FLE Affair:Re

春島傑郎

第1話(脚本)

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春島傑郎

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〇古びた神社
清信(キヨノブ)「ここなら誰もいないかな」
清信(キヨノブ)「ゲホッ」
清信(キヨノブ)「ん?」
清信(キヨノブ)「誰かいる・・・」
???「・・・」
清信(キヨノブ)「ここの人?」
???「あら珍しい」
???「祈りにでも来たの?」
清信(キヨノブ)「家にいるのが嫌なんだ ここにいてもいい?」
???「好きなだけ居ればいいわ」
清信(キヨノブ)「ありがとう」
???「何か話を聞かせてくれない? 人と話すのは久しぶりだから」
清信(キヨノブ)「いいよ!! 僕は──」

〇古びた神社
???「──それは大変ね」
清信(キヨノブ)「もう陽が落ちそう」
???「家族が心配するならおかえり」
清信(キヨノブ)「うん。久しぶりに楽しく話せたよ」
清信(キヨノブ)「また来てもいい?」
???「いつでもいらっしゃい」
清信(キヨノブ)「じゃまた明日ね」
清信(キヨノブ)「体調が悪くなかったら」
清信(キヨノブ)「さよなら」
???「さようなら」

〇古びた神社
  不知の病に侵されている清信
  家では腫れ物のように扱われていた
  色眼鏡のない彼女との話が楽しくて仕方なかった
  何度も何度も清信はそこへ通った

〇広い和室
清長(キヨナガ)「清信!!」
清信(キヨノブ)「はい父上」
清長(キヨナガ)「このところ良く出掛けているな」
清長(キヨナガ)「何処へ行っている?」
清信(キヨノブ)「体調がいい日は散歩へ行き、体力をつけております」
清長(キヨナガ)「・・・そうか」
清長(キヨナガ)「あまり無理をするでないぞ」
清信(キヨノブ)「はい」
清長(キヨナガ)「・・・」
清長(キヨナガ)「おるか?」
清長の側近「ここに」
清長(キヨナガ)「清信が何をしておるか気になる」
清長(キヨナガ)「ただの散歩であれば構わんが」
清長の側近「承知致しました」

〇古びた神社
清長の側近「こんな所があったのか・・・」
清信(キヨノブ)「今日も来たよ」
???「あら、いらっしゃい」
???「今日は体調は良いのかしら?」
清信(キヨノブ)「まぁまぁかな」
清長の側近(誰と話しているんだ?)
???「ふふ」
清長の側近(なんと面妖な出で立ちか・・・)
清長の側近(あれは人なのか・・・)
???「・・・」
清信(キヨノブ)「どうかした?」
???「今日はお友達が来てるの?」
清信(キヨノブ)「え?1人だよ」
???「そう・・・なら気の所為ね」
清信(キヨノブ)「ゲホッ」
清信(キヨノブ)「ゲホッゲホッ」
???「大丈夫!?」
清信(キヨノブ)「うぅ・・・う」
清長の側近「清信様!!」
清長の側近「大丈夫ですか清信様!?」
清信(キヨノブ)「・・・ちょっと苦しい」
清長の側近「屋敷へ戻りましょう」
清長の側近「御免・・・」
???「清信・・・お大事に」

〇広い和室
「何があった?」
清長の側近「清信様は寂れた神社へ通っておられました」
清長の側近「そこで女と話されておりましたが・・・」
清長(キヨナガ)「ははっ 清信も女に興味が出てきたか」
清長の側近「いえそれが・・・」
清長の側近「申し上げにくいのですが・・・」
清長(キヨナガ)「どうした?申せ」
清長の側近「人ではないかと・・・」
清長(キヨナガ)「・・・・・・」
清長(キヨナガ)「病に続いて妖とは・・・」
清長(キヨナガ)「つくづく不憫な子じゃ」
清長の側近「宗二様がおられます」
清長(キヨナガ)「・・・ああそうだな」
清長(キヨナガ)「ただ備えておけ」
清長の側近「はっ」

