第2話 最悪な取調べ(脚本)
〇血まみれの部屋
刑事「被害者は青木シキミさん、35歳」
刑事「京都府在住で、単身赴任中の夫に会いに来たもようです」
警部「死亡推定時刻は12時〜14時頃」
警部「凶器の銃は見つからず、か・・・・・・」
刑事「通報者は、被害者の夫である恭介さん」
刑事「仕事から帰宅したら、妻が倒れていたと。 ただ、そこにいたのが──」
警部「夫の不倫相手である、村崎うず」
うず「だから、私は殺していません!」
恭介「そもそも、お前何でここに来たんだよ? シキミがいるって、わかっていたのか?」
うず「わかっていたわよ! 会う約束をしていたんだから!」
刑事「愛人が本妻と会う予定だったのですか?」
うず「不倫しようと思ってしたんじゃありません!」
うず「コイツが妻帯者だと、知らなかったんです!」
うず「だから、シキミさんに今までのことを洗いざらい喋るつもりでした・・・・・・」
刑事「それで口論になり、殺害に至ったのでは?」
うず「コイツを殺すことはあっても、シキミさんを殺すことはありえません!」
恭介「おいおい、何もそこまでいわなくても・・・・・・。大体、あれは────」
警部「まあまあ。とりあえず、署で詳しい話を聞かせてもらおうか」
〇警察署の入口
〇取調室
うず「私がマンションへ着いたのは、14時前です」
〇マンションのエントランス
〇玄関の外
うず「インターホンを鳴らしても、応答はありませんでした」
うず「それでしばらく待っていたら、鍵が開いていることに気づきました」
〇シックな玄関
うず「それで中に入ったら、」
〇血まみれの部屋
うず「すでに、シキミさんが亡くなっていました・・・・・・」
〇取調室
刑事「なるほど」
〇マンションのオートロック
刑事「確かに、貴女の姿は14時前にマンションのエントランスと、」
〇エレベーターの中
刑事「エレベーターの防犯カメラに映っていますね」
〇取調室
警部「死亡推定時刻には合うな」
うず「他に犯人がいるはずよ! ちゃんと調べてください!」
刑事「ですが、その時間帯にエントランスを通ってこの階に降りたのは、貴女一人です」
刑事「他にエントランスを通った人間はいませんでした」
うず「そんな・・・・・・」
刑事「そして、この階の住人には全員アリバイがありました」
刑事「それに、このマンションにほとんど来たことがない被害者を殺害する動機がありません」
警部「いい加減、白状したらどうなんだ?」
うず「だから────」
警官「失礼します! 被疑者の弁護士が来ています!」
警部「弁護士だあ? いつの間に呼んだんだ」
うず(いや、私も知らないんだけど・・・・・・)
弁護士「失礼」
弁護士「彼女の身柄を預かるよう、依頼されて参りました」
警部「この女は、重要参考人なんですがね」
弁護士「ですが、凶器すら見つかっていないのでしょう?」
弁護士「状況証拠ばかりで物的証拠がないし、」
弁護士「逃亡の可能性も少ない以上、任意の事情聴取ですよね」
弁護士「つまり、この事情聴取を受ける義務はない」
警部「ぐっ・・・・・・」
弁護士「さあ、帰りましょう。村崎うずさん」
うず「は、はい」
〇警察署の入口
うず「あの、私を助けてくれた依頼人って、誰なんですか?」
弁護士「鈴野蘭子、知っているよね?」
うず「えっ」
うず「あ、蘭子からだ」
蘭子「うず! 無事だった!?」
うず「蘭子が弁護士さんに依頼してくれたの?」
〇清潔な浴室
蘭子「うん。アタシ、弁護士事務所の事務員をしているからね」
蘭子「うずが警察に連れていかれる前に、電話をくれたでしょ?」
蘭子「だから、職場の弁護士の先輩にお願いしたの」
〇警察署の入口
うず「そっか・・・・・・。ありがとうね」
弁護士「さーて。そんじゃ、俺は帰るわ」
うず「えっ」
弁護士「うずちゃん、また犯人にされて弁護が必要になったら、呼んでね〜」
うず「さっきまでと全然違うんだけど、あの人って・・・・・・」
蘭子「あー・・・・・・外面が異常にいいだけだから、気にしないで」
〇清潔な浴室
蘭子「それより、まだ疑いが晴れたわけじゃないんでしょ? どうするの?」
うず「どうするも何も、私ができることなんてないし・・・・・・」
うず「やっぱり第三者から見たら、私が犯人だと思う?」
蘭子「赤の他人から見たら、そうかもね」
蘭子「でも、アタシはうずのことを信じているから」
〇開けた交差点
うず「蘭子・・・・・・」
蘭子「そういえば、先輩が事件の状況を聞こうとしたら、例の最低男に連絡がつかなかったの」
蘭子「どうも京都へ帰っているみたい」
うず「子どももいるし、そうなるわよね」
〇清潔な浴室
蘭子「というわけで、事件を調べるなら今よ!」
うず「いや、調べないって! 殺人現場なんて、立入禁止でしょうし・・・・・・」
蘭子「ちぇっ。まあ調べる気になったら、いつでもいってね? 協力するから」
〇開けた交差点
うず「ありがたいけど、心なしか面白がってない?」
蘭子「そんなことないって! じゃあね」
うず(これは完ペキ面白がっているな・・・・・・)
徹也「すみません!」
うず「はい?」
徹也「貴女、シキミさんの事件現場から警察に連れていかれた人ですよね?」
うず「な、何でそれを・・・・・・」
徹也「警察の車に乗せられるところを、見ていたんですよ」
うず「わ、私は犯人じゃありませんから! それより、アナタこそ誰なんです!?」
徹也「僕は、木曽徹也。 シキミさんに雇われた探偵です」
うず「探偵?」
徹也「彼女から、旦那の浮気調査を依頼されていました」
うず「あ、じゃあ、私が不倫について話すときに、同席する予定だったんですね」
徹也「・・・・・・ええ、そうです」
徹也「僕は探偵として、何としてもシキミさんの無念を晴らしたいと思っています」
徹也「協力していただけますか?」
うず「・・・・・・わかりました。 私にできることなら、協力します」
徹也「今日はもう遅いですから、明日にでも詳しいお話を聞かせてください」
うず(とにかく、私にできることをやらないと・・・・・・!)
〇黒
〇ビジネスホテル
〇ホテルの部屋
徹也「ああ、君は美しいよ、シキミさん」
スリスリ。
徹也「愛しているよ、シキミさん・・・・・・」
スリスリスリスリ。
徹也「ああああシキミさんシキミさんシキミさんシキミさん・・・・・・」
スリスリスリスリスリスリ────。
徹也「ハア・・・・・・ハア・・・・・・。 君を愛しているんだ」
徹也「待っていて。 君のために、あの女を・・・・・・!」
ひさもちさんお得意の個性的なキャラクターが続々と登場しましたね🤗
最後の描写、筆乗ってるなぁ〜って感じがこっちまで伝わってきました🤣
前話では最低な言動の恭介、今話では変態な探偵さん、鳥肌モノの濃ゆいキャラ満載ですね!うずにとっては前途多難なストーリー展開ですねw
癖の強そうな弁護士と変態探偵
面白そうなキャラが揃ってきましたね
犯人が誰か考えながら読んでます