おたけびババアの地獄責め

夏目彩希

第4話 恐怖! おたけびババア(脚本)

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夏目彩希

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〇温泉旅館
  突如現れた大女将から逃れるため、若女
  将は、笹川の死体とヅラを置き去りにして、死に物狂いで走った。
若女将「ハア・・・ハア・・・こ、ここまで来れば大丈夫かしら」
若女将「それにしても・・・さっきのは一体・・・?」
若女将「あれも仕込み? でも、確かにあれは大女将だったわ・・・! それに・・・」
  若女将の脳裏に、血塗れの笹川とヅラの
  憐れな姿が浮かぶ。
若女将「そうよ、笹川さんが死んでたのよっ! 仕込みなわけないじゃないっ・・・!」
若女将「それじゃあ、あれは本当に・・・っ!?」
ライター「ギャアアアアアアアーーーー!?」
  その時、大広間から悲鳴が聞こえてきた。
宿泊客A「ひいっ!?」
ライター「ぎゃー!! 助けてくれー!!」
若女将「何っ!? 一体、何が起こっているの!?」

〇怪奇現象の起きた広間
  若女将が慌てて大広間に戻ると、そこには、血の海が広がっていた。
  そして、血だまりの中央には筆を握ったまま絶命しているライターの姿が・・・!!
若女将「ひっ!? い、一体これは・・・!?」
ミラクル武本「祟りじゃー! これはまさしく大女将の祟りじゃー!!」
宿泊客B「この死体、本物じゃねーか! 全部やらせじゃなかったのかよ!?」
宿泊客A「おいっ! もしかして、俺たちもヤバくね!?」
若旦那「あわわわ・・・どうしよう・・・どうしよう・・・!!」
若女将「ちょっと若旦那っ! 何があったの!?」
若旦那「わ、わからないっ・・・! ただ、悲鳴が上がって、気が付いたらもう・・・」
若旦那「どうしよう、こんなの、僕、聞いてないよお~!!」
若女将「ちょっと、しっかりしなさいよっ! ったく、本当にどうしようもない男ねっ!」
若女将「ちょっとそこのアンタっ! 救急車呼んできてっ!」
仲居A「は、はいっ・・・!」
  仲居が大広間から出ようとしたその時
  突如、大女将が現れ、仲居の喉笛を引きさいた。
仲居A「ひっ、お、おおおか・・・ぎゃあっ!?」
大女将「ひーっひっひっひ! ここにいたんだね~!!」
  大女将のおたけびと共に血塗れになった仲居の死体がごろりと転がる。
  大広間は再びパニックになった。
若女将「ひいっ!!」
若旦那「お、大女将!?」
ミラクル武本「むっ、こ、これはっ!!」
「ひいっ!! で、でたーーーーー!?」
大女将「ひっひっひっひ! 今度はみんなまとめて始末してやろうねええええぇえぇ!!」
大女将「まずは、お前達からだよおおおぉぉ!!」
宿泊客A「ひいぃぃぃぃい!?」
宿泊客B「ぎゃああああああぁぁああ!!」
  大女将は次々と宿泊客達へと手を下していく。
  大女将に身体を引き裂かれた者は、全員血に塗れ、まるで血の海で溺れたかのように苦悶の表情を浮かべている。
  それは、温泉で溺死した大女将の、最後の姿にとてもよく似ていた。
若女将「そ、そんな・・・こんなことって・・・」
若女将「そうだ、若旦那はどこに・・・!」
若旦那「ミラクル武本さん! 助けてくださいいいぃぃ!」
ミラクル武本「と、とりあえず脱出じゃ!」
若女将「あ、待って、私も・・・!」
  しかし、若女将の声は若旦那には届いていないようだった。
  若旦那とミラクル武本はどこかへ行ってしまった。
若女将(あの、クソ旦那っ・・・! 私を置いていくなんて、どういう事なの!? 本当、どこまでも使えない奴っ・・・!)
若女将「とりあえず、私も逃げなきゃっ・・・!」
大女将「ひーっひっひっひっひ! アタシから逃げられると思ってるのかい!?」
  大広間から逃げようとする若女将の頭上に、大女将が飛びかかる。
大女将「ひゃーっはっはっはっは!」
若女将「ひっ!?」
  若女将が反射的に避けると、大女将は空中で三回転して華麗な着地を決めた。
若女将「じゅ、10.00・・・!!」
  若女将は思わず叫んだ。
  大女将の着物は赤く染まり、顔には誰のものか分からない血液が大量に付着している。
  ニヤリと笑うその表情は、まさに怨霊と言うに相応しいものだった。
大女将「ひっひっひ。次はお前の番だよおお!!」
若女将「ひっ・・・!? い、いやーーーーーっ!!」
  恐怖のため錯乱状態になった若女将は、その場にある食器はもちろん壺や掛け軸を大女将に投げつける。
大女将「ああっ! 何てことしてくれるんだい!? この壺と掛け軸、いくらすると・・・!!」
  大女将が壺と掛け軸に気を取られている隙に、若女将は大広間を後にした。

〇温泉旅館
若女将「どうしよう、逃げなきゃ・・・! でも、どこに・・・?」
若女将「そうだ! あそこなら・・・!」

〇個室のトイレ
  若女将は、客用トイレの個室に身を潜めた。

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