APAS討伐部~パートナーになったのは、最凶最悪の怪異でした~

菜鳥オウル

20.過去とこれからの話をしよう。②(脚本)

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菜鳥オウル

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〇森の中
茨木「あの頃の貴方を、 本当の貴方を思い出してください!」

〇けもの道
鬼1「くそっ、久々の大物なのに・・・」
鬼1「木が多くて走りづら──うわっ!」
鬼1「ああっ、逃げられちまう!」
???「はあっ!!」
鬼1「酒呑!!」
酒呑童子「ははっ、一丁上がりだ!」

〇寂れた村
鬼1「いや~、酒呑には助けられたよ。 お陰で久々に美味い飯が食える」
酒呑童子「俺はてめぇらの頭領だからな。 いつでも頼ってくれて良いぜ」
鬼2「さっすが、懐が広い・・・っと。 そういえば、頭領のお前に知らせておかないといけない事があったんだった」
茨木童子「・・・京の都で流れている噂の件ですね」
酒呑童子「なんだ、そんなのあったのか」
茨木童子「はい。曰く、 「山に住む酒呑童子が人を攫って喰う」と」
茨木童子「つい先日、人攫いをしていた山賊を この山から追い出したでしょう?」
茨木童子「どうやら彼らの所業を 我々の仕業とされているようです」
鬼1「なんだよそれ。 俺達なにもしてないってのに」
鬼2「どうする酒呑。 京の都に抗議でもしに行くか?」
酒呑童子「・・・言わせておけ。 噂ならすぐに消えるだろ」
酒呑童子「どのみち、俺達が訂正しに 行ったところで無意味だろうからな」
酒呑童子「どうせ人間は、 鬼の言うことなんか信じねぇんだ」
茨木童子「・・・」

〇寂れた村
鬼1「酒呑! 源頼光とその仲間が来やがったぞ!」
酒呑童子「・・・ついに、か」
酒呑童子「俺が相手をしよう。てめぇらはその間、 女子供を逃がしておけ。 それが終わったら好きにしろ」
鬼1「何!? それじゃお前は・・・!!」
酒呑童子「いいから、さっさとするんだ。 頭領命令だぞ」
鬼1「──っ! わ、分かった・・・」
酒呑童子「茨木、てめぇも──」
茨木童子「いいえ。私は貴方と共にいます」
酒呑童子「・・・」
酒呑童子「てめぇには、逃げて欲しかったんだがな」
茨木童子「貴方がそれを望んでも」
茨木童子「私は、貴方を1人にさせたくありませんから」

〇寂れた村
源頼光「──悪鬼め、覚悟しろ!」
酒呑童子(ははっ。まさか、こんなことに なっちまうとはな。噂を放置したのは 間違いだったか)
酒呑童子(茨木は・・・)
酒呑童子(あれならまだ、逃げられるだろう)
茨木童子「酒呑様! 今行きます──!」
酒呑童子「茨木。どうやら俺は、ここまでみたいだ。 だから、命令する──」
酒呑童子「てめぇは逃げろ。俺の事は置いていけ」
茨木童子「──!!」
茨木童子「っ・・・!!」
酒呑童子(ああ、これでいい・・・)
源頼光「覚悟──!!」
酒呑童子(逃げ延びて、どうか今度はしあわ──)

〇赤(ディープ)
  ──ごとり。

〇森の中
酒巻(・・・ああ、ようやく分かった気がする)
酒巻(茨木があんな態度を取っていたのは、 きっと俺が酒呑童子の──)
茨木「あの時、私は貴方を守り切れなかった。 それをずっと、後悔していました」
茨木「でも──もう間違えたりしません!!」
酒巻(義手を、取った・・・?)
茨木「今度こそ必ず、 貴方を最後まで守ります!」