〇古びた神社
  それから清信はしばらく現れなくなった
???「・・・」
???「急に来なくなると寂しくなるものね」
???「・・・」
???「おーい」
清信(キヨノブ)「久しぶり」
???「清信・・・」
清信(キヨノブ)「ごめんねしばらく来れなくて」
???「いいのよ・・・きっと私のせいでしょう」
清信(キヨノブ)「いいんだそんなこと」
清信(キヨノブ)「僕は病気を治して、当主になる」
清信(キヨノブ)「そしたらさ・・・」
清信(キヨノブ)「そしたら・・・」
清信(キヨノブ)「迎えに行くから待ってて」
???「・・・面白い子ね」
清信(キヨノブ)「本気だから・・・」
清信(キヨノブ)「貴女を迎えにいきます・・・必ず」
???「・・・」
???「はい・・・では待ちましょういつまでも」
清信(キヨノブ)「・・・」
清信(キヨノブ)「じゃあいかなくちゃ」
清信(キヨノブ)「こっそり抜け出して来たから」
???「待って・・・」
???「こっちにおいで」
  彼女は清信の胸に手を当てる
清信(キヨノブ)「・・・何したの?」
???「魂がねじれていたのを戻したの」
???「本当はダメなんだけどね」
清信(キヨノブ)「よくわかんないけど、ありがとう」
清信(キヨノブ)「・・・じゃあ」
清信(キヨノブ)「・・・またね」
???「うん。またね」

〇広い和室
???「清信様」
清長の側近「まさかまたあそこへ?」
清信(キヨノブ)「行っておらん」
清長の側近「はぁ・・・念の為こちらへ」
清長の側近「祓い屋が来ておりますので」
清信(キヨノブ)「・・・」

〇広い和室
清長(キヨナガ)「それで?」
祓い屋「人ならざるものの力を感じます」
祓い屋「清信様は魅入られておりましょう」
清長(キヨナガ)「どうすればよい?」
祓い屋「もう近づけぬことです」
祓い屋「忘却術も施しましたので、この件に関しては触れないように」
祓い屋「さすれば清信様も忘れましょう」
  それから10数年が経ち・・・

〇古びた神社
???「・・・」
???(人の刻であれば、もう10年以上経ったでしょうか・・・)
???(まだ貴方を想うなんて・・・)
???(きっともう忘れているわね)
???「清信・・・元気でしょうか・・・」

〇広い和室
宗二(ソウジ)「しかし、兄上がここまで頑張れるとはな」
清長の側近「病気が完治されたのは喜ばしいのですが、宗二様の障害となるのは・・・」
宗二(ソウジ)「腕っぷしなら俺の方が上なんだが、無駄に求心力があるからな」
清長の側近「求心力も清信様に負けておられないかと」
宗二(ソウジ)「世辞はいい」
宗二(ソウジ)「まぁでも妖の件が俺には追い風になってる」
宗二(ソウジ)「もう一度蒸し返せるか?」
清長の側近「危険では?」
宗二(ソウジ)「祓い屋の連中もいるし問題なかろう」
清長の側近「では考えましょう」
宗二(ソウジ)「ユウコにも声を掛けておこうか」

〇屋敷の門
宗二(ソウジ)「おいユウコ」
ユウコ「なんだ宗二かい」
宗二(ソウジ)「次期当主にその態度はないだろう?」
ユウコ「清信様がなるに決まってる」
宗二(ソウジ)「そうなるとお互い困るだろ」
宗二(ソウジ)「兄上が当主になれば嫁を取るのにお前など候補にならんぞ」
宗二(ソウジ)「俺が当主になればそのあたりは上手くやろう」
ユウコ「・・・どうしろと?」
宗二(ソウジ)「子供の頃の妖の件は覚えているか?」
ユウコ「覚えてるけど禁句よ」
宗二(ソウジ)「あれを蒸し返す」
宗二(ソウジ)「どう転ぶかわからんが、上手くやってくれ」

〇古びた神社
清長の側近「薄気味悪いな・・・」
清長の側近「不味い事にならなければ良いが」

〇古びた神社
???「これは・・・」
  『会いたい 清信より』
???「清信・・・」
???「もう大きくなったのでしょうね・・・」
???「もう会わないつもりでしたが」
???「一目だけなら・・・」
???「会いに行ってもいいでしょうか・・・」

〇屋敷の門
  とっくに終わっている掃除を続ける
ユウコ(・・・流石にこないわね)
ユウコ「・・・」
???「清信殿はこちらでしょうか?」
ユウコ「は・・・はい・・・」
ユウコ(本当に来た・・・)
ユウコ(本当に通していいの? こんな得体のしれないもの)

