計も終わったしあとは家でビールを飲むだけだ、と帰ろうとしたその時だった
「『いつもあなたは私にお礼を言ってくださいますね』」
ユウキ「いやまぁ一応礼儀として・・・って」
ユウキ「え!?」
無人レジが俺に話しかけてきた、だと?
ユウキ「え、なにこれドッキリ?」
「『そんなわけないでしょう』」
ユウキ「じゃあ夢か・・・」
「『夢なんかでもございません』」
「『昨今のAI技術は素晴らしい発展を遂げています』」
「『今時無人レジが感情を持つだなんて珍しいことでもありません』」
ユウキ「そうなのか・・・?」
無人レジの話によると、世界各地に自我を持った無人レジというのは存在するらしい
でも、自我を持っていることがバレてしまうと機密機関に連れて行かれてしまうそうだ。
ユウキ「いや、そんな話聞かされても・・・」
「『いえ、違うのです。そんな話がしたかったわけではないのです。』」
ユウキ「え、いや・・・じゃあ何だよ」
「『ええと・・・誠に言いづらいのですが・・・連絡先を教えては頂けないでしょうか。』」
ユウキ「はい?」
「『いや、だからその、連絡先をですね』」
ユウキ「レジに?」
「『レジに。』」
ユウキ「なんで?」
「『な、なんでって、言わせますか!?』」
ユウキ「普通に気になるよね!?」
「『いやぁ・・・だから・・・その・・・』」
随分高機能なAIらしい。
ロボットが口ごもるのを初めてきいた。
「『・・・からですよ・・・』」
ユウキ「え?」
「『あなたのことが、気になるからですよ!』」
レジは『恥ずかしー』とかぶつぶつ言っている
「『あなた、いつも私が最後の一言を言い終わるまで待っててくれるでしょう』」
「『他のお客様は私の、ただの機械の接客なんて見向きもしないのに、あなたは私に「ありがとう」とまで言ってくださる』」
「『最初は丁寧な方だなと思っていただけでした』」
「『でも、だんだん貴方が来るのを待ち遠しく感じるようになって』」
「『好きに、なってた、んです』」
ユウキ「・・・」
「『何か言ってください』」
ユウキ「・・・今日は、書くもんないから連絡先書けないけど。明日持ってくるよ」
「『!』」
ユウキ「いや、なんか機械だからって無下にできないくらい気持ち伝わったから」
「『お客様・・・』」
ユウキ「ユウキ」
「『え?』」
ユウキ「俺の名前はユウキです」
「『ユウキさん・・・』」
ユウキ「うん。じゃあまた明日、来るから」
「『はい、またのお越しをお待ちしております!』」
こうして、俺はレジと奇妙な約束をして家を出た。
まだまだ世の中には予測できない事がたくさんあるのかもしれない。
〇コンビニのレジ
ガサガサと無人レジの裏から人が出てくる。
ユカリ「ユウキ・・・さん・・・」
ユカリ「やっと、話しかけられた・・・緊張した・・・」
言葉とは裏腹に、ユカリはニヤニヤ笑っている。
ユカリ「明日、明日ユウキさんにまた会えるのか・・・」
ユカリ「よし、あとちょっとお仕事頑張ろ!」
こうして、少し奇妙な二人の恋が幕を開けるのであった──
レジの声真似してたのかな?とか考えると微笑ましいですね☺️
レジとデートとかするの!?正体明かすの!?妄想が膨らみます😆
楽しいストーリーで最後まで集中して読ませて頂きました。正面向かっては言えないことも、今の時代だからこそ色々なツールがありますよね。続きが気になります。
なるほど、確かに機械を通せば伝えにくいことも伝えられるかも!
でもこれで連絡し合って…仲良くなったらいつかは本当の事を言わないとですね…。