〇森の中
カマイタチ「人間ガコノ山ニ何ノ用ダ!?」
カマイタチ「ダガ都合ガ良イ! モウジキ復活サレル玉藻ノ前サマノ タメニ、ヒトリデモ多クノ人間ヲ 狩ラネバナラナイカラナ!」
茨木「玉藻の前派の怪異ですか。 厄介です──ねっ!!」
酒巻(茨木は、戦ってくれている。 俺を──いや、「酒呑童子」を守るために)
酒巻(でも、俺は──!!)
カマイタチ「食ラエ!」
酒巻「──っ!!」
茨木「酒巻様!?」
酒巻「ようやく分かったよ。君の態度の理由が」
酒巻「──でも俺は、酒呑童子でもなければ 君の主でもない」
酒巻「俺は酒巻悠一──君のバディだ。 守られるんじゃなくて、一緒に戦う」

〇森の中
酒巻(不思議だな。身体が、軽い)
酒巻(足を出して、力を入れる。 それから、上に飛んで・・・)
カマイタチ「バ、馬鹿ナ! 人間ガソンナ高サヲ飛ベルハズガ──!!」
茨木(あれは、鬼の身体能力──! でも・・・)
カマイタチ「クソオォォォォ!! 我ノ風デ切リ刻ンデヤル!!」
酒巻(これも、斬る)
茨木「──!?」
カマイタチ「何ッ!? 風ガ斬ラレテ──」
酒巻「それから、君もだ」
カマイタチ「ヒッ──!?」
カマイタチ「ヤ、ヤメロォオオオ!!!!」

〇森の中
酒巻「はぁ、はぁ・・・」
酒巻(よく分からないけど、 なんとか勝てた・・・)
酒巻(けど最後のあの技・・・ あれは確か、源流の奥義じゃ──)
茨木「・・・身体能力は鬼のもの。 でも霊力で怪異とその技を斬るなんて」
茨木「そんな技、酒呑様は 持っていなかったのに・・・」
酒巻(・・・そっか。 それじゃあ、やっぱりこれは源の・・・)
酒巻「茨木」
茨木「──!!」
酒巻「言ったでしょう。俺は源家の人間。 残念だけど、酒呑童子とは別の人だよ」
酒巻「だからさ。ちゃんと俺自身を見て。 そして・・・」
酒巻「良ければこれからも、 バディとして一緒にいて欲しい」
茨木「──っ!!」

〇けもの道
酒呑童子「良ければこれからも、 相棒として一緒にいてくれ!」

〇森の中
茨木「ふふっ。 そんなの、できませんよ」
酒巻「えっ、この流れで断るの?」
茨木「だって貴方達、そっくりなんですから。 貴方と酒呑様を重ねて見るなと 言われても無理な話です」
茨木「でも、努力はしますよ──悠一」
酒巻「──!!」
酒巻「うん、これからもよろしく!」

〇空

〇空

〇広い改札
酒巻「・・・っていう流れだったのに」
茨木「悠一、荷物をお持ちします」
茨木「食料もさっき確保してきました。 この駅弁、一番の売れ筋だそうですよ」
通行人1「おおっ、 イケメンがイケメンに世話焼いとるで」
通行人2「なんやそういうプレイか?」
酒巻「うう・・・」
茨木「悠一? もしや疲れが溜まっているのですか? でしたら、私が背負って──」
酒巻「ちがーーーーーーう!!!!」
茨木「はい?」
酒巻「俺、言ったよね!? 俺は君の主じゃないって! 俺自身を見てって!」
酒巻「なのに、どうしてまたこうなってるの!?」
茨木「ああ、そういうことですか」
茨木「しかし・・・」
茨木「これは、性分ですので」
酒巻「──!!」
酒巻(性分は関係ないとか、 言いたいことはいろいろあるけど・・・)
酒巻(ま、いっか)

次のエピソード:21.すべてはそこから始まりました。

コメント

  • 熱かった…。そして最後に生きてくる修行ですね。続きも楽しみです。

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