〇日本庭園
???「・・・」
宗二(ソウジ)「いらっしゃい」
???「清信殿はどちらでしょうか?」
宗二(ソウジ)(不気味じゃあるが、可愛いもんじゃねえか)
宗二(ソウジ)「兄上を取り殺しにきたのか?」
???「決してそのようなことでは・・・」
???「一目・・・お会いしたいだけです・・・」
宗二(ソウジ)「そうか・・・わるいな・・・」
宗二(ソウジ)「妖が出たぞーーー!!」
宗二(ソウジ)「出合え出合えーー!!」
清長の側近「宗二様、ご無事ですか?」
???(この男は・・・以前清信を連れ戻しにきた・・・)
???「まさか、あの手紙は・・・」
清長の側近「すぐに祓い屋も来ましょう」
???「私は元いた場所へ帰りましょう」
???「どうか穏便に」
宗二(ソウジ)「そうもいかねぇのよ」
祓い屋「お〜これが例の」
祓い屋(これは毛色が違うな・・・)
宗二(ソウジ)「しっかりやってくれ」
宗二(ソウジ)「魅入られた兄上を救い、この家を守る準備をしてきたのは私だ」
宗二(ソウジ)「誰が当主に相応しいか、皆よくわかるだろう」
祓い屋「それでは少しお下がりを」
祓い屋「おいっやるぞっ」
祓い屋の若い衆「先生・・・これは・・・」
祓い屋の若い衆「土地神の類じゃ・・・?」
祓い屋「余計な事は言うな 我々は仕事をするのみ」
???「・・・」

〇広い和室
???「出合え出合えーー!!」
清信(キヨノブ)「何事だ一体?」
ユウコ「御安心下さい。 清信様は私とここへ」
ユウコ「こんなこともあろうかと私も鍛えているのですよ」
ユウコ「ですから・・・」
ユウコ「これからも傍に置いてくださいませ」
清信(キヨノブ)(妖・・・)
ユウコ「清信様?」
清信(キヨノブ)「何か胸騒ぎがする・・・」
清信(キヨノブ)「行かなくては」
ユウコ「妖め・・・」

〇日本庭園
「けぇーー!!」
???(やはり人と関わるべきではなかった・・・)
???(弱った今では彼等には敵いません)
???(目が・・・霞む・・・)

〇日本庭園
清信(キヨノブ)「何をしている」
???「あぁ・・・もしや」
???「よく見えぬが・・・清信か?」
清信(キヨノブ)(どうして・・・私を?)

〇古びた神社

〇日本庭園
清信(キヨノブ)「あっ」
清信(キヨノブ)「なんで・・・今まで・・・」
宗二(ソウジ)「どうした兄上? 部屋に戻った方が良いのでは?」
清信(キヨノブ)「今すぐやめさせろ宗二」
宗二(ソウジ)「妖だよ兄上。取り殺されてしまう。 私に任せろ」
清信(キヨノブ)「妖だろうが関係ない」
清信(キヨノブ)「彼女は私にとって」
清信(キヨノブ)「何者にも変え難い」

〇日本庭園
???(・・・あぁ)
???(最期にあなたの言葉を聞けて良かった)
???「このまま消されましょう・・・」
清信(キヨノブ)「ゲホッゲホッ」
???「清信っ」
???「あっ」
???(私の力が消えれば・・・病が・・・)
???「祓い屋の方々!! 術を止めてください!!」
???「お願いします!! 何でもします!!」
清信(キヨノブ)「うぅ・・・ゴボッ」
???「お願い・・・します・・・」
???「アァ・・・」
???「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙──」
???「止めろォォ・・・ニンゲンーーー!!」

〇黒背景
???「私が人ならこんな事には・・・」
???「いや人も悪かろう・・・」
???「許せぬ・・・」
???「お前達を許せぬ・・・」
???「その霊魂が朽ちるまで・・・」

〇女の子の一人部屋
恵美(メグミ)「はっ」
恵美(メグミ)「また嫌な夢を見てたような・・・」
恵美(メグミ)「よく思い出せないけど・・・」
恵美(メグミ)「すごく嫌な・・・悲しい・・・気分」
  第1話
  〜完〜

コメント

  • こんばんは!
    和風ファンタジーが大好きで食い入るように読みました!神様、恨みを持ってどうなるんだろうと思っていたらいきなり現代へ!びっくりしました!
    末裔なのか、どのように物語に結びついていくのかとても楽しみです👍🙌

  • たとえ妖という存在であっても、清信は自らの胸を内を語れる相手に会えたことがきっと彼を強くしたのでしょうね。この二人の魂が現代もまだ存在しているということなのでしょうか。続きが楽しみです。

  • 人と妖の交流もの、好きです!
    ラストに出てきたのは、もしかして……。ということは、彼も現代にいるのでしょうか!?
    過去があのあとどうなったのかも気になります😆

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